2019年05月18日

「台所見聞録」展

グランフロントのLIXILギャラリーで「台所見聞録」展を見てきた。
いくつかテーマがあって、大雑把にわけると世界の台所、床で座って調理していた日本の台所の近代化、それから著名な建築家の設計した家の台所の3つ。

世界の台所はミニチュア模型とパネルの展示だった。世界中の伝統的な家の調査の結果、およそ北緯40度を境にして火の使い方が変わるということがわかったそう。
寒い地域で台所の火を家の暖房として兼用するか、それとも温かい地域で火の熱を台所のそこのみに抑えるかという違いがある。家のつくりが台所の火の使い方と水の取水、排水に大きく関係していて、その土地に適したつくりになるというのが面白かった。

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ネパールのカトマンズ地方では台所は最上階(1階は家畜)だというのはぱっと見て不便そうと感じたが、検索したらイエメンのサナア旧市街の家も4階が女性の暮らす空間で台所や寝室らしい。
塔のような高層の家を作る動機はだいたい財産の防衛のためだよなーと思うけれど、ネパールとイエメンというと不思議な共通点だな。

家のミニチュアはパネルの平面図で見るよりわかりやすいしかわいーと思いながら見ていたら、イグルーの裏で本格的なアザラシの解体をしていて、リ、リアル…

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取れた油を照明に使ったりとムダがない。

日本の台所が近代化していく資料は文献が主。
床で調理していたのがテーブルで立ってするようになり、それから台所の中での動線をどう効率化するかということ。

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『増補注釈 食道楽』の口絵で、上から大隈伯爵家温室内の食卓、大隈重信邸の台所、岩崎弥之助邸の台所だそう。真ん中は立ってる人と座ってお膳に盛り付けてる人が混在しているみたいで、下はみんな立ってテーブルで調理しているよう。

著名な建築家の家の台所の展示は写真パネルで、コルビュジェ、ライト、前川國男、吉田五十八、聴竹居など。それからミース・ファン・デル・ローエのファンズワース邸とかドイツのフランクフルトキッチンとか。
このへんはもうちょっと建築の知識があればより楽しめたかな。

自分が料理をするせいか台所はけっこう興味があるけれど、今までなかった視点が得られる展覧会で楽しめた。

帰りにグラフロのMUJIに行ったら同じ階にシマノのカフェができていて、カフェラテを頼んだら

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思いがけずラテアートが自転車でなごんだ。
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2019年05月07日

GW総括

今年のゴールデンウィークは10連休だった。
旅行に行く計画も立てかけたのだが、ホテルが軒並みGW価格になっていたので6月にのばすことにして、GWは近場で過ごすことにした。

1日目
シネ・リーブルで映画「ねじれた家」を見た。

2〜5日目

家の片付け等。我が家は年末に大掃除をしないでGWにする家です。
寒かったのでこたつに入ってゲームしながら改元の模様をテレビで眺めてもいた。一応歴史クラスタなので。

6日目

デパ地下のちょっといい弁当とおやつを買って義実家訪問。

7日目

山陽電車の1日乗車券を買って明石で明石焼きを食べ、姫路に。姫路市立美術館でチームラボを見た。
このへんは大阪から日帰りで出かけるのにちょうどいいし、明石で美味しいものを食べ、姫路を歩き回り、垂水でアウトレットで買い物して、帰りに神戸でまた美味しいものを食べて帰るみたいなことが気分次第で組み合わせてできるので、年に1、2回は行ってしまう。

8日目

中之島まつり。年々出店も増えてにぎわってる感じ。古本やフリマをひやかして歩いた。

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バラ園はちょっとまだ咲き始める前だった。

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クラフトビールの店もちょっと出ていて、今年は神戸湊ビール飲みました。

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9日目

久しぶりに奈良に歩きに行こうと、今回は葛城方面に。

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10日目

GW最終日で、家でおとなしくしようかと思いつつやっぱり出かけた。
国立国際美術館でボルタンスキー展最終日。

4日間は家にいて、6日間は出かけていて、終盤4日間は連続して1日1万歩以上歩き、うっすら筋肉痛になってしまった。
3月くらいから日記が滞ってて、ちょっとずつ書いてるとリアルタイムの日記が全然書けないので、なにかしら工夫したいところ。
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2019年05月06日

