2018年05月05日

3、4月に読んだ本

3月、4月に読んだ本は6冊でした。

『MONKEY vol.14』
『丘』 ジャン・ジオノ
『翻訳夜話』 村上春樹、柴田元幸
『不思議の国のアリス』 ルイス・キャロル
『鏡の国のアリス』 ルイス・キャロル
『バッタを倒しにアフリカへ』 前野ウルド浩太郎

『MONKEY』は感想を書いたので、それ以外をちょっとだけ。



『丘』
ヘンリー・ミラーの『わが読書』に載ってたジオノ讃を読んで気になっていた。
フランスの丘っていうかわりと山の上の小さな集落での生活。そこではほとんど自給自足みたいなもので、けれど泉と畑があって1日働いたら夕暮れはテラスに集まって自家製の酒を飲んでまったりおしゃべりするような生活。
それが、寿命が近い老人が倒れた時から自然が別の顔を見せ始める。いわゆる自然が牙をむいてくるというやつ。幻視。
読んでる最中はなかなか文章に慣れなくて、ひっかかりながら読んでたけど、読み終わってどんな物語だったのか、作中で何が起きてたのかを思い返して再構築すると、けっこういい読書体験だった気がする。
むしろ小説よりも詩っぽいのかな、翻訳だと分かりにくいやつかも。




『翻訳夜話』
村上春樹と柴田元幸の翻訳に関する対談は雑誌『MONKEY』に載ったのを何度か読んでたけど、この本は聴衆がそれを学んでる学生などなので、雑誌より具体的というか実践的なやり取りに感じた。
ていうか学生のする質問が知的でレベル高くて驚く。
翻訳だけでなく文章の書き方についても学ぶことが多かったので、ゆっくり消化したい。
もう1冊買ってあるので読むのが楽しみ。




『バッタを倒しにアフリカへ』
なんか面白そうだったので買って読んでみた。フィールドワークする学者の話が好き。モーリタニアの生活や、サハラ砂漠でのフィールドワークの話、それから著者が雇ったドライバーの話が面白かった。
著者も言ってるけどブログみたいな文体でだいぶ読みやすかったけど、研究が結局どうなったのかがはっきり書かれてないので物足りないという気持ちもあった。
何はともあれこの本が売れて著者の研究の足しになっていたらいいと思う。それで次の本が出ればさらに良い。


あと、『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』を読みました。ずっとむかし子ども向けの本で読んで以来。
ちくま文庫の柳瀬尚紀訳で。
ちっさな頃はトランプの女王が怖かった記憶しかなかったけど、今回読んだらそういう感じはなかったなあ。女王が出てくる場面もどこかコミカルで、視点がより客観的な感じ。
翻訳の違いなのか自分が大人になったせいなのかは分からないから、また時間があったら今度は角川文庫で読んでみようと思う。
posted by すずる at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書メモ

2018年03月01日

1、2月に読んだ本

体感では一瞬で2月が終わってしまった。
本はほんとに読んでなかった。1、2月で読んだ本は3冊だった。
大晦日から年始にかけてはいつも特別な読書時間で、毎年選びに選んだ1冊を読むんだけど、今回はちょっと気分が乗らなくて途中で放り出してしまった。

なんとか読んだ3冊。



『御子柴くんと遠距離バディ』
12月に若竹七海の新刊が出てたので、いそいそと買っておいたのを読んだ。
長野から警視庁に出向した御子柴くんの2冊めの短編集だけど、1つめの話からある意味意外な展開で、シリーズものという先入観はいきなり粉々に打ち砕かれる。
捜査が行く先々で妙にうまくはまって進むので、多少ご都合主義的かなあと感じる部分もなくもないけれど、1つの短編にぎっしり事件と多彩な展開が詰まってるので、流れに身をまかせてしまったら満足度は高かった。
ミステリ系の感想っぽいもの書くの久しぶりすぎて、どこまでがネタバレになるのかよくわからなくなってるな。



