2014年06月13日

5月に読んだ本

5月に読んだ本は3冊でした。

『ゴーレム』 グスタフ・マイリンク 白水Uブックス
『本にだって雄と雌があります』 小田雅久仁 新潮社
『鐘楼の蝙蝠』 E・C・R・ロラック 創元推理文庫

先の2冊を4月から読んでたんだけど、かなり時間がかかった。

『ゴーレム』はプラハが舞台で、ゲットーの薄暗がりを歩く主人公の幻想的な短編集かと思ったら、長編だった。
章ごとにけっこう山場と引きがあって、雑誌かなんかで連載してたのかと思うくらい……最初の方は完成された短編を読んでるような感じでした。また挿画がすごくいいんだ。
主人公に寄り添って体験する奇妙で霊的な出来事、それに芸術家が集まって変わった話をしたり、いかがわしいお店に迷い込んだり、アンダーグラウンドな感じが居心地が良くて、もうプラハのユダヤ人街から脱出できなくなるかと思った。

読んでて不思議な感触がする、数人で集まって談笑してるのに、なんだか1人多かったような感じ。ここにもう1人いる、みたいな。

『本にだって〜』は語りは読んでて思わずげっへへと笑ってしまうくらい面白くて、でも話はいつんなったら本題に入るんだってくらいのらりくらりとしてて、読んでる瞬間は楽しいけど先が気になるような展開がないから、なかなか読み進まなかった。
文章は面白いんだけどな。

気分的に余裕がなくって、読書はちょっと停滞中……。
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2014年05月02日

4月に読んだ本メモ

4月に読んだ本は2冊でした。

『ユニヴァーサル野球協会』 ロバート・クーヴァー 白水社Uブックス
『暗い越流』 若竹七海 光文社

2冊読んだところまでは順調だったけど、その後並行して読み始めた2冊がずっと読み終わらなくて5月に突入してしまった。

『ユニヴァーサル野球協会』は、野球ゲームにのめり込む中年男の話。
熱狂的に語られる野球の試合が、次第に主人公が入念にルールを作り上げ、主人公が振るサイコロに支配された世界ということが分かり、そして現実とゲームの境が曖昧になってくる。
手法として、現実がゲームで語られるというか。
そして、冴えない主人公が次第に神に見えてくる。これは神と世界の話だと。
神はジョークが好き。神はサイコロの前に無力。神はイカれてる。
そして、神は小狡い。

『暗い越流』は若竹さん久しぶりの新刊が出たのが嬉しくて嬉しくて、いそいそとファミレスに行ってちょうどパンケーキ気分だったから春のイチゴのなんとかいうのを注文して「蠅男」を読み始めたのですごくタイムリーだった……。
たとえば喫茶店でレモン味の水が出てくると、葉村晶はこれが嫌いなんだよなーとかつい思い出してしまうように、これまた記憶に残りそうだなー。
葉村晶もの2編、ノンシリーズ2編の短編集。
相変わらずミステリとして着地した後に「何かがある」短編揃いで、もともと若竹さんは最後の一撃というかラストにこだわりがある作家さんだと思ってたけど、奇妙な味といってもいいような味を醸し出してて、どの短編も良かった。
しかし葉村さんがそんなことになってる設定もあったとはな〜。
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2014年04月01日

3月に読んだ本

3月に読んだ本は9冊でした。

『オチケン探偵の事件簿』 大倉崇裕 PHP研究所
『MONKEY vol.2』 スイッチ・パブリッシング
『シュークリーム・パニック 生』 倉知淳 講談社ノベルス
『シュークリーム・パニック W』 倉知淳 講談社ノベルス
『予期せぬ結末2 トロイメライ』 チャールズ・ボーモント 扶桑社ミステリー
『ぶたぶたのお医者さん』 矢崎存美 光文社文庫
『NOVA 5』 大森望編 河出文庫
『幽女の如き怨むもの』 三津田信三 原書房
『半七捕物帳 5』 岡本綺堂 光文社文庫

たくさん読んだわりに印象に残るものは少なかった。

オチケン探偵は話の大筋は楽しいんですけど、細かいところが気になってしまって…大学の先輩が1年生の新入部員によってたかって飲み代とか万単位のお金払わせるのってどうなのっていうかわりと私の中でアウトなので、そういうところで嫌な気分になってしまうのはもったいない……けどしょうがない。

『NOVA 5』はスペース金融道が面白かった。

三津田さんは地方の遊郭が舞台の刀城シリーズ。うーん、花魁の手記とか一人称はもっと生々しくて怖ろしいものを読んだことがあるから物足りないっていうか、一人称の手記なのに描写が客観的すぎてのめり込めない感じ。シリーズの他の作品に比べるといまいちだった。

