2019年03月06日

1、2月に読んだ本

1、2月に読んだ本は3冊でした。



家族が正月にちょうど箱根駅伝の時期だし読みなよと貸してくれた三浦しをんの『風が強く吹いている』。
学生寮に住む大学生たちが陸上ぜんぜんやってない仲間を巻き込みつつ箱根駅伝の出場を目指す話。
寮に住んでいて首謀者のハイジさんに巻き込まれていく男の子らがみんな個性豊かで掛け合いが面白いし、走ることに人一倍こだわりがありつつも高校時代にあれこれあったカケルが人と関わり合うことで成長していくのがとても良くて、ほとんど一気読みしてしまった。
男の子たちが寮とか安アパートで共同生活しているのがね…好きなんよ…それにハイジさんとカケルの関係が最初から最後まであまりにツボで、なんでこの作者は私の性癖を知り尽くしてるのかと空恐ろしくなるほどだった。
駅伝ということで協力し合うことも重要だし、それでいて走ることに深く真摯に向き合っていく孤独さも描写されているのが良かった。



次に読んだのは『芥川竜之介紀行文集』。
芥川ほどの小説家はどんな紀行文を書いてるのか、旅をしたときにどんなところを見ているんだろうか、とそういう興味で読んでみた。
半分以上は中国旅行の話だが、国内旅行記では「軍艦金剛航海記」の、海軍機関学校の嘱託教官だった時の伝手でか「金剛」に乗ったときの軍艦の中の人々の描写が面白かった。

どういう連載だったのか、視点が変わったり、知人に宛てた手紙の文章だったり、誰かと誰かの問答だったり、今名古屋にいて熱出してる菊池寛の看病をしないといけないから紀行文が手につかないと言ったり、なんだか自由だなーという印象。

当時は今に比べると筆者も読者も中国の物語や漢詩の素養があった時代だと思うが、物語や詩の中に思い描いた中国と現実の中国とのギャップを常に意識した旅だったようだ。それから芥川の興味は常に「人」にあったこと。
そういえば旅行中に竹内栖鳳一族としばらく同行したようで、息子の方とはけっこう話したように書いてあったけれど、栖鳳にはほとんど言及はなかった。中国の風景を見るために旅する竹内栖鳳の目に28歳年下の芥川はどう見えていたのかなーなんてことを考えた。

匆匆たる、縹渺たる、蕭蕭たると、今はあまり見かけることのない形容詞が出てくる、その字面にうっとりした。



陳舜臣のミステリ短編集、『方壺園』。
1962年の『方壺園』の6編と、1968年の『紅蓮亭の狂女』から3編が収録されている。
どの短編も密室や不可能犯罪的な要素がきっちりあるけれど、読んでいるうちにある一人の人物に焦点が当たっていく、これはこの人のための、この瞬間のための物語だったのか、と腑に落ちていくのが心地よかった。
どっちかというと歴史ものの面白さの方に惹かれる。
ミステリ的には表題作の「方壺園」、印象に残ったのは「九雷渓」、「スマトラに沈む」。
陳舜臣の小説ってそうたくさん読んだわけではないけど、飄々として器が大きいというかおおらかというのか、そういう人物が出てくるのが好き。
高校生のときに『小説十八史略』を読みかけて挫折したんだけど、そろそろ読んでみようかなーと思う。

狙ったわけではないんだけど、芥川龍之介の紀行文集で中国の芝居の様子や各地の風景を読んだ直後で、少し世界観が繋がっているような短編があり、短編中で西湖を旅する佐藤春夫の元に芥川自殺の報が入る場面はなにかメタ的な感慨があった。
posted by すずる at 11:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書メモ

2019年02月21日

2019年春に見たいものメモ

自分用のメモです。あとで追加します。

藤田和日郎原画展 心斎橋大丸 3/27〜4/8
フェノロサの愛した寺 法明院 大津歴史博物館 3/2〜4/14
大徳寺龍光院 国宝曜変天目と破草鞋 MIHO MUSEUM 3/21〜5/19

国宝東寺 東京国立博物館
奇想の系譜 東京都美術館
へそまがり日本美術 府中市美術館

これがわたしたちのコレクション 福岡市美術館 3/21〜5/26

国宝の殿堂 藤田美術館展 奈良国立博物館 4/13〜6/9
国宝一遍聖絵と時宗の名宝 京都国立博物館 4/13〜6/9
仏像と神像へのまなざし 和歌山県立博物館 4/27〜6/2
posted by すずる at 10:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 私的メモ

2019年02月14日

可睡斎

2月は確定申告以外何もしてないうちに過ぎてしまった。
1週間ほど実家の青色申告、病院の付き添いや諸々の雑用を済ませるために帰省していたのだが、1日予定が空いたので、親の気晴らしにもなればと思いドライブに出かけた。