『幻坂』
前知識なしに読んだので、ミステリじゃないっぽいけど大阪が舞台の現代版人情話みたいなもんかな?と思ってたら、違った。ホラーだった。意外。
大阪の上町台地は有栖川さんの作品かエッセイかなんかで今までも何度か出てきたと思ったけど、そこにある七つの坂それぞれが舞台になっている。こんなしっとりとしたお話書くんだなあと新鮮だったし、実際にその七坂は歩いたことがあるので、風景を思い出してそうそう、という感じもあった。
あと日想観がテーマになっているものがあって、昔の四天王寺の浄土信仰の情景描写がとても良かった。



『たべるのがおそいvol.4』
12月に半分くらい読んで、家の中でロストしていたのをやっと見つけて読み切った。
宮内悠介の芥川賞候補作とか、話題性のある作品がじわじわ載ってる感じ。そういうきっかけでこういうムックが売れるとよいなあと思う。しかしこれは芥川賞っていうより直木賞だよなー。
半分は12月に読んでるのでちょっと印象が薄れてしまった。
古典の翻案みたいな町田康が面白かった。従二位がジュニーか、ってふふってなる。
西崎憲はしかし、翻訳より小説の方が好きだなあ。
短歌は染野太朗がよかった。
このムックなどで読む最近の短歌って、けっこうなんのことを歌ってるんだろう?って一拍おいて考えてしまうのが多くて、もっとぱっと情景が浮かんで、じわじわとその情景の中にまた発見があるような奥行きの感じられる歌が好きだと思った。
posted by すずる at 22:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書メモ

2018年01月19日

2017年に読んだ本

2017年に読んだ本は35冊でした。相変わらず少ない…けれど、2016年は24冊だったので、微増とは言える。
電車では気楽に読める文庫本を持ち歩いているので、この変化は電車に乗る時間が増えた分かもなー。
家では重い本、展覧会図録とかを読んでいたり(買った図録は隅々まで読む派)、そういえば思い立って英語文法を勉強し直してたりしていました(三日坊主)。

2017年の読書といえば、『MONKEY』に加えて、文芸ムック『たべるのがおそい』を読み始めました。福岡の書肆侃侃房、梅田のジュンクの地方出版社コーナーで見かけてなかなか面白げな本がある…と思ってたら、西崎憲編集のムックがあって、年2回の発行ペースなので、それなら私でもついていけるな…と。

今んとことても好きなのは、vol.3に載ってた黄崇凱「カピバラを盗む」。
中国に宣戦布告した台湾が舞台で、戦争が始まってる(はずの)非日常にカピバラを盗んだ非日常をぶつけて妙にまったりした日常になってる変な話で、大変好みだった。この作家の訳書が出たらぜひ読みたい。

年を取って読書における自分の好みが変わったなーというのは、アンソロジーや文芸誌が面白くなったことです。若い頃は、1冊丸ごと1人の作家でないと、なんか集中が削がれて不満足だった気がする。

それから印象に残っているのは、『応仁の乱』。
読んでる最中も面白かったけど、その後で博物館に行った時に、あーこれ『応仁の乱』で読んだわ!っていうのが2回くらいあって、知識が身になった気がする。

秋はずっと、中井英夫の『虚無への供物』を、うん十年ぶりに時間をかけて再読していました。
特に黒馬荘あたりの描写がとてもよかった。人も町も。

2017年に読んだ本からマイベストをあげるとしたら、

『舟を編む』三浦しをん
『文豪怪談傑作選 川端康成集』
『闇の奥』コンラッド
『ティンブクトゥ』オースター
『完本酔郷譚』倉橋由美子
『停電の夜に』ジュンパ・ラヒリ
『虚無への供物』 中井英夫
『アンチクリストの誕生』レオ・ペルッツ

