2018年01月09日

ブログの手直し

正月休みの最後の方に思い立って、タグを追加したりカテゴリを振り直したり、ブログの手直しをしました。
去年ちょっとしたことを調べた時にブログをいくつか巡って、信頼できそうな書き手の個人ブログってやっぱいいものだなーと、自分のブログも大切にしようと改めて思いました。

で、過去記事を確認してると、ブログをジャンルごとに分けようとしてあちこちに作ってみて、結局飽きてここに集約したんだけど、そのどさくさに紛れて画像をたくさんロストしたんだよなあとか、いろいろ感慨がありました。
そう、twitter使うときも、趣味と日常とかでアカウント分けたらどうだろう…ってたまに思うんですが、これ何年も前にブログで通った道だ。私の場合、結局どれも更新しなくなる。

それから、やっぱりここって読書ブログだったなあ、と。10年前は読書の話題がほんとに多かった。
私は高校生くらいの頃にいわゆる古典的なミステリをよく読んでいて、大学生の時に地元の本屋で平積みされてた館シリーズと出会って、それからミステリ同好会に入ったというミステリ読みで、このブログを始めて何年かくらいまではずっとジャンル読者だったのですが、それが変化したきっかけもブログを読んでいるとはっきり思い出しました。
国書の世界探偵小説全集を読んでて、教養というか知識があったほうがいいなーとイギリス小説クエストを始めたこと。(途中で止まってるけど)
ちくま文庫の北村薫と宮部みゆき編の名短編アンソロジーを読んだこと。
文芸誌モンキービジネスを読み始めたこと。
この3つが大きかったです。

それから叢書ってけっこう読んでよかったなーと思っているものがいくつかあって、ミステリだと国書刊行会の世界探偵小説全集、SFだと河出の奇想コレクション、あとNOVA。海外小説だと白水uブックスの永遠の本棚。

とつらつら思い出したところで、今年は昨年よりはたくさん読みたいけどどうかなー。
posted by すずる at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書

2017年12月26日

2017年のMONKEY

あまり本の感想をまともに書かなくなってしまった…というかそもそもまともに本を読んでもいないのだが、『MONKEY』だけはずっと継続して読んでることもあり、読んだ印象を残しておきたいので、今年も3冊分まとめておく。



特集は「ともだちがいない!」
巻頭は谷川俊太郎。ともだちがいない、いらない、亡い……ちっちゃい子から若い子から年寄りまで、性別も年齢もばらばらな断片。そういえば「ともだちがいない」という言葉から思い描いていたのは自分のことだけだった。同じ言葉で思い浮かべる顔は人によって違う。当たり前だけど、作者の引き出しが多い。
ひとつひとつはさらっと読んでしまうけど、気づくと自分のことを考えてとにかく何か語り出したくなっている。
今まで、現在、これから。そういうふうに人を動かす言葉。

感想からはずれちゃうけど、そういうふうにしてせっかく考えたことなのでついでに書いておく。

自分にとって友達とは何かというと、チェスタトンの短編の好きな言葉、
「友情は時間を蕩尽する」
やっぱこれに限ると思う。
共に長い時間を過ごした人。
なんか私にとっては、友達とは後になって定義するものだなー。思い返せばあれが友達だった、みたいな。
だからお友達紹介してって言われるといつも友達はいませんって答える。

それからエミリー・ミッチェルの短編が2つ。
店員のスマイルが数値化され評価に影響する世界とか、自分の娘が選んだおともだちロボットが、嫌いな大きな蜘蛛だったとか、SFのショートショートみたいな着想が、こまやかなディテールの描写ですんなり入れるし、説得力があってとても自然に読める。
ラストが登場人物にとっていいのか悪いのか迷うような、読み手の価値観が試される感じ。うまい短編書くなああと素直に感心する。

短編の後に村田沙耶香と伊藤比呂美がこれをどう読んだかというインタビューがあって、巻末の村上春樹のアンデルセン文学賞受賞スピーチも、アンデルセンの「影」の話をしていて、作家さんの「読みドコロ」を面白く読んだ。

