2016年12月26日

ダ・ヴィンチとかこのマンとか

年末になるとランキング本が出てくるので、なんとなく気にしている。
「趣味は?」と聞かれたら読書と答える人生を送っているが、年々意欲が、読む数も読書に費やす時間も減ってきて、10代20代のむちゃくちゃ読んでた貯金を食いつぶすばかりで、ここ数年の話題作とか全く知らないし分かってない。
これじゃいけないと、今年は久しぶりにダ・ヴィンチのブックオブザイヤー特集号を買ってみた。

あ、違った。

今年、石黒正数の『それでも町は廻っている』が完結した。
アワーズで連載を読んでいて、これはというエピソードが続いたのに最終回が近いことに気付いてなく、「次号最終回」で「えええまさかの展開?」となり、それから「これが最終回??」となり、過去の巻を読み返して「おおおーーーー!!!」と…最終巻出たら、じっくり全巻を読み返そうと思う。
それはそれとして、石黒正数の2P漫画が載るって知って買ったん。ダ・ヴィンチ。

ランキングも参考にしたけど、あと米澤穂信の古典部シリーズ最新刊のインタビューがあって、それがよかったのと、穂村弘の「短歌ください」が傑作だらけでたまげた。

雑誌『ブルータス』も、12月は読書特集なのでその時だけ買って読んでいる。
今年はテーマが「危険な読書」で、最初から荒俣宏さんの対談とか嬉しい。
両方とも読みたい本をメモしたので、おいおい読んでいきたい。

あと今年は久しぶりに『このマンガがすごい!』も買ってみた。
ランキングはあまり相性が合わないというか、「こんなマンガを知ってて評価してる俺って分かってるでしょ?」オーラがなんか…こう…あるよね。
売れてるマンガのタイトルは目に入って来やすいから、まあそういう話が聞きたいのではある。
「これが人気あります」よりも、「自分が読んだ中でこれが今年面白かったよ」っていろんな人のが聞けるのがいいみたいな。

で、ランクインした作品が載ってる雑誌トップ20というのがあって、それを見れば注目されてる雑誌がわかるなーと見てみると、

月刊フラワーズ
Kiss
別冊マーガレット
週刊少年ジャンプ
少年ジャンプ+
フィール・ヤング
月刊コミックZERO-SUM
モーニング
月刊アクション
月刊ヤングマガジン
ITAN
ハルタ
月刊アフタヌーン
週刊ヤングマガジン
トーチ web
デザート
月刊!スピリッツ
週刊ヤングジャンプ
ビッグコミックスペリオール
プチコミック

で、ジャンプしか読んでなかった。それはランキングが見たことない作品だらけなわけだ。
それからwebコミックが強かったというのが書いてあったけど、ネット広告でかなり見かけたタイトルが入っていたので、やっぱ広告の効果があったということなのかなー。

マンガってどのくらい読んでるかな?と今年は数えてみたら、だいたい月10冊+週刊誌2冊、月刊誌3冊で、もうちょっと読んでもいいなと思うので、じわじわ好みに合いそうな雑誌を見つけていきたい。

今年読んで面白かった本とマンガの話は年明けにします。
posted by すずる at 13:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書

2016年12月15日

2016年のMONKEY

今年もあまり読書してなかったけど、年3冊発行の『MONKEY』はかろうじてついていってます。



vol.8は東京国際文芸フェスティバルに合わせた「2016年の文学」特集。
巻頭のオルハン・パムクの「事物の無垢〈抄〉」は実際にオープンした自作の小説とリンクする博物館の図録みたいなもので、個人的な物語みたいな、70-80年代のイスタンブールの記録として民俗学的価値が出そうな、よその国の読者からみると異文化として面白くて、本読みで博物館スキーとしては2度おいしい。
『無垢の博物館』はいつか読もう。

特に刺激的だったのはイーユン・リー「小さな犠牲」。
ペットとして飼ってる豚が大きくなりすぎちゃって、大家から処分を迫られてる女性の話。っていうとなんかコメディっぽいな、全然そんなことなくて、語られるのは主に主人公とその母の関係。
母が娘に言った台詞として
「他人の人生で人が重みを持つとしたら、それは何を与えるかではなく、何を奪えるかだ」
こういうのが出てくるのが凄い。

