2004年09月08日

彼女

彼女が生まれ育った町。彼女と訪れた町に、今滞在している。
彼女が生まれ育ち、そして死んだ町に。
今回の旅が決定した時から覚悟をしていたことではある。
やるべきことをやり、うまいものを食べ、酒を飲んでも、どこかに彼女がいる。

 悲しいのとは違う。彼女がいないことと自分がまだ生きていることにひたすら困惑している、と言った方が近い。なぜこの町に、彼女抜きで訪れているのか。

年老いたら祖父母の住んでいた山で暮らすのだと言っていた彼女。
彼女の墓はどこにあるのだろう。電車から彼女と訪れた風景を見ながら考えた。
あの山か。あの山か。二人で歩いた山はあの山か。

相当酔っ払ってふと思った。
ここに来たくなかったのは彼女の記憶を上書きしたくなかったからなのか。
忘れるのはいい。思い出したくない。けれど、彼女を他の記憶と差し替えることだけは許されない。
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2004年07月25日

日記のようなもの

コニー・ウィリスの『ドゥームズデイ・ブック』を、とうとう読むのに挫折する。『航路』も『犬は勘定に入れません』も好きだ。楽しんだ。でもこれは、上巻を3分の1くらい読んだところで、どうしても続きを読む気がうせてしまった。

ちなみに私が手に取った本をこうして投げ出すのは、『薔薇の名前』以来だ。『薔薇の名前』は最近また読みたくなってきているが、いつかこの本に戻ってくることもあるだろうか。

古本屋で買い物。
『空白のページ殺人事件』 K・C・コンスタンティン(中江昌彦 明石三世訳) 中公文庫
『暗い夜の記憶』 ロバート・バーナード(浅羽莢子訳) 教養文庫
どちらも作者も知らず、勢いで購入。

新刊本屋では2冊。
『沈黙博物館』 小川洋子 ちくま文庫
『怪盗ニック対女盗賊サンドラ』 E・D・ホック(木村二郎訳) ハヤカワ文庫

怪盗ニックシリーズの新刊と、なんとなく目にとまった本を。

久しぶりに友人から電話がきた。

彼女から電話が来るのはだいたいが誰かが壊れたか何かが失われた時で、彼女が理性を維持できない程度に朦朧となった時にかけてくる。

ほとんどの場合は手遅れで、電話中に僕の発する声はといえば、悲惨な出来事を笑い飛ばそうという努力の結晶くらいだ。

今回彼女はめずらしくはっきりとしていて、元気で、他愛ない話をずいぶんしたのだが、話しているうちに少し朦朧としてきたらしい。

あの子の話題が出た。

決してなくしてはいけないものを2人ともなくしていたことがわかった。

手遅れなことがわかった。

あの時彼女は、「次に死ぬのは私だね」と言った。
僕は声を出さずにそうだろうね、とうなずいた。けれど2人ともまだ元気でいる。

指輪をもらった。
 
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2004年07月13日

ねこ

 夢の中で猫を飼っている。

 猫を飼っている夢を見た、というのとはちょっと違う。
 夢を見るたびに、同じ猫を抱いていたり餌をやっていたりすることが何度もあるので、どうやらあちら側の僕は猫を飼っている設定らしい、と思うのだ。

 今日の僕は、猫に餌をやるのを忘れていたことを思い出した。
 慌ててキッチンに行くと、猫用の寝床に子猫が二匹丸まって弱っている。
 僕は慌てて二匹を抱き上げて、何か餌になるものを探し始める。

 確か冷蔵庫に牛乳があったはずだ。
 だが、普通の牛乳をいきなり飲ませるのはいけないとどこかで聞いたことがある、気がする。
 ふわふわの子猫たちはかなり弱っている。どうしよう、どうしよう。

 いきなり、子猫に噛まれる。
 痛い。
 僕は泣いている。
 僕の指は食べ物じゃない。けれど、子猫たちを放っておいた僕はこうして噛まれてもしょうがない。

 目が覚めたら、パジャマがわりに着ていたシャツが何故か破けていた。

 起きた時に夢を覚えているときは、起き上がる前に自分の夢を分析する癖がある。
 今日の夢は何か意味があるんだろうか。
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