2017年07月09日

2017年上半期に行った博物館と美術館

今年はこまめにブログに行ったメモをつけておこうと思ったのに、春の特別展ラッシュから全然だった。
見たものを文章にするまでに時間がかかりすぎているのかなー。もっと簡単でいいので、時間を空けずにすぐに書くことを意識したい。

今年1月〜6月までに出かけた博物館、美術館は13でした。
今年は奈良で快慶、東京で運慶とどーんと大きな仏像展が企画されているせいか、あちこちで力の入った仏像の展覧会があってなかなか見てまわる方としても忙しいのですが、どっかで展示がリンクしているように感じる、自分の身にもついてくるように感じることがありました。

なんといっても奈良博の「快慶」。だいたいどっかに仏像を見に行って、ひとつ快慶が見られたらもうご褒美じゃないですか、それがここに並んでるのがほぼすべて快慶だと?……ってなる、なんか久しぶりに情報過多でもうおなかいっぱいだ…ってなりました。
よくある三尺の安阿弥様でも、時期によって衣服の表現がけっこう違うのが比較するとよくわかりました。

その日ハシゴしたLIXILギャラリーの「武田五一の建築標本」は、ガラスとか把手、タイル、コンクリートの内部の鉄線とか建築素材がまさに標本のようで、今となってはそれ自体が鑑賞に耐えるものになっていました。
大学の授業で使われた伝統建築の模型、中でも禅宗様のあのややこしい組み木に見入ってしまった。キャプションに、模型を観察して細部を理解し、それから本物の建築を見ることで印象を深めたって書いてて、ああそういう見方をしたらいいのかーと。
明治村に移築された芝川又右衛門邸の写真があって、こういう庭があったのか〜って。明治村は古写真とか中心に展示するとこがもうちょっとあってもいいよなと思いました。

京博の春の「海北友松」も良かったです。龍の絵はこれまでにも見たことあったけど、時代ごとに並べられて狩野派で学んだ後、個性が出てくる感じがよくわかりました。
悠々とした線、点々と置かれた色。線に途中から生命が吹き込まれる感じ。
ガイド借りたので、武士エピソードとか聞けたのも良かったです。

竹中大工道具館は建築儀式の企画展というのに興味を引かれて初めて行ってみました。神戸なんで、レトロなビルに2フロアくらいの資料館かなーとか勝手なイメージで行ったのですが、全然違った。考えてみればあちこちで美術館を手がけてる竹中工務店が、自社の名前を冠する建物に全力を出さないわけがなかった。アプローチからしてただものでなく、常設展示をゆったり回遊していくのも気持ちいい。
常設展示の見応えがあって大変よかったです。大工道具も見応えがあるし、特に組み木細工を触ってばらしたり組み立てることのできる模型がよかった。茶室の骨組みも見入ってしまう。
あとここのチケットがかんなの栞でかわいくて、それ以来愛用しています。

この日は神戸から姫路にはしごして、ひょうごの美ほとけを見たら、その近くの美術館でユトリロ回顧展をやってて、私は絵を見る目がないってのはもうなんども書いてますが、ずっと前にたぶん大原美術館で見たユトリロの絵が印象に残っていて、それで予定にはなかったけどこれも縁かもしれないと見てきました。
年代順でずっと見てくと、なるほどユトリロの白の時代というのは特別なんだなーと。晩年の作品はちょっと色が散漫に感じてしまいます。

最後に行ったのは京都工芸繊維大学美術工芸資料館。
2階で「村野藤吾建築設計図」、1階の2室で「住友春翠の文化遺産」見てきた。この名前がふたつ並んだら、まあ見物に行ってみようかーみたいな感じで。
設計図は近鉄関係の建築の写真と設計図で、なんかこー線とか数字とか素材とか、見て何もわからないなりにわくわくしてきた。
学生の作った模型が展示されてて、その労作に感じ入りつつよく見てきた。学生の苦労話は何度見ても楽しい。
住友春翠は泉屋博古館所蔵の近代陶芸作家の作品。新しい技法を模索してる感じと、春翠さんのコレクションだから文人趣味っぽさがやっぱあるような?
初代宮川香山がいくつかあって、赤い色と窯変の具合に惹かれた。張子の犬の香合かわいかったー。

