2017年04月13日

3月に読んだ本

3月に読んだ本は4冊でした。むちゃくちゃいい本ばかりだった。



『応仁の乱』 呉座勇一

これを読めば応仁の乱がばっちり分かるという評判を見かけて買って読んでみた。
興福寺の2人のお坊さんの日記の記述を丹念に追いながら、どこで誰が策動してて、誰と誰がどういう関係で……と適切に説明してくれる。
わりと淡々と書かれているのに、出てくる人物のリアルな人間くささが飽きさせず、大乱に至る臨場感があって読むのがやめられなくなる。
読んでいると、すごくこれ細かいところでいろいろ語りたくてしょうがなくなるので、しばらくの間、誰かれ構わず「それでその時筒井がさあー」とか喋る迷惑な人になっていた。

あと個人的に、奈良博の醍醐寺展で学んだ満済准后の知識と結びついてよかった。



『闇の奥』 コンラッド

植民地時代のアフリカ。読んでてジャック・ロンドンのアラスカの話を読んだ時と同じように、その時代、その場所の空気を吸いその目で見て経験してきた人の書く描写の強みというものを感じた。
どこか狂熱があり、どこか倦んでいる、この一攫千金かなんかよくわからないものを夢見てヨーロッパから遠くアフリカまで行った人々の空気を、コンラッド以上に濃く深く描写するのは誰にとっても不可能だろうなーと思うほどに。
謎めいた人物がいて、彼に会いに川を遡っていくときの描写がすごくいいんだよなー。

チュツオーラの描くドラムも、コンラッドの描写するドラムも、翻訳されて日本語で読めるっていうのは豊かなことだよな。岩波文庫好き。



『ティンブクトゥ』 ポール・オースター

死期を悟ったホームレス詩人が、最後の願いを叶えるために愛犬と旅に出る、そんなもう導入でこんなのに弱いとわかりきっていた。
もしかしたら天才だったのかもしれない詩人と犬の交流から、アメリカというものが浮かび上がってくる。
すごい良かったというのと、すごいやるせない読後感が同時にあった。

あと息抜きに、松尾由美の『ニャン氏の事件簿』読みました。
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2017年03月05日

2月に読んだ本

2月に読んだ本は5冊でした。



初川端康成。『掌の小説』を買っておいたと思ったのに見当たらなくて、そういえば文豪怪談持ってたなーと思い出してこっちを探し出した。
しみじみと胸を打たれるような文章があちこちにあって、あーなんかもっと早く出会って読んでいればよかったと思った。高校生の頃とか絶対好きだったこんなの。
少女の頃に読んでおいて、血肉にして、これが思考や文章やなんやかんやのベースになってればよかった。
好きな短編がいろいろある、「白い満月」、「不死」、「地獄」、「離合」が好きだなー。
「薔薇の幽霊」は、自分がいつか百合アンソロを編む時が来たら入れる。



紀伊国屋に行った時にアメトークの読書芸人コーナーがあって、そこに2号が置いてあったので気になったムック。まだ2号までしか出てないなら余裕で追いつけるだろうと思って1号から買ってみた。
円城塔「バベル・タワー」、イ・シンジョ「コーリング・ユー」、西崎憲「日本のランチあるいは田舎の魔女」が面白かった。短歌はあまりわかんなかった。



柴田元幸と高橋源一郎の対談で、ブコウスキーは友達がいないからスラングがないっていうくだりがとても印象に残ってて、柴田元幸訳のちくま文庫版が出たので買って読んでみた。
私立探偵ものの体裁なので、あまりにもあれな探偵にだいじょうぶかなこの人とハラハラしながら読んでしまってあとでぽかーんとしたけど、読んだ後に残るのはたしかに孤独。



最近けっこう面白い変な本を訳してる翻訳者さんがいるらしいと聞いて、気になってた方の本。
なんか文学論みたいな本なのかなーと思ったら、もっとエッセイっぽかった。案外ふわふわしている。