猿からの質問は海外の作家に聞いた「自国の本で日本の読者に読んで欲しい本」と「日本の本で自国の読者に読んで欲しい本」が面白かった。
ロシアでいい翻訳家に恵まれて短歌や俳句が紹介されてるなんて初めて知った。

対談とかも面白かったけど、文芸フェスティバルには興味を持てなかった、ていうか…自分が現代作家の本を、ほんっとに、読んでないなーと改めて感じた。
読んでないとその場には行けないな、と。
これは原語で読む人と翻訳でしか読めない人の溝かもなあ。なんて言って単にコンプレックスが露呈しただけかもしれない。
ガイブン読みも極まればいつか原書でっていうのはあるよな。素晴らしい翻訳でたくさん新刊が出てるって環境に感謝はあれど。




vol.9は「短篇小説のつくり方」特集。メインはグレイス・ペイリー。初めて読んだ作家で、短篇もインタビューも凄く歯応えがあった。
「死せる言語で夢を見るもの」が特に好き。
主人公は老人ホームにいる両親に会いに行った女性。家族間の愛情は時として義務的に、時として滑稽な喜劇にも悲劇にもなる。
ありふれた家族の一コマでも組み立て次第で怖いことできるなあ。どこにも行き場がないイメージ、移民と老人ホームのそれが重なった時の破壊力はおそろしかった。
ばらばら寸前で踏みとどまる一家族の不幸が普遍性を持つ。
インタビューがほんとよかった。根っからの作家というか、物語の語り手としてのスタイルに憧れる。
ガチのフェミニストだけど作品にあまり主義主張っぽいのが表面に出てこないのは、女性に肯定的に共感していくスタイルにあるのかも。語り手よりもまず良い聞き手であるということ。
あとインタビューの中にあった、物語が元々あって、でもその物語の真相をただしく伝える語り方が分かるまでに時間がかかったという所が印象に残った。

他の短篇で印象に残ったのはムナ・ファドヒル。18年捕虜だった男が解放される話で、落ちもうまく決まってるけど、解放されることに半信半疑でとある行動をする、そこの描写、その切実さにちょっと涙出た。
あと、マシュー・シャープはラストの1文が、混乱と悲しさと未知の何かへの期待とが入り混ざって複雑でなおかつロマンティックで、なんていうか、こんな文が出てくるということに嫉妬した。
この号は読み応えがあった。




vol.10は「映画を夢みて」特集。
ポール・オースターは少年が見た映画の筋をたどる話。もしかしたらB級SFなのかもしれないけど、少年が大きな影響を受けたのがよく分かる。少年の全てを変えてしまう力を持つもの。
映画のあらすじを丁寧に語ってるのが、ちゃんと小説になってるのがすごいと思った。
カズオ・イシグロのドラマ脚本もかなり奇妙な話で良かった。どっちもイメージ喚起力が強かった。

西川美和のインタビューは映画監督として、作家として物語の描き方がどう違うかとか、面白かった。
映画監督はスタッフを背負う責任があるということ、あと打ちのめされるような映画だったらほんとぐうの音も出ないようなものを…のくだりが良かった。

映画ってそういうところがある。
posted by すずる at 23:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書

2016年12月14日

夜行

森見登美彦の『夜行』を読んだ。

鞍馬の火祭りの夜、宿に集まった仲間がそれぞれ語る、列車と奇妙な銅版画にまつわる話。
10年前に消えた女の子の、消失の謎にだんだんアプローチしていく話なのかな〜と思いつつ読み始めたけど、語られていくのは語り手個人の身に起きた奇妙な出来事で、すっきりするというよりは次第にもやもやが積み重なっていく。
茫漠とした列車の旅の行き着く先は奇妙な絵画の中の閉じた世界だったような、閉じ込められたと思ったらその闇はもっと広い場所に繋がっていたような、時間も空間も此方と彼方もくるくるひっくり返るような。

