2017年08月09日

日帰り東京

東京で泡坂妻夫展をやってるらしい。
手元には使い道の決まってない18切符1回分。
ちょうど夏休みで帰省していて、静岡県内の実家からなら東京は日帰りで行けないこともない。
色々条件が重なって、行くことにしました日帰り東京。

台風5号が気になりつつも浜松駅6時47分発の熱海行きに乗車。乗った電車はそれほど混んでなく、座って行けたので楽でした。
11時半頃に予定通り東京駅着。山手線で日暮里へ。

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一度行ってみたいと思っていた谷中の全生庵の幽霊画公開に行きました。
幽霊画っていってもいろんな画題があるなー。
暁斎はちょうどゴールドマンコレクションの幽霊画を見たばっかりで、あのばーん!!って感じの幽霊画に比べるとずいぶんおとなしい。
先に幽霊画があって円朝がそれを収集したっていうよりは、円朝という類稀な人がいて、その怪談噺に惹かれて集まってきた絵なんだなあとかそんなことを考えて見てました。文化的な交流の残滓。
鰭崎英朋があって、さすがの美人。
この名前を見かけると、4年前に金沢の泉鏡花記念館で見た「えいさん こはいものご覧に入れます」とだけ書かれたハガキを思い出す。
外に出て、せっかくなので円朝のお墓に行って手を合わせました。

千駄木駅のとこで見つけて写真を撮る。ここがD坂かー。

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のりりんさんと合流してお昼を食べて、新御茶ノ水に移動。道案内してもらいました。頼れる。
先に古書店で図録を買って、東京古書会館の2階でやっていた泡坂妻夫展へ。
小学生時代の日記とかあって、この頃から文章も字もしっかりしてるな〜とか、自筆原稿やノートや写真がたくさんあってもう垂涎とか。あと紋章上絵師や手品の資料も。
『しあわせの書』の自筆原稿も、絶筆もあった。
「椛山訪雪図」と「ホロボの神」と創作ノートの表紙に書かれたタイトルに、次々にそれを読んだ時の記憶が蘇ってきて、素晴らしい時間でした。
帰ったら泡坂作品を読み返そうとほくほく思う。
無料の展示に注文つけるのもなんだけど、展示品の一覧が欲しかったなあ。

それから近くにある明治大学博物館の「進化する不可能立体錯視」展へ。近いというのもあったけど、泡坂展のついでに見るのに相応しいと思ったので行ってきた。
これは一体どうなってこうなるのか。

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映像で見るコーナーが不思議で分かりやすくて良かった。

そのあと喫茶店でおしゃべりして、帰途に着きました。

熱海で途中下車して夕食を取ったら遅くなり、車内は人も少なく静かで、台風はどこにいるのか雨も降らず、そうしていると行き先の知れない電車に乗ってしまったような奇妙な感じがしてくる。
持っていたアンソロジーにたまたま泉鏡花の「外科室」が載ってて、読みながらそういえば今日って鏡花繋がりだったなーと思い返した。
泡坂妻夫は泉鏡花賞を受賞していて、展示品の中に八稜鏡があったことや、昔金沢の近代文学館に行った時にその縁でか泡坂妻夫のトランプがあったことを思い出したり。
そうして「外科室」を読み終える間際。文中に谷中の墓地が出てきて、昼間幽霊画を見た後の、卒塔婆がたくさん立った墓場の光景に戻り、1日が終わる。

posted by すずる at 22:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館・博物館

2017年08月06日

長浜と家族旅行と山梨

今年は用事があってちょくちょく実家に帰ってます。父が仕事関係で表彰されたので授与式(?)に家族総出で行く運転手したり、働きつつお盆の手伝いしたり。
それで今度は、毎年恒例の家族旅行のために帰省しました。
今回は18切符を利用して長浜に立ち寄りました。

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長浜城歴史博物館の2Fで企画展「相応と良源 湖北の天台文化」。
行ってみたら天守閣みたいなのが見えてきて、博物館どこだろう?と思ったらここの中が博物館でした。
比叡山の相応と良源、どちらも長浜出身なんだそうです。文献や絵画資料、仏像も少し。点数は決して多くはないですが、パネルがわかりやすくいい展示でした。
特に降魔大師坐像と神猿像が見られたのが良かった。