小説は実は1冊も読んだことないんだけど、エッセイとか翻訳は何冊か読んでます。彼が何かについて語るのを読むのが好き。
で、どこかで文章のうまい作家の話をしていて、くわしくはこの本に書いてあるっていうので買ってみた。
私は本は読むんだけど、文章がうまいということがよく分からなくて、読みやすいかどうかくらいしかないし、例えば名文家とか言われてもあんまり思い浮かばない。で、作家がうまい文章っていうのはどんな文章だろうって興味を持ったのでした。
取り上げられてる作家は吉行淳之介、小島信夫、安岡章太郎、庄野潤三、丸谷才一、長谷川四郎。この中では吉行と丸谷しか読んだことない。
彼の書き手としての読み方が出ていて、短編の構造、文章、特にそれを彫琢すること、それから系統立てた読書によって作家がどこから来て、どこへいくのか。
これだけ丁寧に短編を解体しながら、なおかつ興味をそそる、読んでみたくなる語り方ができるっていうのがすごいと思います。

結局文章がうまいということはよく分からなかった。プロの作家なら文章をうまく書くというのは当たり前のことで、むしろそうでない部分に著者は惹きつけられているみたい。
posted by すずる at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書メモ

2017年02月05日

1月に読んだ本

1月に読んだ本は5冊でした。

『冬の夜ひとりの旅人が』



大晦日から新年にかけて読んでいた。
イタロ・カルヴィーノの新刊冬の夜ひとりの旅人がは、結局読めなかった。いや読んだのか。
私はあなたであり、男性で、女性で、読者で、作者で、読んでたと思ったら自分が読まれていて、と思ったら書かれていた。
小説を読みかけては続きの気になるところで行く先をなくしてしまう、たぶんこういう実験的な作品が好きなんだろう、これはまさに私みたいなのが好きなやつだと思いつつも、読んでいる間は大変にもどかしい本だった。

『二人のウィリング』



シリーズ探偵役のウィリングがタバコ屋で男と出会うところから、最初の死体までの導入がめっちゃ面白い。
中盤は発端と比べると読んでてあまり起伏がないように感じたけど、真相が分かってみると世界が一変して、何げない描写だったのが、読み返したら全然違う感想になりそうと感じた。再読したときにより楽しめそう。


『舟を編む』



映画で見た『まほろ駅前〜』で気になってた三浦しをんをやっと初読み。
雲田はる子の漫画化が始まったので、それを読む前に原作を読んでおこうと思って。
で、すごく良かった。ちょうどOEDを作った人たちの話を読んだばかりというのもあるけど、辞書作りの世界にすんなり入れた。
特に西岡さん視点のところが良くて、時間もコストもかかる大きなプロジェクトとそれを達成するためにいるような人たち、辞書に名前を残す人たちを、自分とは違う、けれどと思いながら周辺から見ている人物。

『漱石入門』



今年は漱石生誕150周年なんだそう。グラフロの紀伊国屋に行ったら漱石特集のコーナーがあって、そこでふらっと買ってみた。
この著者の本を読むのは2冊目だけど、初心者向きに紹介してくれる単なる入門書じゃない。もっと読み方そのものが変わってしまうような、こんな深い読み方ができるんだって目からウロコがぽろぽろ落ちるような読書体験を与えてくれる。
なんかもうちょっと違うふさわしいタイトルがあると思うんだけど…。
「文化記号は、小説を風化させる作用と小説を生かし続ける作用の両面を持つ」
書かれた時代と背景を知ると、自分の中に作品を読む新しい視点が持てるということ。
ならば、文化記号を理解するに越したことはない、うん。
特に明治の家族制度のところが面白かった。

あと西澤保彦の『悪魔を憐れむ』読みました。タックシリーズ久しぶりすぎた。
posted by すずる at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書メモ