静岡県袋井市に可睡斎というお寺がある。浜松の実家からは車で3、40分といったところで割合近い。
お寺としては珍しい「可睡斎」という名前は、11代目住職の仙麟等膳が戦の時に幼い頃の徳川家康とその父をかくまい、のちに浜松城主になった家康が住職を城に招いたところ、住職がうたた寝を始め、それを見た家康が「和尚眠るべし」と言ったというのに由来するらしい。
遠州の古い社寺は割といろんな所に家康をかくまった言い伝えがある。だいたい武田から逃げてる。

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階段の下までくると、真っ先に見事な石垣とその上の瑞龍閣が目に入ってくる。
こちらで1月から3月までひな祭りの展示をしているそうで、それを口実に両親を誘ったので早速受付から中に入っていった。部屋だけでなく廊下にも多くのおひな様が飾られている。
しかしどっちかというと庭や建物の方に目がいってしまった。

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これだけひな飾りが集まると圧巻ではある。過剰やなあという気もする。
他にも部屋ごとにつるし雛やら折り鶴やら室内ぼたん園やらあれこれ展示されていて、親もそれなりに楽しんでいたようだった。

そういえば襖絵を見てなんとなく気になる、と思っていたら

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あとで調べたら描いたのは山口玲熈で、菊池芳文の弟子だったらしい。この牡丹の感じ、なんとなくそれっぽい気がしたんだ。

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牡丹にはまだ相当早い時期だと思っていたが、立派な咲きっぷりだった。

境内を歩き回っていると、天狗を見つけた。

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秋葉山が神仏分離で秋葉神社とお寺に分かれたあと、寺の方は廃寺となり、三尺坊大権現がここに遷座されたそう。地元の歴史なのに初めて知った。
修験道に興味を持ったとか言いつつ、地元の秋葉山のこともあまり知らなかったなあ。

ところで、今回可睡斎に出かけたのには下心があった。親にはお店やなにかを見ていてもらい、その隙に境内の案内図を探すが、それっぽいものやこっちですという表示がない。結局スマホで境内地図を見て、池のまわりをぐるっと歩き、ちょっとめげそうになる傾斜の急な坂を上がっていくと、それはあった。

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伊東忠太設計の護国塔。世界旅行から帰ってきた伊東忠太が最初に手がけた仕事。

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狛犬?といい、蓮の蕾のような飾りといい、ガンダーラやらエンタシスやらなんやかんやの折衷様といい、謎の馬といい、もう

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どこからどこまでも伊東忠太という感じで、堪能した。

ちなみに山門も伊東忠太に設計を依頼して、後になって設計図をもとに建てられたものだと書かれていた。

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ちょっとそれっぽいが、忠太にしては丸いかなという感じもする。

満喫して出発。
お昼は袋井市内にある仙の坊というとろろ汁と蕎麦が名物のお店へ。

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たっぷりとろろご飯、それからこの唐揚げが今までにない食感でとても美味しかった。
私の唐揚げ歴でもベスト3に入る。

磐田で地場野菜を買い込んで帰宅。
タグ: 建築巡り
posted by すずる at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | お散歩

2019年02月10日

世紀末ウィーンのグラフィック展

京都国立近代美術館に「世紀末ウィーンのグラフィック」展を見に行ってきた。

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世紀末のウィーンといわれて特に思い浮かべるものはないが、手に入れたチラシになんとなく惹かれるものがあった。

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展示を見て知ったが、クリムトの蔵書票だった。

ウィーン分離派は1897年にクリムトを中心に結成されたグループで、新しい造形芸術を追求し、総合芸術を志向していたそう。そのコレクションということで、その機関紙をはじめ、絵だけでなく彫刻、工芸デザイン、建築、家具、ファッションなど様々。
絵の中では、点数は少なかったがアドルフ・ベームの風景がとても好きだった。少し抽象的というか…帰ってから他にどんな作品があるのかなーと検索したところ、オットー・ワーグナーのヴィラにアドルフ・ベームのステンドグラスがあるらしいが、確かにステンドグラスの下絵と言われるとしっくりくるような工芸的なデザインに近いような線だった。

クリムトはウィーン大学天井画のための習作と、絵の写真パネルがあった。最近、モノクロ写真をカラー化するような技術をちらっと見かけるけれど、これもカラー化できないものかな?
それとも他の絵から、どんな色彩だったんだろうと想像していた方がいいのだろうか。

分離派のデザインを見ると、なんとなくアールヌーヴォーっぽい感じはする。しかしフランスや他国のアールヌーヴォーと違うウィーン独自のものは何かと言うと、あまりわからなかった。
あ、クリムトでも本の装丁なんかでも、ふんだんに使われた金箔は印象的だった。
あとマリー・フォン・ウヒャティウスのステンドグラスのデザインが好き。現地に行ったらステンドグラスがいろいろあるんだろうな。