って感じです。

本の感想もあまり書かなくなっちゃったんですが、せめて月1回の読書メモくらいは読んでも読まなくてもブログに書きたいと思います。

以下は読んだ本。
『冬の夜ひとりの旅人が』 イタロ・カルヴィーノ
『二人のウィリング』 ヘレン・マクロイ
『舟を編む』 三浦しをん
『悪魔を憐れむ』 西澤保彦
『漱石入門』 石原千秋
『文豪怪談傑作選 川端康成集』
『たべるのがおそい vol.1』
『パルプ』 チャールズ・ブコウスキー
『ターミナルから荒れ地へ』 藤井光
『若い読者のための短編小説案内』 村上春樹
『応仁の乱』 呉座勇一
『闇の奥』 コンラッド
『ティンブクトゥ』 ポール・オースター
『ニャン氏の事件簿』 松尾由美
『百匹の踊る猫』 浅暮三文
『たべるのがおそい vol.2』
『完本酔郷譚』 倉橋由美子
『MONKEY vol.11』
『ツアー1989』 中島京子
『夜の夢見の川』 アンソロジー
『停電の夜に』 ジュンパ・ラヒリ
『残酷な方程式』 ロバート・シェクリー
『針がとぶ』 吉田篤弘
『たべるのがおそい vol.3』
『書架の探偵』 ジーン・ウルフ
『満願』 米澤穂信
『MONKEY vol.12』
『朱房の鷹』 泡坂妻夫
『木葉衣・鈴懸衣・踏雲録事』 行智、五来重
『虚無への供物』 中井英夫
『日本仏像史講義』 山本勉
『アンチクリストの誕生』 レオ・ペルッツ
『オリエント急行の殺人』 アガサ・クリスティー
『MONKEY vol.13』
『屍人荘の殺人』 今村昌弘
posted by すずる at 19:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書メモ

2017年07月03日

4〜6月に読んだ本

毎年7月に入るたびに、なんもしてないのに今年も半分過ぎてしまったっていう焦燥感があって今年も例外ではない。ほんと何をしてたんだろ。

4月から6月の間に読んだ本は8冊でした。読んだ順に

『百匹の踊る猫』 浅暮三文
『たべるのがおそい vol.2』
『完本酔郷譚』 倉橋由美子
『MONKEYvol.11 ともだちがいない!』
『TOUR1989』 中島京子
『夜の夢見の川』 アンソロジー
『停電の夜に』 ジュンパ・ラヒリ
『針がとぶ』 吉田篤弘

以下は印象に残った本のことをちょっとずつ。


『たべるのがおそい vol.2』

この特集の石川美南と宮内悠介の共作というのに興味を持って買った。印象的な、イメージの喚起力が強い歌とそれにまつわる異国の物語、とても良かった。
あと森見登美彦の短編が良かった。贅沢いうようだけどこういうのを定期的に読みたい。巻頭の金原瑞人を読んだら紹介されてた短歌を読みたくなった。
ムックだと知らない作家さんも読めるからけっこういいな。


『完本酔郷譚』 倉橋由美子

美青年がお酒を飲んで異郷に遊ぶ話、屏風絵の世界に入っていくような。味読に足りる文章で1編ごとにお腹いっぱいになるので少しずつ楽しんで読んだ。
お酒と共に女性が出てきてまあ必ずそういうことになるんだけど、エロいのかな、エロくないのかな、よくわからないあんまり経験ない読み心地。
しかし慧君の取り返しのつかない毒でもひとまず味わってみる姿勢には恐れ入る。


『MONKEYvol.11 ともだちがいない!』

巻頭は谷川俊太郎。ともだちがいない、いらない、亡い、ちっちゃい子から若い子から年寄りまで、性別年齢様々。ひとつひとつはさらっと読んでしまう断片だけど、読んでて気づくと猛烈に自分のことを考え語り出したくなっている。今まで、現在、これから。そういうふうに動かされる力がある言葉。
エミリー・ミッチェルの短編2つが特によかった。SFのショートショートみたいな着想が、こまやかなディテールの描写ですんなりリアリティをもって頭に入ってくる。むちゃくちゃうまい。
ラストが登場人物にとってハッピーエンドなのかバッドエンドなのか迷ってしまうような、なんか読み手の価値観が試される。
あとウィリアム・バロウズの「ジャンキーのクリスマス」も好き。