クリスチャン・ボルタンスキー展 「Lifetime」

GW最終日、家でおとなしく過ごそうかと思ったが国立国際美術館のボルタンスキー展が最終日だったことを思い出して行けなくもないな?と思い行ってきた。
クリスチャン・ボルタンスキーの作品を見るのはおそらく2010年の瀬戸内国際芸術祭以来。その時ははっきりした印象は残らなかったが、今回の展覧会を紹介する記事を読んで興味を惹かれていた。

タイトルは「Lifetime」。

電球の光。人の命を光に仮託するのは日本でもフランスでも共通なんだろうか。
会期が1日すぎるごとに1つずつ電球の光が消えていくという「黄昏の光」という作品を、会期最終日で1つだけ残った光を眺めつつ思う。そんなこんなでずっと落語の「死神」を連想していた。まさに死神っぽいゆらゆら揺れるものもあちこちで見かけたし。

アニミタス(チリ)

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アニミタス(白)

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ゆらゆらと揺れるものは影であれ光であれ実体であれ今はもう存在しないものであれ、なんとなくいつまでも見つめてしまう。

離れたところから見ると上を指し示す矢印は、近づくと内側にコートがかかっていて、磔刑を思わせる。

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布に浮き出た顔といい、そういうモチーフ。

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全体的に、ここにあるものはすべて今は存在しないものだという概念が迫ってくる。
今はもうないものに囲まれて、「死神」で連れて行かれる洞窟に似て、ここは生者にはどうも具合が悪い場所だ。

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来世をスマホを構えて撮る人たちという写真を撮ろうと思ったがタイミングが合わなくてやめた。
私が奥にいるとスマホを構えるときに少し横に避ける子が多かった。奥ゆかしい。

特別展を見た後に常設で見かけたデュシャンの墓碑銘「死ぬのはいつも他人ばかり」、まさに今日見た場所を言い表わしてもらった気がする。

見終わった後、grafでバインミーを食べた。

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2019年05月05日

葛城に行ってきた

GWに1日くらいのんびり奈良に歩きに行きたいと思っていたところ、気になる特別展示があることを知って久しぶりに葛城に行くことにした。
2010年に平安遷都1300年祭に合わせて葛城古道とかあのへんで連続的なウォーキングイベントがあり、1年かけてすべての回に参加したので、なんとなく親しみのあるエリアという感覚がある。あれってもう10年近く前のことになるのか。せんとくんどこ行ってしまったんや。
2010年はなんか体調が悪かったのと、収入が減って財布が逼迫してたのと、ついでにPCがぶっ壊れてこの年だけ写真データの大半が破損してしまったのと散々ななかで、毎月のように出かけて歩いてきたというのはけっこういい気分転換になっていた。

あべの橋で近鉄南大阪線に乗り、尺土で乗り換えて忍海駅へ。まずは駅のすぐそばにある葛城市歴史博物館に行った。
當麻寺の西塔の修理で発見された舎利容器を展示していた。

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西塔の心柱の最上部、水煙の下から発見されたという。小さなおわんほどの金銅製の容器に銀製、金製の舎利容器が入れ子になり、水晶玉や古銭、文書、袋類などと一緒に納められていた。土の中になかったため状態がとても良いそう。
だいたい同じ時代の国宝崇福寺跡塔心礎納置品を思い浮かべるが、あちらは塔の心礎、中心柱の礎石に穿たれた孔に納められていた。塔の心柱の最下部と最上部とはけっこう違う気がするな〜。
最も内側の小さな金製の容器は崇福寺の方の金蓋瑠璃壺とよく似た形のように見えた。

容器のレプリカを作り、内容物はレプリカに入れて再び塔に納入したそうだが、中に塔を修理した各時代の古銭が納められていたけれど平成の金は追加したのかなーとかそんなことを考えた。
まあまた奈良国立博物館あたりで見られるでしょう。

客は数人だったが歴史ガチ勢のようで熱心にメモをとってる人ばかりだった。
ついでに常設も見て、葛城地域の古墳の長持型石棺材や舟形埴輪のレプリカなど見た。最近古代づいてるから久々に古墳とか学びなおしてみるかね〜。

