2015年01月23日

MONKEYvol.4 ジャック・ロンドン新たに

こわい絵本特集に続いて『MONKEY』4号ジャック・ロンドン特集読みました。
「野生の呼び声」一挙掲載。
柴田元幸翻訳叢書のジャック・ロンドンは買い逃していたんだけど、去年ちくま文庫のアンソロジーで辻井栄滋訳「焚き火」(柴田訳では「火を熾す」)を読んでいた。
あれも極寒の地が舞台で男と犬が出てきて、今度は犬が主人公。
世界の描写がリアルなんだろうけど、想像つかない寒さと耳慣れない響きの地名でなんかもう幻想の域。
その後の対談にもあったけど、男の立場でも犬の立場でも等距離で書ける作家。
主人公犬のバックが北に連れ去られて使役されて、いい主人も悪い主人もいて、一緒に旅をして、戦いがあったり苦労があったり運命みたいな主人と出会って愛があったりして、それでバックに感情移入して読んでるかっていうとまたちょっと違うんだよなー。
ゴールドラッシュに群がる人々、人間が食物連鎖の頂点なんかじゃないって思い知らされる、生死が簡単にひっくり返る厳しい極限の世界で目覚めていくバックの誇り高さに打たれる感じ、だろうか。
こうして考えてくと、確かにアメリカらしい。

好きかどうかっていうとそんな好きなタイプじゃない(なんつってもあの「まん丸顔」の作者だからな…)けど、妙に惹かれるものがある。

もいっこ載ってたThe South of the slot.も面白かった。

AtoZの「ロンドンにおける文明の最良の部分は、対決することではなく愛することだからだ。」って言葉がすごく印象的。

今回はオープニングとエンディングが村上春樹。
短編「かえるくん、東京を救う」バンドデシネ版、これけっこうコマの描き込み具合と内容で理想的な漫画かも。
そういえばこれ、ちゃんとページというかコマ割りの流れが日本仕様の漫画と同じ感じで読めるなー。ウルジャンで読んでるニコラ・ド・クレシーは逆向きだから、あれっ?と思った。

雑誌最後に載っている村上春樹の連載で、「小説家になるためには、どんな訓練なり習慣が必要だと思いますか?」という問いへの答え。これってジャック・ロンドン特集において、だいぶ意図的に置かれた感じがする。
ジャック・ロンドンみたいな経験は現代ではもうできない、今は誰もジャック・ロンドンみたいには書けない、でも今は今なりの、自分なりのことが何だってできるってわりと前向きなメッセージに取れる。
posted by すずる at 19:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書
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