『停電の夜に』ジュンパ・ラヒリ

短編集。毎日決まった時間、夕食時にくる計画停電。すれ違いの多くなった夫婦がろうそくを点し、ひとつずつ秘密を告白し合う表題作。どう転ぶんだろうっていう先の読めない話の筋にも引っ張られるんだけど、描写の細やかさがなんといってもすごい。起きた出来事を外側から見たら、あー倦怠期ね、はいはいって簡単にラベリングしちゃうようなもんだけど、ラベリングしちゃうことでずいぶん繊細な機微を見逃してるんだと思わされた。
作者はインド系アメリカ人ってことで、アメリカにいるインド人、インド系の二世なんかの描写も面白かった。
どれが好みかなあと思うとまあ「三度目で最後の大陸」ってことになるかもしれないけど、登場人物に同調できない、感情移入しづらい話も普通だったらあまり好きじゃないってなるけどこの作者の短編だとなんか読まされるし、どれも粒ぞろい。


『針がとぶ』 吉田篤弘

短編集。今はもういない詩人の記憶を守る姪の話から始まって、なんとなしに読んでいたら、だんだんと引っかかりを覚えてきて、短編同士がどこかで繋がってる確信を持ってからは俄然引き込まれて面白く読んだ。
解説で小川洋子さんがあそこって書いてたけど、私は断然「路地裏の猿」のあの部分だなあ、と人によってそれぞれ刺さる場所が違うのがいい。
作中に出てくるなんでもあるような品数の多い雑貨屋さんで目に留まるものが人によってそれぞれ違うように。
短編として1つ選ぶなら、画家が辺鄙な半島の村でなんでも扱ってる雑貨屋と出会う「パスパルトゥ」が好き。
posted by すずる at 20:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書メモ

2017年04月13日

3月に読んだ本

3月に読んだ本は4冊でした。むちゃくちゃいい本ばかりだった。



『応仁の乱』 呉座勇一

これを読めば応仁の乱がばっちり分かるという評判を見かけて買って読んでみた。
興福寺の2人のお坊さんの日記の記述を丹念に追いながら、どこで誰が策動してて、誰と誰がどういう関係で……と適切に説明してくれる。
わりと淡々と書かれているのに、出てくる人物のリアルな人間くささが飽きさせず、大乱に至る臨場感があって読むのがやめられなくなる。
読んでいると、すごくこれ細かいところでいろいろ語りたくてしょうがなくなるので、しばらくの間、誰かれ構わず「それでその時筒井がさあー」とか喋る迷惑な人になっていた。

あと個人的に、奈良博の醍醐寺展で学んだ満済准后の知識と結びついてよかった。



『闇の奥』 コンラッド

植民地時代のアフリカ。読んでてジャック・ロンドンのアラスカの話を読んだ時と同じように、その時代、その場所の空気を吸いその目で見て経験してきた人の書く描写の強みというものを感じた。
どこか狂熱があり、どこか倦んでいる、この一攫千金かなんかよくわからないものを夢見てヨーロッパから遠くアフリカまで行った人々の空気を、コンラッド以上に濃く深く描写するのは誰にとっても不可能だろうなーと思うほどに。
謎めいた人物がいて、彼に会いに川を遡っていくときの描写がすごくいいんだよなー。

チュツオーラの描くドラムも、コンラッドの描写するドラムも、翻訳されて日本語で読めるっていうのは豊かなことだよな。岩波文庫好き。



『ティンブクトゥ』 ポール・オースター

死期を悟ったホームレス詩人が、最後の願いを叶えるために愛犬と旅に出る、そんなもう導入でこんなのに弱いとわかりきっていた。
もしかしたら天才だったのかもしれない詩人と犬の交流から、アメリカというものが浮かび上がってくる。
すごい良かったというのと、すごいやるせない読後感が同時にあった。

あと息抜きに、松尾由美の『ニャン氏の事件簿』読みました。
posted by すずる at 16:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書メモ