2014年03月01日

2月に読んだ本

2月に読んだ本は3冊でした。あと『弱虫ペダル』32巻まで一気に読みました。

『スペシャリストの帽子』 ケリー・リンク ハヤカワ文庫
『第三の警官』 フラン・オブライエン 白水Uブックス
『「幽霊」が隣で聞いている』 蒼井上鷹 祥伝社

ケリー・リンクは『マジック・フォー・ビギナーズ』を先に読んでこっちは長いこと積んでたけど、もっと早く読めばよかった。
一見無関係なセンテンスが読んでくうちにリンクしていくのが不思議な読み心地。あと、奔放そうで繊細さを残してる少女の描写が。
最初の「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」から好み。いいよね、この死んでるのに死に損なってる感じ…。読みようによっては幽霊の話にも、走馬灯の話にも、ゾンビにも取れる。
「飛行訓練」、読み始めは主役の女の子が好みじゃなくて距離を置きつつ読んでたのに最後はうっかり泣かされたわ。なんという豪腕。こういう女の子が無謀な冒険に飛び出していく物語に弱いんやー。
柴田元幸さんがなんかの雑誌のアメリカのホラー特集でケリー・リンクを上げてらしたけど、確かに何が怖いかわからないけどそこはかとなく怖い感じがする。

『第三の警官』は
関節はどれもこれも力がぬけ、阿呆面で、実用性皆無のありさまです。

とか、とぼけた語り口が面白いんだけど、読んでてこの作者イカれてるんじゃないかという不安が拭えない。
主人公が出会う人々が語る奇妙な論理に笑いつつも、この論理をこのまま押し進めたら、どうして正気でいられるんだろう?という気がしてきてですね、「コレハナンタル展開!」とジョーの口調も感染力が強いし、あわよくば本文を乗っ取ろうという気概のある注釈とか、争いすぎな研究者の実在も疑わしくなってくるし、とにかく読者を狂気に引きずり込もうという気迫を感じた。
奇書というにふさわしいんじゃないですか。

罰せられて然るべきなのだ、とぼくは答えました。巡査部長の言によれば、ぼくがここには存在しないという理由でね。
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2014年02月01日

1月に読んだ本

1月に読んだ本を読んだ順に

『戦闘妖精・雪風<改>』 神林長平 ハヤカワ文庫
『箱庭図書館』 乙一 集英社文庫
『刑事コロンボ 13の事件簿』 ウィリアム・リンク 論創社
『短篇小説日和』 ちくま文庫
『日本建築集中講義』 藤森照信、山口晃 淡交社
『ゆめこ縮緬』 皆川博子 集英社文庫
『死神の浮力』 伊坂幸太郎 文藝春秋
『読み解かれるD』 津原泰水 新潮文庫

今年の1冊目は神林長平でした。アンソロジーで1編目を読んでこれかっこいい!と思って揃えておいたのだ。
なんというかこの、主人公の零のナイーヴな感じがたまらないです。

あとは、『短篇小説日和』ではT・F・ポウイス「ピム氏と聖なるパン」が好き。マージョリー・ボウエン「看板描きと水晶の魚」に惹かれた。

皆川博子の『ゆめこ縮緬』は最初に読んだときに、「文月の使者」でこの色気はやばいと思って1年寝かして、またちょろっと読んで満足して1年寝かして、3年目でやっと耐性がついたのか最後まで読めた。
まあつまりこの文章を読むのは体にゆっくり毒を入れていくようなもんですよね。
登場人物たちが意図的に視野を狭くしている感じがする。見たくないものをあえて目に入れないでいる不自然さというか。
「文月の使者」、「桔梗闇」、「花溶け」が好き。「青火童女」の落ち椿の屋敷の描写は夢に見そう。