あとはバロウズの「ジャンキーのクリスマス」が好き。



特集は「翻訳は嫌い?」
柴田元幸の日本翻訳史講義が受けられるとなったら、参加費と交通費を払ってでも行くという人はいくらもいると思うけど、これを買うとそれの明治篇前半が載っててしかも好きな時に何度でも読める。ほんとMONKEYってサイコー。とステルスしてないマをする。

確かモンキービジネスの時も翻訳とついた特集号があったと思う。(翻訳増量号)
あれもめちゃ気合が入っていたが、あっちはすごいカッコいい短編がどーんどーんどーんと大ボリュームで載ってたのに対し、こっちはもっと翻訳という行為について、なんていうか母語で書かれたんではない小説を読むということについて、日本の翻訳の歴史とか、翻訳する人がどんな所に目を配ってるかとか、翻訳モノはまあ読む方だけど、普段は気にしたことないとこを改めて認識させられてかなり読み応えある号だった。

それから面白い試みもあった。
石川美南の短歌(英訳)を読んだケヴィン・ブロックマイヤーが、それを小説に「翻訳」した「大陸漂流」とか。
『たべるのがおそい』の2号にも、石川美南と宮内悠介の共作があったけど、石川美南の短歌はどんどん新しい物語を生むんだよなー。強い。
短歌の引用って迷うところだけど、それとその英訳があまりにも魅力的だったのでここで引用紹介させていただく。


陸と陸しづかに離れそののちは同じ文明を抱かざる話
A tale where two continents quietly separate and cease to share a common civilization.



それからリディア・デイヴィスの「ノルウェー語を学ぶ」は、ちょっとしかかじったことのないノルウェー語の小説を、辞書などを使わずに読む試みの記録。しかもダーグ・ソールスターのこれは小説なのか?と議論を呼ぶようなややこしく長大な何かを。元々複数の言語の素養があるからできることかもしれないけど、知らない言語を少ない手がかりから習得していく経緯はなかなか興味深かった。そして、そうまでして未知の言語の小説を読むということ。

あと小沢健二の「日本語と英語のあいだで」。息子さんが言葉を覚えて使いこなしていくことから始まる2つの言語にまつわる話は、音に注目していて新鮮であととてもかわいい。
この人の文章読むたびに好感をもつ。

小説では伊藤比呂美の「死んでいく人」が、決して感情的な書き方ではないのにほんとエモいとはこのことって感じで引きずられた。



「食の一ダース 考える糧」特集。
食がテーマの競作。今回は日本作家の短編が多めで、食テーマの短編っていってももちろんMONKEYだから、もやつくことがある毎日だけれどあったかいご飯を食べてほっこり〜なんてことには当然ならず。読んだことない最近の作家さんのちょっと変な話がいろいろと読めて面白かった。
奇妙な話が色々で大変好みだったけど、中でも村田沙耶香、砂田麻美がとてもよかった。前者はまあ現実の範囲内で後者はちょっとSF的な設定なんだけど、語り口が逆っぽいというか…。
それから堀江敏幸と戌井昭人も面白かった。
それになんといっても、それぞれの短編につけられた食事の写真が、一見よくいうインスタ映え的な写真がどことなく不穏で、美味しそうとストレンジの絶妙な中間で、それぞれの短編に合っていて良かった。

食テーマの競作に前号から続く柴田元幸の「日本翻訳史明治篇」講義後半に、ボブ・ディランが『白鯨』と『西部戦線異状なし』と『オデュッセイア』を語るノーベル文学賞受賞講演の3本立て(+いつもの連載)という豪華仕様でした。
タグ:文芸誌
posted by すずる at 14:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書

2016年12月26日

ダ・ヴィンチとかこのマンとか

年末になるとランキング本が出てくるので、なんとなく気にしている。
「趣味は?」と聞かれたら読書と答える人生を送っているが、年々意欲が、読む数も読書に費やす時間も減ってきて、10代20代のむちゃくちゃ読んでた貯金を食いつぶすばかりで、ここ数年の話題作とか全く知らないし分かってない。
これじゃいけないと、今年は久しぶりにダ・ヴィンチのブックオブザイヤー特集号を買ってみた。