近鉄で当麻寺駅まで移動する。駅から降りて當麻寺方面への道のりは以前と変わっていないように見える。
途中で左に折れて、お昼ははしもと商店で瓦そばを食べた。

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熱された瓦の上で茶そばがじゅうじゅう焼けている。山口の名物らしいが初めて食べた。元々バリとか皿うどんとかパリパリ麺が好きなので、焼けてパリパリになった麺がとても好みだった。上にのってる牛肉も柑橘のきいただしももみじおろしのアクセントもおいしい。
セットでついてきた練り物もとてもおいしかったので、ついついお土産にごぼう、蓮根など買い込んでしまった。
これを食べるためにまた行きたい。

お昼を済ませて當麻寺へ向かう。葛城ウォーキングで歩いたときは仏像にはまった自覚もまだない頃でお寺の知識もほとんどなかったが、その後2013年に奈良国立博物館の「當麻寺」展を見て知識を得ている。
まずは何はなくとも本堂にお参りする。本尊の當麻曼荼羅は博物館で何度かお目にかかっているが、本堂で拝見するのは網ごしでぼやけたとしてもとてもすばらしい体験だった。
続けて金堂で国宝の弥勒仏と四天王に再会。こちらには推しの持国天がいらっしゃる。

講堂の入り口で簡単な説明をして頂いたところによると、最初は金堂と講堂があり、本堂(曼荼羅堂)が後から建立されて當麻寺の信仰の中心となっていき、お参りの道筋も変化したそう。

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今は門を入っていくと正面に本堂があり、右手に講堂、左手に金堂があり、もっと左手に東西の三重塔が並んでいる。金堂に仏像の背中側から入ってぐるっと正面にまわるのはちょっと違和感がある。
当初は南門から入って東西に塔があり、手前から金堂・講堂と並んでいたと考えると薬師寺あたりと伽藍配置は似ているのか。

ウォーキングで来たときは西南院だけ入ったので、今回は奥院と中之坊に入ってみた。

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奥院は応仁の乱のときに浄土宗総本山知恩院から法然上人像を遷座して奥之院として建立されたということで、滋賀にも新知恩院を造ったしけっこうあちこちに疎開したんだなあ。
国宝倶利伽羅龍蒔絵経箱を始め、十界図屏風や法然上人行状絵伝などおしみなく展示されていた。
庭園を歩くと牡丹は残念ながら終盤だったが白い藤がきれいだった。

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5月の緑にあふれて眼から癒やされる。

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修理中の西塔をここから眺めた。

続いて中之坊へ。こちらは當麻寺の開創時に役行者が熊野権現を勧請して道場を開き、奈良時代に別当の実雅がその場所を住房とし中院を開創し、代々受け継がれている。弘仁以来真言宗。最初に来たときは當麻寺というひとつのお寺の中にいろんな宗派があるのが不思議だったなあ。
まずは中将姫の剃髪堂にお参り。
こちらには江戸時代に片桐石州が改修した大和三名園の一つ香藕園がある。読めない。こうぐうえんと読むそう。

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茶室の丸窓席も庭から見られたのでぐいぐい覗き込んできた。

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霊宝殿で中将姫の特集展示があり、主目的であった二上山が描かれた山越阿弥陀をじっくり見た。

當麻寺から出て、少し北に歩く。文晃堂という文具のお店があり、奥がカフェになっているのでここで休憩することにした。

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ウォーキングで来たときは素敵なお店だな〜と外観を見つつもあまり余裕がなくて素通りしてしまったので、9年越しのアレ、なんだ、リベンジ? いいお店でした。

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その後二上山を見つつ二上山駅までのんびり歩き、奈良に歩きに来るのはやっぱりいいな〜潤うと思いつつ近鉄で帰宅。
タグ:奈良
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2019年04月26日

「四条派への道」と「河鍋暁斎」展

GW目前に西宮市、神戸市でやっている展覧会を見に出かけてきた。
最初の目的地は初めて行く西宮市大谷記念美術館。いちばんの最寄り駅は阪神の香櫨園駅だが、家は阪急沿線なので神戸線の夙川駅から大手前大学のキャンパスの横を歩いて行った。