展示を一回りしたあと、展望台へ。琵琶湖に面していて、竹生島見えるなーとか、伊吹山でっかく見えるなーとか。

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暑かったので他には寄らずまっすぐ実家に帰りました。

夏の家族旅行はここ数年同じ所に行ってます。
東名富士川SAでお昼に桜えびのかき揚げ蕎麦食べて、道の駅朝霧高原で一休みして、山梨の石和温泉に宿泊。
今年は母が山梨県立美術館に行きたいというので、コレクション展を見てきました。
ミレーのコレクションで有名なんだそう。
羊飼いの絵と鶏に餌をやる絵が好き。
常設の後半はなぞなぞで現代アートの見方をマテリアルとか技法に注目させる展示が導入として面白いなーと思いました。
茅野恒雄の漆を使った作品が良かった。

夜は常宿で赤白ワインをちょっとずつ飲み、ご馳走と温泉三昧。

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翌日はチェックアウトぎりぎりまでまったりして、道の駅に寄って野菜なんかを物色しつつ富士川沿いに南下して帰宅しました。
posted by すずる at 21:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館・博物館

2017年08月02日

大坂市内の非公開文化財特別公開

大阪市域には、神仏習合の影響下で造られた、構図や像容がとてもめずらしい仏画や仏像が伝来しているんだそうです。
時代が下って儀軌に縛られてない自由な像容、というか魔改造というか……。
廃仏毀釈を乗り越えて大切に平成の今まで残されているという点でとても価値があるし、なんというか市井の人々に信仰されたリアリティがあると感じます。今よりもっと神仏が身近だった時代の。
それで、大阪市のあちこちで特別展示があったので行ってきました。

まずは1つめ、辰野ひらのまちギャラリーでの「神仏習合とその美術」展。
三宝荒神画像がたくさん。1枚めの青蓮寺のものから、八面八臂でそれぞれに三目の忿怒相。脇は鬼?で、手に持ってるのは……打ち出の小槌と、なんか竜の頭がちょろちょろっと3つ生えてる、なんやろこれ?(解説書には宝冠となっていた)
次のは同じ青蓮寺の三宝荒神だけど、今度はお供がわらわら8人もいて、キツネ?猿?烏天狗?とか、どこからどこまでもこんなん見たことないという像容揃い。
あとは青面金剛とか、善女竜王とか、歓喜天、閻魔天、牛頭天王など。
濃ゆいなあ、と思いつつ資料を購入。

2つめは阿倍野区松虫通の正圓寺仏像群公開。

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3日間の公開で、日曜日に行ったらけっこうな人出で時折電気が落ちつつ汗だくになりながら不動堂、聖天堂、釈迦堂、大師堂と拝観してきました。
そういや聖天さんにお参りするのは初めてだった。生駒もまだ行ったこと無い。
三頭三面十臂の蛇頭人身の木造天川弁財天曼荼羅は見たらたまげる。荼吉尼天とか歓喜天とか木造九曜星像とか盛りだくさんだった。
大元帥明王立像がとても好みだった。
釈迦堂の内陣は釈迦如来坐像と十六善神、深沙大将、玄奘三蔵の立体曼荼羅になっていた。薄暗くてあまりよく見えなかったのが少し残念。こういう時に単眼鏡があったらいいのかなー。

第3回は住吉の東大寺。住吉東駅から歩いていきました。

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鳥居に多聞天の扁額、その奥に山門、短い階段の上に狛犬……

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犬?
こちらは住吉大社の神宮寺の毘沙門堂の法灯を継いでいるそうで、本尊は毘沙門天。
内陣の左手にある荼吉尼天と右手の准胝仏母を拝観しました。
荼吉尼天は八臂で頭上に化仏が5? 宇賀神はちゃんと確認できなかった。持物は独鈷杵1つだけ残っていた。
狐に両足を降ろしてまたがっている以外は普通の菩薩像という感じ。狐は玉眼で口の中に宝珠。
准胝仏母は観音じゃなく女神の衣。截金が残っていてゴージャス。