2017年01月19日

2016年に読んだ本

2016年に読んだ本、24冊でした。家族に「少なっ」と二度見された。
この数でベストとかいうのもなんですが、読んだ本はどれもこれも当たりだった気がする。

『ハザール事典』 ミロラド・パヴィチ
『冬の物語』 イサク・ディネセン
『日の名残り』 カズオ・イシグロ

あたりが特によかった。
『ハザール事典』にはかなり時間をかけた。
理解が及ばないとこもあったけど、見覚えのある人物の断片が出てくるたびにぞくぞくする興奮があった。すごくいっぱいメモしながら読んでた。
イサク・ディネセンを冬の終わりから春にかけて読んだのもすごいいい読書だった。
フォークロアっぽいけど、民話の登場人物みたいに枯れてない、それから話がどう転がっていくかいつでも未知数。
『日の名残り』はものすごく複雑な読後感だった。徹底して滑稽でもある、残酷なほど滑稽。悲しい。人生と思想を賭けて誇り高く勤めてきた人が、その人生に疑問を抱かざるを得ない状況が。それでいて記憶の中のミス・ケントンはいきいきしててかわいい。描かれる風景は美しかった。


以下は読んだ本を読んだ順に。
『文学会議』 セサル・アイラ
『最果てアーケード』 小川洋子
『注文の多い注文書』 小川洋子、クラフト・エヴィング商會
『ジェゼベルの死』 クリスチアナ・ブランド
『ブラバン』 津原泰水
『ハザール事典』 ミロラド・パヴィチ
『フィッシュストーリー』 伊坂幸太郎
『LOVE』 古川日出男
『冬の物語』 イサク・ディネセン
『日の名残り』 カズオ・イシグロ
『MONKEY vol.8』
『ハートブレイク・レストランふたたび』 松尾由美
『ジム・スマイリーの跳び蛙』 マーク・トウェイン
『MONKEY vol.9』
『拳闘士の休息』 トム・ジョーンズ
『静かな炎天』 若竹七海
『スペース金融道』 宮内悠介
『MONKEY vol.10』
『エスカルゴ兄弟』 津原泰水
『夜行』 森見登美彦
『博士と狂人』 サイモン・ウィンチェスター
『いまさら翼といわれても』 米澤穂信
『首折り男のための協奏曲』 伊坂幸太郎
『ヒッキーヒッキーシェイク』 津原泰水
posted by すずる at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書メモ

2016年01月06日

去年読んだ本とか漫画とか

2015年に読んだ本や漫画(ついでに映画もちょっと)のこと。

1年で読んだ本、25冊でした。最低記録更新。
この冊数でベストとかいうのも片腹痛いですが、一応恒例なんで。

『グッドラック 戦闘妖精・雪風』 神林長平
『不死の人』 ボルヘス
『コールド・スナップ』 トム・ジョーンズ
『芝生の復讐』 ブローティガン
『新ナポレオン奇譚』 チェスタトン

小説よりも、秋以降は特に博物館で買った図録やもらった資料を読んでいた気がします(冊数に含んでません)
どうも小説を読むのに集中力が続かなくなって、1日に短編1つ、長編だったら1章読めるかどうかみたいな。
読みかけて挫折してるといえば、『泰平ヨンの未来学会議』…泰平ヨンはすごい好きだったのにこれはなんか濃ゆすぎた。

そんな中で久しぶりに一気読みしたな〜というのが大倉崇裕の『蜂に魅かれた容疑者』と、アンディ・ウィアーの『火星の人』でした。

唯一購読してる文芸誌『MONKEY』はかろうじて7号まで付いて行ってます。

あとは半七捕物帳を光文社文庫で読み通したっていうのと、デ・ラ・メアの『死者の誘い』を読んだのは強く印象に残ってるな〜。

漫画の方は、毎年ベスト系をチェックして上位の作品は読んでみてたけど、そういうのもしなくなってしまった…消極的。
『ダンジョン飯』、『僕だけがいない街』とかは面白く読んでます。

相変わらず皆川亮二推しで、『PEACEMAKER』のお兄ちゃんにやられたーとか文庫版の『ARMS』のおまけ寄稿や対談がすごく豪華で嬉しかったとか、原画展を見に熊本県まで行ってしまったとか。