『読み解かれるD』はクロニクル・アラウンド・ザ・クロックの3冊め、これで完結。
津原さんの小説の登場人物は、小説の都合で行動しないから……このシリーズだと一応ミステリなんだけど、登場人物それぞれの目的が、ミステリというジャンルの論理を優先しないから、ジャンル小説を読むというよりは、登場人物たちの人生が重なる点で、狭いコミュニティを俯瞰してるような読み心地がする。
良かった。今から読む人は、続きを早くーーーとか思わずに一気読みできるから幸せだ。
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2014年01月01日

12月に読んだ本

12月に読んだ本を読んだ順に

『ピサへの道』 イサク・ディネセン 白水Uブックス
『玩具店の英雄』 石持浅海 光文社
『日本SF短篇50 X』 ハヤカワ文庫
『サンタクロースにご用心』 シャーロット・マクラウド編 扶桑社文庫
『盤上の夜』 宮内悠介 東京創元社
『夢みる人びと』 イサク・ディネセン 白水Uブックス
『失踪者たちの画家』 ポール・ラファージ 中央公論新社
『in our time』 アーネスト・ヘミングウェイ ヴィレッジブックス

8冊でした。
クリスマスから大晦日までは特別な時間なので、読む本も今年買った中でも特別な印象を残しそうな本を中心に選んでいます。
白水Uブックスで始まった「永遠の本棚」シリーズをとりあえず買ってみて読んでみましたが、イサク・ディネセン、これすっっっげー好き。
小道具はゴシックなんだけど、登場人物が自分とは何か人生とは何かって考えるのと同じ真剣さで自身がお芝居の登場人物だと理解している不思議な距離感。自分自身が物語られることに自覚的っていうか。作中で語られてる物語の層がぐるんとなって現実がさっきまで語られてた物語になっちゃってるとか、わー。なんだこりゃー。
「ノルデルナイの大洪水」なんかほんと震えた。それから「猿」。なんなんだろうなーこれ。己の処女はもはや己の拳で守るのみ!っていう雄々しい乙女と、処女なんて全くいらないのに結婚しなければならない美青年の喜劇。グロテスクなんだけど、最終的に、えーっと…お似合いですね。みたいな。
他の著書も探そう……。

『日本SF短篇50 X』は2003〜2012年。かっこいいなあ。あっ、SFってかっこいいと思ってたんだって思い出した。
4までは傑作集ってことであまり意識してなかったけど近年の作品のせいかな、この並べ方には意図を感じる。読み手を巻き込む、今まさに未来がここに来ているよっていう。
「The Indifference Engine」は天然にかっこいい。「自生の夢」は『NOVA』で読んだ時と印象が違うなー、これもアンソロジーの醍醐味かもしれないけど、単に2回めだから理解がちょっと進んだのかも。
「人間の王」はすごく好き!「きみに読む物語」は挑発的ですごいなーこれ。「そう。SF」って言われたら恋に落ちるしかないでしょ。

で、「人間の王」があまりに好みだったので急遽これが収録されている『盤上の夜』を読んでみました。うーん、やっぱり「人間の王」が飛び抜けて好きかな、あと麻雀の話の登場人物たちの描写が楽しかった。

ポール・ラファージは柴田訳安心の信用買いで、またしても変な話だった……。いかにも寓話ですよ? と言わんばかりのとりとめのない展開にふわふわ読み終わったけど、読んだ後で話を再構成してみるとなんかとんでもないことが起きている話だったような気がしてくる。

そして、今年は『こころ朗らなれ、誰もみな』で始まったので、大晦日の締めの読書もヘミングウェイにしました。
『モンキービジネス』で1回読んでるので再読なんですけど、『心朗らなれ〜』を読んだ後だと、読み方が分かってきた気がします。
ヘミングウェイの文章は机に向かって推敲したというより、眠れない男が夜ベッドに横たわって天井を眺めながら同じ場面を何度も繰り返しているうちに結果的に研ぎ澄まされたという感じがする。

2013年に読んだ本は52冊、買った本は大体90冊でした。(家族が買った本は数えていない)
2014年はもう少しこの数字の差を小さくしたい、というか逆転しないとな。
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2013年11月30日