もらった資料に近くで公開されていると紹介されてたので、その後で宝泉寺の十三仏

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こちらはひとつの石からまるっと十三体の仏像を彫り出したものらしい。

それから北西に歩いていって、生根神社にお参りして、六道の辻にある閻魔地蔵にお参り。

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中は提灯でいっぱい。閻魔様をお地蔵さんとしてお祀りしているらしい。奥には豊川とかのお稲荷さんが3つありました。

あちこち歩いて少しは仏像を見ている気でいましたが、こんな像容があるんだなーという発見でいっぱいの体験でした。地域の文化財の調査が進むのはいいことなので、これからも継続していってほしいです。
次回は10月らしいので、また都合をつけて行きたいと思います。
posted by すずる at 09:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館・博物館

2017年08月01日

「これぞ暁斎!」 と「源信」展

最近見た特別展2つ。

京都のえき美術館で最終日の「これぞ暁斎!」展を見てきた。
幕末から明治にかけて活躍した画家で、歌川国芳に入門した後狩野派で学び、独学で四条派なんかも学んだそうで、諷刺画や滑稽なもの、百鬼夜行とか、晩年傾倒したという仏画が主に展示されていました。
戯画っぽい動物からガチな山水画から春画まで、見ていてもいろんな画風を使いこなす器用な画家だったんだなーという印象。それから、パトロンのいない絵師だなあという印象もありました。一般大衆に向けた絵が多かったという意味で。
大津絵っぽいテイストの絵が好きで、猫は特に可愛かった。
あと足長がおんぶした手長が手長猿を持ち、その猿が手長えびを持って、月に向かってみんな精一杯手を伸ばしてるやつ。
お土産を購入。

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別の日に、奈良国立博物館で始まった「源信」展。
お坊さんの名前がなかなか覚えられないんですが、恵心僧都源信像を見たら、往生要集の名前と前に大津の比叡山展で見た「このブロマイドが宋で爆売れ!」のキャッチをずるずる思い出した。
あと同時代のお坊さんということで、空也上人像とか、書写山の性空のなんかとか、あと国宝一遍上人絵伝にやっとお目にかかった。レプリカで見たことはあったけど。
京博で今年2つの遊行上人縁起絵巻を並べる企画をじっくり見たためか、この一遍聖絵の魅力が改めて理解できた気がする。
群衆1人1人の描写の細やかさ、表情まで生き生きとしていて、それから背景と人物に破綻がない全体の完成度の高さ。
即成院の群像から3体、平等院鳳凰堂の飛天が1体来られていたのを見られたのも良かった。
即成院じゃ当然後ろは見られないんで、美しい後ろ姿をばっちり見てきた。即成院の大きなパネル写真が壁にあったけどあれも物販に欲しい。
平等院鳳凰堂の雲中供養菩薩像もよかった。定朝様なのもよく理解できたし。平等院ミュージアムで見たことある気もするけど、今回みたいな感動はなかったなー。

前期は聖衆来迎寺の六道絵がずらり、辟邪絵もあって、ほんと国宝祭りという感じだった。単眼鏡を持った熱心な人がけっこういた。
あと古文書ガチ勢もけっこういた。

来迎絵も素晴らしく、見たことあるものも多かったけど、特に印象に残ったのは、岐阜の新長谷寺の阿弥陀立像とそれを納める厨子。扉の内側と内部に絵が描かれ、ご開帳のインパクトはいかほどかと思う。
なんというか、見ていて天上の美という言葉が浮かんだ。

地獄も極楽も、それを創出するには人の想像を超えねばならないということを考えていた。地獄はヒトのなし得る残酷を超える恐ろしいものでなくてはならないし、来迎は見たことのない天上の美でなくてはならない。

後期にも色々見たいものがあるので、図録を読み込んでもう1回行きます。

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金戒光明寺の山越阿弥陀にとうとうお目にかかるのだ。
posted by すずる at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館・博物館