それからアドルフ・ロースの家具が2部屋分あったが、想像していたより装飾がなくモダンな感じだった。後で検索してアドルフ・ロースは装飾を批判していたと知る。木材はかなり濃い深いいい色と木目でうっとりしたが、壁付き家具はちょっと重苦しくて息がつまる感じだったな。豪華な列車の室内とか狭いのが前提の空間でなら素敵だけれど。

あとはフランツ・ツェレツニーの人物デッサン、ベルトルト・レフラーの挿画が面白かった。白雪姫に添えられた文章を読んだら、なかなか変な人っぽい。

せっかくなのでコレクション展も見た。「上野伊三郎とインターナショナル建築会」の部屋は、留学中にウィーン工房に入所したという上野伊三郎は京都の建築家ということもあり丁寧に見ていたら、伊東忠太の「日本建築史」の講義ノートがあって、すみずみまで読んで擬似講義気分を味わった。
デザイン図、図面、下絵などと共に実際の建築写真がスライドで流れていて、この展示方法良いなと思った。

それから河井寛次郎が20点弱。

シャガールのゴーゴリ「死せる魂」を見て、どういう話だこれはとしみじみ思った。特別展とは頽廃芸術つながりなのかなーとか。

全体の点数が多くて、外に出たら3時間くらい経っていた。
今年クリムト展があるので、この機に行ってみるかどうかというので少し迷っている。もし行くならかなり久々の豊田市美術館だ。
posted by すずる at 23:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館・博物館

2019年02月03日

12、1月に読んだ漫画

昨年はあれこれあって買ってる漫画雑誌もろくに読めない時期もけっこうありました。12月に積み雑誌をまとめ読みしたり、なにか新規開拓だけはしたい気持ちがあってジャケ買いしてたものを1月になって読んだり。

最近面白かったのは、『ブルーピリオド』



漫画屋でお試し版を読んだら絵が好みだったので、買ってみて3巻まで読みました。
要領よくて地頭がよくてコミュ強で今風の男子高校生が藝大受験を目指す話。達観してる男の子が大切なものを見つけて、それからだんだん感情を発見していく感じ。教師のしょうもない嫌味はにこにこ受け流せるけど、自分が天才だと認めてる子に対しては怒りをあらわにして食って掛かるようになるとことかの描写がよかった。
結局、男の子が傍にいる天才に対して抱く嫉妬が好物なんですわ。
あと、絵を見て心を動かされるという描写に説得力があるのがいい。

それから『パンダ探偵社』



茶屋町の丸ジュンに行ったらめちゃくちゃ推されてて気になった漫画。帯で室井大資が推してたのを見て買いました。人が変身病で身も心も動物(や植物)に変わってしまう世界での探偵もの。人が変身してしまうことで失われるものがあったり、それとは別に得られる関係性があったり。動物相手の探偵のような人相手の探偵のような、なかなかおもしろい立ち位置。

2018年の漫画関連で最も嬉しかったニュースは、作者が病気で休載していた『ワールドトリガー』の再開でした。



玉狛の4人が並んでいるあの絵を見たときほんと嬉しかったです。
ジャンプで復活して、それからジャンプSQに移動したので、これを機会にSQ買い始めました。

 

SQでは元々『怪物事変』は買っていて、これまでに3ヶ月分読んだ感じでは、モナリザの贋作を探す『モナリザマニア』と四国妖怪学園ものの『こじらせ百鬼ドマイナー』が絵も話も好みっぽいのでコミックスで最初から読んでみたい。

積んでたウルトラジャンプをまとめ読みしたら、道満晴明の『メランコリア』が完結してました。



世界の終わりが近づいている中での、メランコリックだけどどこか達観してるというかあまり深刻ではない人々のオムニバス。元々終末テーマは好きだけれど、少しずつどこかで人が繋がっているのがとても良かったです。下巻が出たら読み返そう。

あと読みきりにけっこう好みの漫画があった。10月号のハタ屋「狐の手引き」12月号のkinomi「Silver Beach」1月号の小賀ちさと「只野工業高校の日常」が好き。新作が出たらなるべく読みたいと思う。

あとは、最近完結した2冊。

 

『海街diary』は9巻で完結。とても好きな漫画だが、最後の番外編には冷水を浴びせられたようなものがあった。主人公が鎌倉に行った時に、おいていかれた子どもが存在したことも、この物語の別の側面だったとは理解できる。主人公には主人公の選択があり、彼には彼の出会いがあったのだろうと。
ただのめでたしめでたしでは終わってくんなかったな〜というのが率直な気持ち。



『プリンセスメゾン』は6巻で完結。寂しい気持ちもあるけれど、一方で清々しい。
こんなふうにお仕事する人に出会えて関わることができるなら、それは一生の宝になるだろうなという、そんな登場人物であふれていて、この世界に住む人々に羨望を覚える。
posted by すずる at 23:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画