以下は出かけた場所一覧です。

1/21 南極建築 LIXILギャラリー
1/22 京都国立博物館
2/11 京都国立博物館
2/12 和歌山県立博物館
2/25 大阪市立美術館
4/14 木×仏像 大阪市立美術館
4/27 快慶 奈良国立博物館
 武田五一の建築標本 LIXILギャラリー
5/2 海北友松 京都国立博物館
5/12 祈りのかたち 竹中大工道具館
 ひょうごの美ほとけ 兵庫県立歴史博物館
 ユトリロ回顧展 姫路市立美術館
6/9 村野藤吾建築設計図/住友春翠の文化遺産 京都工芸繊維大学美術工芸資料館
posted by すずる at 09:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館・博物館

2017年04月17日

木×仏像

天王寺の大阪市立美術館の「木×仏像」展を見てきた。
仏像の中でも木造に絞ることで、技法の変化や素材に注目して、その特徴、違いがわかりやすい仏像が選ばれているという印象。

飛鳥時代に珍しく木造の菩薩立像は、お顔はちゃんと飛鳥っぽい止利風なんだけど、頭に対してだいぶ頭身が低くて、見た感じなんだか仏像というよりむしろ埴輪っぽいなーと思ってしまった。モデルになる銅製の仏像を見て彫ったんだろうけどだいぶ個性的で面白い。

国宝試みの大仏は離れたところからでも素晴らしい存在感。
眉、まなじりが切れ長で、横顔は鼻筋が通って彫りが深い顔立ち、インド風みたいにも見える。
唐招提寺の像は頭身が高い!
四天王寺の阿弥陀三尊は脇侍の舞うような腰のひねり、あげた足がかわいい。

宝誌和尚立像は京都国立博物館に行くたびお目にかかってたけど、後ろにまわるのは初めて。こんなまん丸い穴が開いてたんだなー。
宝誌和尚立像の部屋は、他に4体の平安時代の地蔵菩薩があり、ヒノキ、センダン、ケヤキと木材の違いが見られるようになっていた。そう言われて木目を較べてみると、ヒノキは特になめらか。刃物が進化したから固いヒノキの加工ができるようになったという説明に納得。
ここでは大阪蓮華寺の地蔵菩薩、材はセンダンで、大きく波打つような木目から地蔵の顔が現れるのがすごい印象に残った。

全ての像が360度から見られるんだけど、特に横に並んだ像の側面観をそのまま比較できるのがよかった。
こうしてひとつひとつの像に注目するというよりは、並べて比較することでいろいろ発見がある展示で、内刳りの有る無しで、同じくらいの大きさの像でも、腰のあたりがどっしりしているというか重量感が違うとか、体のバランスの違いがよくわかった。

あと印象に残ったのは、寄せ木造りってほんと完成されてる技法だなーとつくづく感心したこと。春覚寺の快成の地蔵菩薩すばらしいー。
それから永仙の阿弥陀如来立像を見て、おっこの螺髪ひとつひとつにぐるぐるがあって今までとちょっと違うなと思ったら清涼寺式釈迦如来の渦みたいな螺髪を見ておおーみたいな。

2室に入ると、1室と違って広い部屋に四天王像がお出迎え。奥までずらりと仏像が並んでて壮観。
大阪にこんな立派な四天王像あるんだなと思った河合寺。府内でもまだ全然知らないお寺や仏像があるなあ。
兵庫太山寺の普賢菩薩騎象像は、象の顔がちょっと俵屋宗達とか琳派っぽい象みたいでかわいかった。
由来のある木を材にしたっていうテーマも面白かった。

行ってみて、仏像の見方が一歩深まるような展覧会だった。
そして、木の仏像は経年の変化だけでなく、焼けたり水に浸かったり修理されたり、その仏像がたどった歴史を物語ってるんだなーと改めて感じた。
いい展示でした。
posted by すずる at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館・博物館

2017年02月26日

大阪市立美術館

先週から梅田に通ってます。
通勤時間帯に梅田の地下街を歩いていると、巨大な水槽の中の魚群の1匹になった感じがする。

金曜夜は1回行ってみたかったイグカフェでお茶。
土曜日はなんばウォークの謎解きに参加した後で大阪市立美術館に行ってきました。日展やってたけどコレクション展が目当てだったのでそっちだけ。
硯箱、富本憲吉のデザイン、天神さま特集。

硯箱は京都国立博物館の蒔絵室のあの変態的なのを見ちゃったばかりなのでインパクトは強くなかったけど、波の表現とかいいなーと思いつつ、なんだか最近工芸品も見るの楽しくなってきた。

富本憲吉は、こんな染付が…さほど面白みが感じられないというか、今まで持ってた富本憲吉イメージとあまりそぐわないものが…けっこうあるんだなあと、今まで見たことなかった時代の作風ってことなのかな。
風景画はちょっと好き。
大皿の上に富本憲吉が無造作に1本線を引けば、それだけで非凡なデザインになっちゃうんじゃないかみたいなイメージがあったんですが、図案が浮かばないって紙の横に書いてたり、店のポスターとかいろいろ見られてよかった。