いい怖い話でした。津軽と天竜峡が特に好き。
久しぶりに肌が粟立つ感じを味わった。


posted by すずる at 23:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書

2016年11月30日

拳闘士の休息

15年前の今頃の日記をふと読んだら、「そろそろ、お肌にも、生き方にも、責任を持つべき年齢だ。」って書いてたけど、お肌にも生き方にも責任を持たないまま余裕で今に至るよ。

11月は毎年どうも落ち込みやすく不調で、寒さのせいかなんなのか久しぶりにめまいと耳鳴りも戻ってきちゃったし、でももうイソバイドシロップは二度と摂取したくないのでなんとか自分をごまかしている。
なんとなく今日思ったのは、向こう10年は経験に費やしていこうと思った。いい物を買って所有するよりも、外に出かけて旅行してなんかを見て、食べて、そういうことにお金使おうと。そっちの方がいい。

トム・ジョーンズの『拳闘士の休息』を読んだ。短編集。この前に読んだ同じ作家の短編集『コールド・スナップ』が強烈に印象に残ってたので、どうしても較べてしまう。こっちの方が生の声という感じはする。こなれてなくて、でも作者の生の声に近いような。でも『コールド・スナップ』にあったような一瞬の真理に到達したみたいな閃きはない。
肉体的な痛み。神に祈るとするならば「後頭部に一撃で楽に死ねますように」。苦しみ抜いて死ぬのはそりゃ嫌だ。登場人物はみんな窓のない部屋にいるようで、気分がけっこう引きずられた。
安心と信頼の訳者さんだけど、『コールド・スナップ』を先に読んでしまったら文章にちょっと物足りなさを感じた。整っているというか。
posted by すずる at 23:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書

2015年01月23日

MONKEYvol.4 ジャック・ロンドン新たに

こわい絵本特集に続いて『MONKEY』4号ジャック・ロンドン特集読みました。
「野生の呼び声」一挙掲載。
柴田元幸翻訳叢書のジャック・ロンドンは買い逃していたんだけど、去年ちくま文庫のアンソロジーで辻井栄滋訳「焚き火」(柴田訳では「火を熾す」)を読んでいた。
あれも極寒の地が舞台で男と犬が出てきて、今度は犬が主人公。
世界の描写がリアルなんだろうけど、想像つかない寒さと耳慣れない響きの地名でなんかもう幻想の域。
その後の対談にもあったけど、男の立場でも犬の立場でも等距離で書ける作家。
主人公犬のバックが北に連れ去られて使役されて、いい主人も悪い主人もいて、一緒に旅をして、戦いがあったり苦労があったり運命みたいな主人と出会って愛があったりして、それでバックに感情移入して読んでるかっていうとまたちょっと違うんだよなー。
ゴールドラッシュに群がる人々、人間が食物連鎖の頂点なんかじゃないって思い知らされる、生死が簡単にひっくり返る厳しい極限の世界で目覚めていくバックの誇り高さに打たれる感じ、だろうか。
こうして考えてくと、確かにアメリカらしい。

好きかどうかっていうとそんな好きなタイプじゃない(なんつってもあの「まん丸顔」の作者だからな…)けど、妙に惹かれるものがある。

もいっこ載ってたThe South of the slot.も面白かった。

AtoZの「ロンドンにおける文明の最良の部分は、対決することではなく愛することだからだ。」って言葉がすごく印象的。

今回はオープニングとエンディングが村上春樹。
短編「かえるくん、東京を救う」バンドデシネ版、これけっこうコマの描き込み具合と内容で理想的な漫画かも。
そういえばこれ、ちゃんとページというかコマ割りの流れが日本仕様の漫画と同じ感じで読めるなー。ウルジャンで読んでるニコラ・ド・クレシーは逆向きだから、あれっ?と思った。

雑誌最後に載っている村上春樹の連載で、「小説家になるためには、どんな訓練なり習慣が必要だと思いますか?」という問いへの答え。これってジャック・ロンドン特集において、だいぶ意図的に置かれた感じがする。
ジャック・ロンドンみたいな経験は現代ではもうできない、今は誰もジャック・ロンドンみたいには書けない、でも今は今なりの、自分なりのことが何だってできるってわりと前向きなメッセージに取れる。
posted by すずる at 19:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書