2011年08月23日

あの阿呆

禁煙してもう何年も経つわけだが、いまだに歩いていると、ふと煙草を吸いたくなる瞬間がある。

幼い頃の将来の夢が「名探偵」だったことは前にも話したことがあると思うけど、大学生になった僕はちょうどその頃読んでいたハードボイルドの主人公に夢中になっていた。
お酒に強くて、やさぐれてて、暴力に屈しない大人の男。

ハタチを越えた僕は早速ハードボイルドっぽさを演出するために煙草を吸い、お酒を飲み始めてみるわけだけど……ハードボイルド的な主人公を張るのに、どうやら自分の見た目を考慮していなかった。

自分の見た目がずいぶん中性的だったことは、自覚はしていたけれど。
しかもビール1杯で頭が揺れ始めるくらいお酒に弱かったけれど。

ある日飲んだ後だったと思うが、道端で後輩と2人で煙草を吸っていた時。
見た目も中身も態度のでかい後輩に言われた。
「先輩には、似合わないッスよ」

何が似合わないんだ、何が。
先輩の威厳でもって蹴りを食らわしたけど、身長差も体重差もずいぶんある後輩には全く効かない。
後輩は無精ひげの似合ういかつい顔も、顔に似合った大柄な身体も、僕の理想としていたものは全てもっていた。
あの阿呆。

似合う似合わないで、何か決めてたまるものか。

そう思いつつも僕は、そのうち煙草をやめた。

今でもたまに思い出す。僕は到底なりたかったものにはなれそうにないけど、あの後輩は今何をしてるかと。

酔っ払うと、男でも女でも構わずキスするあの阿呆は。
 
posted by すずる at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 戯言
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