2018年05月31日

姫路文学館でお菊さんと美術館

姫路で見たいものがあったので、阪神・山陽のシーサイド1dayチケットを買って出かけて来ました。JRより時間はかかるけど、2000円なので大阪と姫路の往復でもう元が取れるし、途中下車もできてあちこち寄れるので、時間さえ余裕あればお得。

姫路駅から本数の少ないバスに乗ってまずは文学館へ、「怪談皿屋敷のナゾ 姫路名物お菊さん」展。

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入り口すぐの何人かの著名な民俗学者がお菊さんに言及した部分の抜粋のパネルで一気に展示に引き込まれた。
それから日本各地に残る皿屋敷・お菊伝説マップのパネルに見入っている人が多かった。
お菊伝説はもちろん広範に知られているけど、姫路の人にとっては特に地元の話っていう印象が強くて、そういう日本各地に伝わっているという広がりが面白いのかもなあ、とちょっと思った。
私もしっぺい太郎伝説はなんとなくうちんとこの話って印象があるしな。

そのマップの分類も、展示されてる各地のお菊伝説に言及した文献も、お菊伝説から派生した品々も、丁寧なお仕事というか研究の成果という感じがして好感を持つ。
あと要所要所で月岡芳年の浮世絵が目に入って、イメージを喚起してくる。

私はお菊伝説は幽霊話、怪談として知ったけど、語られ方によって、受け取り方によって伝説は違うバリエーションを持つということ……忠孝とか教訓だったり、悲恋だったり、宗教的な仏教説話だったり……そういうところが面白いと思った。
蝶の蛹が縛られた女に見えるということでお菊虫と言われるようになったのも、人によっては妖怪みたいに喧伝する人もいるし、ただの昆虫だよって言ってる人もいるという具合に。

それから大念仏寺や東京の全生庵からお菊にまつわる幽霊画が来ていて、文学館の展示だから文献ばっかりかなと思っていたので嬉しい驚きだった。
鏑木清方のお菊さんが見られたし、あと絵葉書にあった久保田米僊がこの間京都で名前知ったばかりで、あ、あの…ってこういう風に知識が繋がると嬉しい。
浄瑠璃や歌舞伎、映画、現代の小説までお菊づくしで、あとやっぱり伝説が土地の名物になっているというのが面白かったな〜。文学に留まらず美術、文化史、民俗学的な多方面の面白さのある展示でした。

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文学館のカフェで休憩して図録を読む。ここのカフェのコーヒー美味しかった。近所にあったら週一で読書に行く。

文学館の敷地内に望景亭という大正時代の有形登録文化財の建物がご自由にお入りくださいとなっていたので入ってみた。

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貸室として補修されているせいか、部屋そのものは普通だったけれど、廊下や細かいところが凝っていた。

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襖の引き手がこんな感じで、琵琶?それか櫂?と思いつつ反対側を見たら、

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ちょっと付け足されて鳥になってるのとか。

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あと別の部屋は陶器だった。

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書院窓もむちゃくちゃ凝っていた。

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庭にはお城の礎石を流用した大きな石とかもあって、なかなか見応えがあった。

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すっかり堪能して、お城の敷地を横切って美術館へ。

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何回来ても、姫路城が借景なのが強いと思う。
ここでは「連作の小宇宙」展を見ました。美術館の所蔵品の絵画の連作をじっくり見るという企画。
中村忠二の動物シリーズけっこう好きだった。もし自分ちに1枚飾るなら、この中の「怠けぐま」か「生きている者」だなー。
大野麥風の木曽路と大日本魚類画集もけっこう見応えがあった。

姫路駅付近まで戻って、文学館の展示で『暗夜行路』にお菊神社に行く場面があると知ったので、歩いて行ってみた。

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十二所神社の境内にあるんだけど、大きな道に面して別に鳥居があった。空襲で焼けて縮小したそうなので、多分志賀直哉が見たそのままではない。

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お参りして一回りした。

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絵馬はお皿の形らしい。

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お菊の松や石碑などがある。
そういえば姫路城の敷地の中にお菊井戸もあるけど、ちょっと立ち寄る体力がなかった。

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なかなか歩き回ったので、大阪に帰る前の腹ごしらえとお茶のできる店を探して、近くにあったカフェラダダでおやつにスイートポテトを食べて、美味しかったので焼き菓子をお土産にして帰宅。
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2018年05月20日

明治150年

京都に行ってきました。
烏丸で降りて昼食の店を物色。あらかじめ目をつけていた店が烏丸通りの北の方なのに、なぜか迷いなく南下してて、結局通りすがりのお店に入りました。

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焼肉北山ですき焼き定食。ちょっと濃いめだったけど、お肉もおいしいし思ったよりボリュームもありお麩もしみしみでよかったです。また行きたい。