半七は御一新が近づいて慌ただしい江戸の、なんだかやりきれないような悪人の事件が出てきて、明治になって過去の話として語られてるんだけど、世も末だねえっていう独特の雰囲気になってきた。
そういえば、泡坂妻夫の宝引の辰も最後の方はこんな雰囲気だった気がするなあ。半七を読み終わったら、宝引の辰を読み返してみよ。
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2014年03月01日

2月に読んだ本

2月に読んだ本は3冊でした。あと『弱虫ペダル』32巻まで一気に読みました。

『スペシャリストの帽子』 ケリー・リンク ハヤカワ文庫
『第三の警官』 フラン・オブライエン 白水Uブックス
『「幽霊」が隣で聞いている』 蒼井上鷹 祥伝社

ケリー・リンクは『マジック・フォー・ビギナーズ』を先に読んでこっちは長いこと積んでたけど、もっと早く読めばよかった。
一見無関係なセンテンスが読んでくうちにリンクしていくのが不思議な読み心地。あと、奔放そうで繊細さを残してる少女の描写が。
最初の「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」から好み。いいよね、この死んでるのに死に損なってる感じ…。読みようによっては幽霊の話にも、走馬灯の話にも、ゾンビにも取れる。
「飛行訓練」、読み始めは主役の女の子が好みじゃなくて距離を置きつつ読んでたのに最後はうっかり泣かされたわ。なんという豪腕。こういう女の子が無謀な冒険に飛び出していく物語に弱いんやー。
柴田元幸さんがなんかの雑誌のアメリカのホラー特集でケリー・リンクを上げてらしたけど、確かに何が怖いかわからないけどそこはかとなく怖い感じがする。

『第三の警官』は
関節はどれもこれも力がぬけ、阿呆面で、実用性皆無のありさまです。

とか、とぼけた語り口が面白いんだけど、読んでてこの作者イカれてるんじゃないかという不安が拭えない。
主人公が出会う人々が語る奇妙な論理に笑いつつも、この論理をこのまま押し進めたら、どうして正気でいられるんだろう?という気がしてきてですね、「コレハナンタル展開!」とジョーの口調も感染力が強いし、あわよくば本文を乗っ取ろうという気概のある注釈とか、争いすぎな研究者の実在も疑わしくなってくるし、とにかく読者を狂気に引きずり込もうという気迫を感じた。
奇書というにふさわしいんじゃないですか。

罰せられて然るべきなのだ、とぼくは答えました。巡査部長の言によれば、ぼくがここには存在しないという理由でね。
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2014年02月01日

1月に読んだ本

1月に読んだ本を読んだ順に

『戦闘妖精・雪風<改>』 神林長平 ハヤカワ文庫
『箱庭図書館』 乙一 集英社文庫
『刑事コロンボ 13の事件簿』 ウィリアム・リンク 論創社
『短篇小説日和』 ちくま文庫
『日本建築集中講義』 藤森照信、山口晃 淡交社
『ゆめこ縮緬』 皆川博子 集英社文庫
『死神の浮力』 伊坂幸太郎 文藝春秋
『読み解かれるD』 津原泰水 新潮文庫

今年の1冊目は神林長平でした。アンソロジーで1編目を読んでこれかっこいい!と思って揃えておいたのだ。
なんというかこの、主人公の零のナイーヴな感じがたまらないです。

あとは、『短篇小説日和』ではT・F・ポウイス「ピム氏と聖なるパン」が好き。マージョリー・ボウエン「看板描きと水晶の魚」に惹かれた。

皆川博子の『ゆめこ縮緬』は最初に読んだときに、「文月の使者」でこの色気はやばいと思って1年寝かして、またちょろっと読んで満足して1年寝かして、3年目でやっと耐性がついたのか最後まで読めた。
まあつまりこの文章を読むのは体にゆっくり毒を入れていくようなもんですよね。
登場人物たちが意図的に視野を狭くしている感じがする。見たくないものをあえて目に入れないでいる不自然さというか。
「文月の使者」、「桔梗闇」、「花溶け」が好き。「青火童女」の落ち椿の屋敷の描写は夢に見そう。

『読み解かれるD』はクロニクル・アラウンド・ザ・クロックの3冊め、これで完結。
津原さんの小説の登場人物は、小説の都合で行動しないから……このシリーズだと一応ミステリなんだけど、登場人物それぞれの目的が、ミステリというジャンルの論理を優先しないから、ジャンル小説を読むというよりは、登場人物たちの人生が重なる点で、狭いコミュニティを俯瞰してるような読み心地がする。
良かった。今から読む人は、続きを早くーーーとか思わずに一気読みできるから幸せだ。
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