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「四条派への道 呉春を中心として」展。
呉春の絵、同時代の円山応挙とその弟子たちの絵、呉春の弟子たち(四条派の形成)、大坂の四条派という構成。
与謝蕪村に文人画を学んだ呉春の絵を見ると、最初の最初から、あっ呉春っぽいかなと感じる線をしている。文人画を学んだ初期と後に写生を学んでからの絵では主に遠近感が違うらしい。
俳画に映える線。大胆で、肥痩があって、わりとふっくらしてて。言葉の数を絞った俳句に合わせる絵として、線を減らすのは自然なことであると実感した。描写のためにはこれしかないという線には潔さを感じる。
大江山鬼賊退治図を見ると山伏も宴の支度をしている台所の鬼たちもかわいい。

昨年木版画で知った弟子の紀広成が見られるかなと思っていたら、月渓肖像及伝記のみだった。そこに少し説明が書かれていたが、呉春の死後他の弟子たちとは距離をおき、僧侶のようだったという。人を得意としたらしい。その絵、他にも見たかったな。

四条派、円山派と並べて言うこともあるけれど、応挙の絵や弟子の絵を比較してみるとけっこう違うという点があるのにも気付かされた。呉春の実弟で弟子の松村景文と比べても、鳥の描き方が違っていた。
呉春の他には松村景文の茄子、粉本図巻や、源g、山口素絢の遊女とやすらい祭図屏風、柴田義童の猿回しなどが好き。それから上田公長の芭蕉涅槃図が下の方にたことかふぐとかいてかわいいの極みだった。

美術館の喫茶室で休憩。

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目前の庭が気持ちよくて、ついつい長居してしまった。

美術館を出て香櫨園駅まで歩き、阪神で岩屋駅に移動。金曜の夜間開館日だったのでゆっくりめに兵庫県立美術館へ。

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「河鍋暁斎」展。前に暁斎を見たのは京都のえき美術館でわりと混んでいたのでどうかなと思っていたが、GW前という日柄か夜間だったからか空いていてゆったり見られた。
前回見たのはゴールドマンコレクションで、あれで暁斎はかなり網羅して見た気でいたけれど、今回の展覧会であれはコレクターの目を通して取捨された一部だったのだなあと思った。あっちはユーモアがかったものが印象に残り、今回はより残酷なもの、迫力があるものが印象に残った。処刑場跡の絵羽織なんかもう物凄くて、これは絵を依頼した方もこんな凄いのができてくると思ってなかったんじゃないかな〜。
なんでも描く、なんでも描ける画家という印象は変わらない。寺社などに奉納した大画でも豆本でもかっこよく画面構成が決まっている。
今回は写生や下絵など暁斎が絵を完成させる前の準備や、絵を貼り付けて修正しているのを見ることができた。
九相図、卒塔婆小町図の下絵にうさぎが入り込んでいたりとなんとなくコラージュを鑑賞するのに近い感覚があった。

かわいい面白いものももちろんあり、絵日記の中で「休」という文字のところに自画像なのか烏天狗みたいな人が犬をかまっているのがとてもかわいかった。あと化猫百福図の下絵とか。

キービジュの美女の袖を引く骸骨たちは後景の骸骨行列のシルエットが良かった。

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他に印象に残った絵では月に狼図、パリス劇場表掛かりの場、毘沙門天像に添えられた「生年十七」の文字に17歳でこの毘沙門天の貫禄が描ける?とおののく。
それから柴田是真との合作の鯉の滝登り図があり、是真の着色されてない墨のみの絵は初めて見たけれど筆勢がとても良かった。好き。もっと見てみたい。
鯉といえば正面顔の鯉もなんかすごかったな…。
幽霊図は福岡市博のものが来ていてほどよい怖さで良かった。

おみやげにクリアファイルを買うついでに、絵札を買ってしまった。

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100円で3枚入りって手頃でうれしい。猫又が入っていて喜ぶ。

しかし、四条派と暁斎、両極端なものを見た1日だった。
posted by すずる at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館・博物館