それから地下鉄で移動して国立近代美術館に行きました。
こちらに入るのは初めてで、展示室の入り口がわからなくてちょっとさまよってしまった。エレベータで上って先に常設を見てから「明治150年」展最終日。明治元年が1868年なので、そこから150年ということらしい。
前半は絵画、それから工芸。
近代の画家はあまり知らなかったけど、見ていくとけっこうこれ好きだなーと感じる絵があった。元々応挙とか呉春とか好きだったので、それを受け継ぐ円山派や四条派の絵が良いなと感じるのも自然なことかもしれない。
竹内栖鳳は知っていて好きだったけど、今回特に惹かれたのは菊池芳文の「春の夕・霜の朝」だった。
透明感のある桜の花びら、それから烏の滲む黒に惹かれた。
工芸は京博なんかでも見てるけど、ほんと技術と時間と贅を尽くした品物が並んでて、腹一杯になる。

そのあと細美の喫茶店で休憩して京阪で四条に戻り、歩いて学校歴史博物館へ。「京都画壇の明治」展をやっていて、近代美術館で見た絵が良かったので寄ってみました。
入館料は200円だし常設の一角のコーナー展示程度かな?と思ってたら、別に展示室があって、思ったより全然ボリュームのある展示でした。
ここでは京都画壇のナントカ派ごとに系図があり並べてあったので、誰が誰の師匠で、弟子でというのを意識しながら見ることができた。
幸野楳嶺の弟子の四天王が菊池芳文、谷口香嶠、竹内栖鳳、都路華香ということや、正月に仙人画を見て印象的だった鈴木松年とその父の百年とか。鈴木派の百年の弟子の松年、久保田米僊は最初は百年の画風を受け継いでいたけど次第に個性が出てきたこととか。

こうして1日絵画と工芸品を見て、菊池芳文、岸竹堂、鈴木松年がいいな〜と感じたので、またこの時代の絵画を見る時があったら注目して見てみようと思います。
タグ:京都
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2018年05月12日

高槻

高槻市立しろあと歴史館で「樫田 丹波山村と仏像・信仰」展を見てきました。
大阪に引っ越してもあまり歴史も地理も知らないままなので、一応住んでる地域のことを知ろうと地域の企画展は機会があればなるべく行く気でいます。

樫田は高槻市の最北端で、丹波国の亀山藩に属し、明治の町村合併で京都府南桑田郡樫田村となり、昭和33年に府境を越えて高槻市に合併したそう。
地域の集落で守ってきた文化財、平安時代から江戸時代後期と幅広い時代の仏像と、文書資料と、あと年中行事の紹介があって提灯が展示されていた。
毘沙門天の提灯の上部に描かれた百足が可愛い感じだった。

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巡礼の板碑型町石や道標の拓本があって、巡礼道が通っていたことが分かった。どこからどこに行く途中に通るんだろうな?っていうのがピンと来るように知識を蓄えて自分の地図を埋めていきたい訳です。

高槻といえば、前回来た時は神峯山の企画展で山岳修行の展示を見て、本山寺とか神峯山寺とかは改めて行ってみたいと思いつつなかなか機会がないな。

歴史館を出て昼食を食べる店を探していたら、何人か開店待ちしてたのが気になって、餃子天国で食べました。
餃子が1皿130円だったので、2人で3皿注文。

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一口サイズで食べやすいしカリッと焼かれててけっこういい。

その後せっかく高槻まで来たので、おいしいパン屋はないかな〜と検索して、ジュエボワットで買い物。
美味しそうなパンが何種類もあるので、ついつい目移りしてしまった。
帰ってパンに合うおかずのレパートリーがあんまりないので、いつものポトフを煮て食べました。

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2018年04月30日

MIHOと安土

GW初日、関西に来ていた川口さんを誘ってレンタカーで滋賀を回ってきました。
最初に行ったのはMIHO MUSEUMの「猿楽と面 大和・近江および白山の周辺から」展。
猿楽成立以前の追儺式の鬼の面など、それから猿楽の大和、近江、白山周辺ということで石川、福井、岐阜の面、面打ちである井関家の面、最後に狂言の面と、ほんとに最初っから最後まで面づくし。

能面のようって言ったら、表情がないというか表情が固定してて変わらないこと、特にあの若い女の面をイメージするけど、こうして各地の面が並べられたのを見ていくと、それぞれが違う、個別の表情を持っているのを強く感じた。
面が纏う雰囲気というかニュアンスが。
特に静岡の息神社の一連の面と、岐阜の小津白山神社の顔がぐにゃっとなった三番叟には惹かれた。

井関の面の、おもてに署名がしてあるっていうのは見ててちょっと異様な感じがしたなあ。塗ったら見えなくなるとはいえ。

あと信西古楽図のパネルの中にいた新羅狛っていうのが、2本足で立ってて頭と両手足の先が狛の頭になってるのが面白かった。
目録と一緒に面の種類の資料があるのも良かった。

MIHOはなんか行くたびにちょっと異界に足を踏み込んだ感じがするなあ。あのトンネルを通るアプローチからして。

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MIHOを出て、途中でお昼を食べて、次は安土城考古博物館へ。
「武将たちは何故、神になるのか」展。
前に書いたかもしれませんが、私は人が鬼とか神になるのに興味があって、このタイトルに惹かれて行きました。
思いがけず神像祭り。思いがけなくもないか。
地元の浜松の細江神社から室町時代の神像群が来ていて、へ〜こんな神像があったとはーと驚かされたり。
あと女神像の中に納入品があって、これ以上ないってほどの神仏習合っぷりでした。
それから美豆良を結った像もあり、何年か前にここの講座を聞きに行った時に、美豆良話がしたいけどすると長くなるから!って飛ばされて、なんだかわからないなりに面白そうな気配だったのを思い出しました。
信長、秀吉、家康の3人の神格化は、それを支持する宗教勢力によって違いがあるというのもなるほどーって感じで、学ぶことが多かったです。

面白かったけど、展覧会のタイトルがちょっと合ってないかもな?