11月に読んだ本

11月に読んだ本はだいたい7冊でした。

『鋼』 ダン・シモンズ ハヤカワ・ノヴェルズ
『日本SF短篇50 V』 日本SF作家クラブ ハヤカワ文庫JA
『日本SF短篇50 W』 日本SF作家クラブ ハヤカワ文庫JA
『書店はタイムマシーン』 桜庭一樹 創元ライブラリ
『お好みの本、入荷しました』 桜庭一樹 創元ライブラリ
『MONKEY No.1』 スイッチ・パブリッシング
『オランダ靴の秘密』 エラリー・クイーン 角川文庫

日本SF短篇50は大体80年代〜90年代。私はミステリ比重の方が大きいので、90年代とかはだいたい新本格の時代だなーといううすらぼけた記憶だけど、Wあたりから既読が増えてきた。
2000年代に入ってから、早川のJコレクションとかハヤカワ文庫JAで、あっ、あとロバート・J・ソウヤーとかミステリ者にも話題になった本が出てきて、それで気になってSF読み始めたんだよな〜確か。
「引綱軽便鉄道」「くるぐる使い」「計算の季節」「かめさん」が好き。
しかし、SFの短編のアンソロジーってほんと色々あるなあ。次はゼロ年代日本SFベスト集成を読もう。

桜庭一樹の読書日記は、1と4を先に単行本で読んでしまい、2と3を文庫で買っておいていた。文庫化の時に、通し番号つけて欲しかったなー。読書日記1、とか。
エッセイも面白いし、読みたい本も見つかるしで言うことない。ほんと、本を好奇心をそそるように紹介できる人には憧れる。
特に3は短編集が多めだったのでたくさんメモした。

憧れる読書家って何人かいて、北村薫は先生、狐さんは優しい親戚のおじさん、ヘンリー・ミラーは大学のサークルOBみたいなイメージで、桜庭さんは女子高の部活の先輩って感じ……。

『MONKEY』の感想は別口で。
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2013年11月02日

10月に読んだ本

10月に読んだ本は8冊でした。

『ぶたぶた洋菓子店』 矢崎存美 光文社文庫
『日本の10大庭園』 重森千 祥伝社新書
『みんなの図書室 2』 小川洋子 PHP文芸文庫
『小鬼の市』 ヘレン・マクロイ 創元推理文庫
『ペンギン・ハイウェイ』 森見登美彦 角川文庫
『幻想小説神髄』 東雅夫編 ちくま文庫
『変調二人羽織』 連城三紀彦 講談社文庫
『半七捕物帳 4』 岡本綺堂 光文社文庫

ぶたぶたさんは、ストレスがたまりまくった時の癒やし用にとっておいてたら、最近それほどストレスたまってなかったので代わりにぶたぶたさんが貯まっていた。

重森千は重森三玲の孫だそうで、たまたま書店で見かけたので買ってみましたが、10大……と言いつつただメジャーな名園を並べてあるんじゃなくて、日本庭園の歴史を概観しつつ日本庭園とは何かというテーマを浮き彫りにして、なおかつ著者のこだわりの庭園鑑賞の視点も読ませてもらえるという至れり尽くせりの本でした。
印象に残ったのは西芳寺庭園で、応仁の乱で建築が失われて自然に返っていく過程にある、まさに廃墟の美であると共に、時間の経過によって新たな価値が生まれたってとこ。庭に何を見立て何を感得するか。人の手と自然のバランス、そして時間の経過。名園は連綿と名前も残らない人達の手によって保たれていること……。

久々に読んだ森見さんは、小学生の一人称になんかのれないなーと思いつつ読んでいたけど、最後はうっかり泣かされた。

最近、短編集を1日1編とかずつ読んでいくペースがちょうどよくて、なかなか長編に手が伸びません。
しかし11月は引き続き今年買った本を読んでいきたいところ。
 
 
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