あ、違った。

今年、石黒正数の『それでも町は廻っている』が完結した。
アワーズで連載を読んでいて、これはというエピソードが続いたのに最終回が近いことに気付いてなく、「次号最終回」で「えええまさかの展開?」となり、それから「これが最終回??」となり、過去の巻を読み返して「おおおーーーー!!!」と…最終巻出たら、じっくり全巻を読み返そうと思う。
それはそれとして、石黒正数の2P漫画が載るって知って買ったん。ダ・ヴィンチ。

ランキングも参考にしたけど、あと米澤穂信の古典部シリーズ最新刊のインタビューがあって、それがよかったのと、穂村弘の「短歌ください」が傑作だらけでたまげた。

雑誌『ブルータス』も、12月は読書特集なのでその時だけ買って読んでいる。
今年はテーマが「危険な読書」で、最初から荒俣宏さんの対談とか嬉しい。
両方とも読みたい本をメモしたので、おいおい読んでいきたい。

あと今年は久しぶりに『このマンガがすごい!』も買ってみた。
ランキングはあまり相性が合わないというか、「こんなマンガを知ってて評価してる俺って分かってるでしょ?」オーラがなんか…こう…あるよね。
売れてるマンガのタイトルは目に入って来やすいから、まあそういう話が聞きたいのではある。
「これが人気あります」よりも、「自分が読んだ中でこれが今年面白かったよ」っていろんな人のが聞けるのがいいみたいな。

で、ランクインした作品が載ってる雑誌トップ20というのがあって、それを見れば注目されてる雑誌がわかるなーと見てみると、

月刊フラワーズ
Kiss
別冊マーガレット
週刊少年ジャンプ
少年ジャンプ+
フィール・ヤング
月刊コミックZERO-SUM
モーニング
月刊アクション
月刊ヤングマガジン
ITAN
ハルタ
月刊アフタヌーン
週刊ヤングマガジン
トーチ web
デザート
月刊!スピリッツ
週刊ヤングジャンプ
ビッグコミックスペリオール
プチコミック

で、ジャンプしか読んでなかった。それはランキングが見たことない作品だらけなわけだ。
それからwebコミックが強かったというのが書いてあったけど、ネット広告でかなり見かけたタイトルが入っていたので、やっぱ広告の効果があったということなのかなー。

マンガってどのくらい読んでるかな?と今年は数えてみたら、だいたい月10冊+週刊誌2冊、月刊誌3冊で、もうちょっと読んでもいいなと思うので、じわじわ好みに合いそうな雑誌を見つけていきたい。

今年読んで面白かった本とマンガの話は年明けにします。
posted by すずる at 13:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書

2016年12月15日

2016年のMONKEY

今年もあまり読書してなかったけど、年3冊発行の『MONKEY』はかろうじてついていってます。



vol.8は東京国際文芸フェスティバルに合わせた「2016年の文学」特集。
巻頭のオルハン・パムクの「事物の無垢〈抄〉」は実際にオープンした自作の小説とリンクする博物館の図録みたいなもので、個人的な物語みたいな、70-80年代のイスタンブールの記録として民俗学的価値が出そうな、よその国の読者からみると異文化として面白くて、本読みで博物館スキーとしては2度おいしい。
『無垢の博物館』はいつか読もう。

特に刺激的だったのはイーユン・リー「小さな犠牲」。
ペットとして飼ってる豚が大きくなりすぎちゃって、大家から処分を迫られてる女性の話。っていうとなんかコメディっぽいな、全然そんなことなくて、語られるのは主に主人公とその母の関係。
母が娘に言った台詞として
「他人の人生で人が重みを持つとしたら、それは何を与えるかではなく、何を奪えるかだ」
こういうのが出てくるのが凄い。