それから2015年にいくつか楽しみに読んでいた作品の完結がありました。
『とめはねっ!』、『失恋ショコラティエ』、『ピアノの森』など。
あと『鋼鉄奇士シュヴァリオン』。
戦隊ヒーローの最終回その後っていう設定に惹かれて読み始めたけど、1人だけ変身が解けなくなったレッドの日常をギャグ漫画と思って読んでたら、堂々の大団円だった。ヒーロー大好きっていうのが伝わってくるいい漫画でした。

あとはジャンプ系で『ワールドトリガー』、『僕のヒーローアカデミア』、『食戟のソーマ』が好きで…ソーマはアニメもよかった。
アニメといえば、『血界戦線』は、ジャンプに載った後でお試しで1巻を読んでけっこうはまりました。アニメは結局見てないけどな。
で、『血界戦線』読んでたら無性に読み返したくなって加藤元浩の『ロケットマン』読んだり…いやザップさんの感じからなんとなくRを連想したんだけど、記憶よりもっとずっとRはいい男だった。

アニメはソーマと、あとワンパンマンとすべてがFになるは完走。
すべFはキャラデザ最初に見た時は違和感あったけど、実際に見てたら犀川先生にも萌絵にも好感もってきて自分で意外でした。(原作は一応読んでるけどそんなに好きじゃなかったので)

あとあげてない漫画は…『BLUE GIANT』! 基本的に音楽漫画好きなんすけど、このジャズ熱い。
それから『ヤコとポコ』の2巻もよかったな〜。

映画もあまり見てませんでした。
基本的にアクション映画とか画面が目まぐるしく変化するのは、目が疲れる→集中力が切れて話についていけなくなるのでなー。
あとあれ、いい人とか一般人が理不尽な暴力を受けるのが(映像で見るのが特に)ダメだし、いわゆるソリッドシチュエーションみたいなのも好みじゃないし、かといってハートフルストーリーみたいなのも食指が動かないので、けっこう見るジャンルが限られてる。

そういうわけで映画館で見たのは結局5本。
『ナショナル・ギャラリー』 フレデリック・ワイズマン
『さよなら、人類』 ロイ・アンダーソン
『彼は秘密の女ともだち』 フランソワ・オゾン
『コードネームU.N.C.L.E. 』 ガイ・リッチー
『ハッピーエンドの選び方』 シャロン・マイモン、タル・グラニット

フランソワ・オゾンとガイ・リッチーと好きな映画監督の新作が見られたのはよかった。

最後に#2011年から2015年の本ベスト約10冊というタグを見かけたので考えてみた。

『夜想曲集』 カズオ・イシグロ
『琥珀捕り』 キアラン・カーソン
『伝奇集』 ボルヘス
『オンリー・フォワード』 マイケル・マーシャル・スミス
『ロコス亭』 フェリペ・アルファウ
『怪奇小説精華』 東雅夫編
『バレエ・メカニック』 津原泰水
『七つのゴシック物語』(『ピサへの道』『夢みる人びと』) イサク・ディネセン
『ゴーレム』 グスタフ・マイリンク
『コールド・スナップ』 トム・ジョーンズ

短編では
「クレプシドラ・サナトリウム」 ブルーノ・シュルツ
「衣装戸棚」 トーマス・マン
「春は馬車に乗って」 横光利一
「ミミズ小隊」 ロバート・R・マキャモン
「少年神農」 董啓章
「プランク・ダイヴ」 グレッグ・イーガン
「舞踏会の手帖」 長谷川修
「文月の使者」 皆川博子
「人間の王」 宮内悠介
「亀鳴くや」 内田百

短編の方がすごい自分の嗜好がはっきり出たなあ。なんかこの死の匂いがする感じ。

本が読めなくなってきたのが2011年からで、読めない読めないとばかり思ってたけど、こうしてみると0って訳でもないなと思うと、若干前向きになる。

ぼんやり考えてたんですけど、自分がどんな人に嫉妬するかって考えたら、私が読んでるような本は全部読んでて、なおかつ引き出しがもっといっぱいあって、なおかつその面白さを人に伝えられる人なので、それに少し近づけるように色々読みたいと思います。
posted by すずる at 17:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書メモ