梅の季節に合わせてか、天神さまは京都や大阪の天満宮に伝わる天神図像や絵巻物など。綱敷天神って梅田の茶屋町に石碑があるからよく知ってるようで、綱敷天神の逸話はここで初めて知った。
探幽の十一面観音があって、両脇の蓮の花が、水面の波紋や水に溶けだしそうな花の色がよかった。

大阪市立美術館は春に仏像展をやるので楽しみ。
posted by すずる at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館・博物館

2017年02月16日

博物館講座

興味のある博物館講座が土日にあったので、先週末は博物館に行ってきた。
土曜日は京都国立博物館で「蔵王権現はなぜ数多く伝わるのか」、日曜日は和歌山県立博物館で「阿弖川荘の仏像と地域史」。入館料だけで第一線の研究者の講座が受けられるんだから、お得にも程がある。

色々と得るものが多かったけど、ブログに細かくまとめるのもなんなので印象に残ったとこだけ書くと、京都では蔵王権現が鏡に線刻で表されるのが象徴的というのが、和歌山では安楽寺多宝小塔の本尊が高野山の大塔と同じ胎蔵界の大日如来というのと、高野山麓の西端での浄土信仰イメージが印象に残った。

やっぱり講座とかギャラリートークとか聞くと、ふつうに見るのに較べて展示の理解が全く違うと実感した。
また機会があったら講座に合わせていこう。

それから講座で出てくる固有名詞がけっこう理解できて、自分の知識も少しは蓄積できてるなーというのも感じられたのがよかった。
posted by すずる at 22:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館・博物館

2017年01月23日

京都国立博物館

日曜に京都国立博物館に行ってきた。
国立博物館の年間パスポートが今年の3月で終了というのは、毎年お世話になっているだけにけっこうショックなニュースだった。
まあなくなる分にはいいんだけど、4月から始まる新制度のメンバーズパスが、2000円で平常展示が何度でも見られるというもので、特別展とは別に平常展示だけを目当てに京都・奈良に4回以上行くかというと微妙(2016年は3回だった)
奈良博のプレミアムカードは5000円で奈良博の特別展が各2回見られるけど、春夏と2回ずつ+秋の正倉院展に行ってやっと、という価格設定は正直疑問。
セレブだったらこんなことで悩まずに賛助会員になるんだけど。
悩みつつ最後の年間パスポート作成。今年はこれでお世話になります。

京博は12月に若冲を見に行ったばかりだけど、その時はしまってた3階がオープンしていた。
陶器室は前はあの部屋だけで力を使い果たすくらいたっぷりつまってたのが、かなりすっきりした展示点数になっていた。
考古室では、印仏瓦経を初めて見た。仏像をスタンプしてその中に経文字が1字ずつ書かれているの。
「ふたつの遊行上人縁起絵」では、一遍聖絵とは異なる系統の宗俊本を、金蓮寺本と真光寺本で同じ場面を並べて比較して見ることができた。

中世絵画室は瀟湘八景図。相阿弥と狩野元信だと、元信の方が景色というか遠近がはっきりしていてたぶんいい景色なんだけど、なんかぼんやりした相阿弥の方が好きだなあ。
近世絵画室は富士山特集で、山雪の富士三保松原図の雄大なまさに富士山って感じの絵に、蕭白の異様な感じの絵に、応挙に原在中と豪華だった。
なんか原在中の細密な描写は参詣図のようで、応挙のもやっとした影で捉えた富士の方はリアルな富士山に感じられるのが、線のリアルさと見た時の印象が異なるというか…うまくいえないけど、そんなところが面白いと思った。

1階に降りると愛宕念仏寺の素晴らしい仁王像にご挨拶して、今回の主目的、修理された鳥取三佛寺の蔵王権現を見た。
一木造りで足を大きく上げていない、まだ蔵王権現のあのポーズが定型化する以前の姿ということで、正本尊よりも脇本尊の方が古いものらしい。
顔、衣、膝の木目がよく見えて、部位によって違う木目の幅と濃さがこれ以上ないってくらい合っていると思った。いつかは現地に行きたい三佛寺。
あとは泉涌寺特集をやっていて、三宝荒神像、楊貴妃観音、快慶の宝冠阿弥陀、護法神、逆手の阿弥陀などなどがいらしてて、素晴らしい仏像だらけでたまげた。

四条まで歩いて阪急で帰宅。
posted by すずる at 22:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館・博物館