猿からの質問は海外の作家に聞いた「自国の本で日本の読者に読んで欲しい本」と「日本の本で自国の読者に読んで欲しい本」が面白かった。
ロシアでいい翻訳家に恵まれて短歌や俳句が紹介されてるなんて初めて知った。

対談とかも面白かったけど、文芸フェスティバルには興味を持てなかった、ていうか…自分が現代作家の本を、ほんっとに、読んでないなーと改めて感じた。
読んでないとその場には行けないな、と。
これは原語で読む人と翻訳でしか読めない人の溝かもなあ。なんて言って単にコンプレックスが露呈しただけかもしれない。
ガイブン読みも極まればいつか原書でっていうのはあるよな。素晴らしい翻訳でたくさん新刊が出てるって環境に感謝はあれど。




vol.9は「短篇小説のつくり方」特集。メインはグレイス・ペイリー。初めて読んだ作家で、短篇もインタビューも凄く歯応えがあった。
「死せる言語で夢を見るもの」が特に好き。
主人公は老人ホームにいる両親に会いに行った女性。家族間の愛情は時として義務的に、時として滑稽な喜劇にも悲劇にもなる。
ありふれた家族の一コマでも組み立て次第で怖いことできるなあ。どこにも行き場がないイメージ、移民と老人ホームのそれが重なった時の破壊力はおそろしかった。
ばらばら寸前で踏みとどまる一家族の不幸が普遍性を持つ。
インタビューがほんとよかった。根っからの作家というか、物語の語り手としてのスタイルに憧れる。
ガチのフェミニストだけど作品にあまり主義主張っぽいのが表面に出てこないのは、女性に肯定的に共感していくスタイルにあるのかも。語り手よりもまず良い聞き手であるということ。
あとインタビューの中にあった、物語が元々あって、でもその物語の真相をただしく伝える語り方が分かるまでに時間がかかったという所が印象に残った。

他の短篇で印象に残ったのはムナ・ファドヒル。18年捕虜だった男が解放される話で、落ちもうまく決まってるけど、解放されることに半信半疑でとある行動をする、そこの描写、その切実さにちょっと涙出た。
あと、マシュー・シャープはラストの1文が、混乱と悲しさと未知の何かへの期待とが入り混ざって複雑でなおかつロマンティックで、なんていうか、こんな文が出てくるということに嫉妬した。
この号は読み応えがあった。




vol.10は「映画を夢みて」特集。
ポール・オースターは少年が見た映画の筋をたどる話。もしかしたらB級SFなのかもしれないけど、少年が大きな影響を受けたのがよく分かる。少年の全てを変えてしまう力を持つもの。
映画のあらすじを丁寧に語ってるのが、ちゃんと小説になってるのがすごいと思った。
カズオ・イシグロのドラマ脚本もかなり奇妙な話で良かった。どっちもイメージ喚起力が強かった。

西川美和のインタビューは映画監督として、作家として物語の描き方がどう違うかとか、面白かった。
映画監督はスタッフを背負う責任があるということ、あと打ちのめされるような映画だったらほんとぐうの音も出ないようなものを…のくだりが良かった。

映画ってそういうところがある。
タグ:文芸誌
posted by すずる at 23:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書

2016年12月14日

夜行

森見登美彦の『夜行』を読んだ。

鞍馬の火祭りの夜、宿に集まった仲間がそれぞれ語る、列車と奇妙な銅版画にまつわる話。
10年前に消えた女の子の、消失の謎にだんだんアプローチしていく話なのかな〜と思いつつ読み始めたけど、語られていくのは語り手個人の身に起きた奇妙な出来事で、すっきりするというよりは次第にもやもやが積み重なっていく。
茫漠とした列車の旅の行き着く先は奇妙な絵画の中の閉じた世界だったような、閉じ込められたと思ったらその闇はもっと広い場所に繋がっていたような、時間も空間も此方と彼方もくるくるひっくり返るような。

いい怖い話でした。津軽と天竜峡が特に好き。
久しぶりに肌が粟立つ感じを味わった。


posted by すずる at 23:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書