同行してた川口さんを駅に送って、前から行ってみたいと思っていた阿賀神社、太郎坊宮に行ってみました。
へたれなので上の駐車場まで車で行き、200段くらい登ってお参りしました。

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夫婦岩も見た。めちゃ景色がよかったです。お参りの後、太郎坊団子を食べて休憩。黒蜜&きな粉が贅沢にのっかっていた。

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山を下り、竜王のアウトレットに寄ってお茶してお店を見てまわって車を返却。110kmほど走っていました。
新快速で帰宅。
タグ:MIHO MUSEUM
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2018年04月22日

「江戸の戯画」展と映画「北斎」

派遣会社で単発の入力の仕事に行っていたのですが、会社都合で平日に1日休みになったので、お出かけしてきました。

まずは大阪市立美術館の「江戸の戯画 鳥羽絵から北斎・国芳・暁斎まで」展。

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鳥羽絵というのは美術館のサイトによると、狭義では18世紀に大坂を中心に流行した軽妙な筆致の戯画を指し、その名称は国宝「鳥獣人物戯画」の筆者と伝えられる鳥羽僧正覚猷に由来するそう。

耳鳥斎という大阪の絵師の地獄絵が、鬼も、鬼にお仕置きされてる人物も苦しんでる様でもなく、なんかとぼけててとても味のある顔つきをしていて、見ていてふっと笑ってしまう。
それから国芳は前期に金魚づくしが9点揃っていて、非の打ち所がない可愛さだった。

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思わずお土産買ってしまった。

鳥羽絵を見て北斎漫画を見ると、鳥羽絵の人物がだいぶデフォルメされてるというのか簡略化されてるのに比べて、北斎の絵ってかなりリアルというか、肉も骨もあまり省略されずに描かれてる感じがする。
鳥羽絵って描かれた人物が生き生きとしてて、見ていて賑やかな笑い声が聞こえてきそうなんだけど、北斎絵だとそこからさらに絵の世界に引き込まれて、匂いとか空気感まで肌に感じそう。

それから一鶯斎芳梅の滑稽浪花名所で、人は滑稽だけど背景は江戸時代の大阪がよく分かる名所風景をずーっと眺めて、暁斎を見て、鳥羽絵がどんなふうに影響を残したかも分かったし、同じ戯画でも、それぞれの画家の表情や線の違いなんかがよく分かったと思う。

梅田に戻り、スカイビルへ。続いてシネ・リーブルで「大英博物館プレゼンツ 北斎」を見ました。
去年、大英博物館で北斎展をやったということもありイギリスで制作された北斎のドキュメンタリ。
東京や富士山などの風景と共に日本人もけっこう出てくる。版木を彫り、色をのせて刷る職人さんのあざやかな手つき、辻惟雄さんとか研究者、北斎漫画のコレクターの浦上満さん、北斎が信仰した柳嶋の妙見さん、法性寺のご住職などなど。
なんか黒ずんだ2、30センチくらいの妙見さん?の三尊像っぽいのをごとっと置く場面があって、それがまた一瞬で、ちょっとその像もうちょっとアップでとおねがいしたくなった。
北斎の版画が蕎麦2杯程度で買えた時代というのは今の視点だと豊かな文化に思える。
そういう大衆的な文化でこれだけ広範に影響を与え、評価されているというのもあまりないよな。

それからイギリスのキュレーターや研究者さん、芸術家達が実際に絵を見ながら具体的にどこを見てどんなふうに評価しているか。そういう話がたっぷり聞けたのも良かった。

日本では赤富士、凱風快晴が人気があるけれど、オランダのコレクターが色あせた版を持っていて、実はそれが褪色じゃなく北斎の意図した本当の色だっていう話。(映画内ではピンク富士と呼ばれていた)朝焼けの光が当たったピンク?で、富士山の中腹から下の方のグラデーションが美しいの。それが赤富士と並べて展示されていて、あれはいつかこの目でお目にかかりたいものだと思った。

それから印象的だった絵は、晩年に描かれた流水に鴨図。鴨それだけ見たら西洋画っぽい。そういう構図。それに様式化されたっぽい水のラインと日本画っぽい色彩が加わり、全体として洋風なのか和風なのか不思議な折衷になっている感じ。
あと90歳で描かれた富士山から飛び立つ龍の絵も凄かったなー。

家族が夜はゲーム会に参加だったので、合流して晩ご飯だけ一緒に食べて帰宅。
posted by すずる at 21:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館・博物館