2017年08月02日

大坂市内の非公開文化財特別公開

大阪市域には、神仏習合の影響下で造られた、構図や像容がとてもめずらしい仏画や仏像が伝来しているんだそうです。
時代が下って儀軌に縛られてない自由な像容、というか魔改造というか……。
廃仏毀釈を乗り越えて大切に平成の今まで残されているという点でとても価値があるし、なんというか市井の人々に信仰されたリアリティがあると感じます。今よりもっと神仏が身近だった時代の。
それで、大阪市のあちこちで特別展示があったので行ってきました。

まずは1つめ、辰野ひらのまちギャラリーでの「神仏習合とその美術」展。
三宝荒神画像がたくさん。1枚めの青蓮寺のものから、八面八臂でそれぞれに三目の忿怒相。脇は鬼?で、手に持ってるのは……打ち出の小槌と、なんか竜の頭がちょろちょろっと3つ生えてる、なんやろこれ?(解説書には宝冠となっていた)
次のは同じ青蓮寺の三宝荒神だけど、今度はお供がわらわら8人もいて、キツネ?猿?烏天狗?とか、どこからどこまでもこんなん見たことないという像容揃い。
あとは青面金剛とか、善女竜王とか、歓喜天、閻魔天、牛頭天王など。
濃ゆいなあ、と思いつつ資料を購入。

2つめは阿倍野区松虫通の正圓寺仏像群公開。

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3日間の公開で、日曜日に行ったらけっこうな人出で時折電気が落ちつつ汗だくになりながら不動堂、聖天堂、釈迦堂、大師堂と拝観してきました。
そういや聖天さんにお参りするのは初めてだった。生駒もまだ行ったこと無い。
三頭三面十臂の蛇頭人身の木造天川弁財天曼荼羅は見たらたまげる。荼吉尼天とか歓喜天とか木造九曜星像とか盛りだくさんだった。
大元帥明王立像がとても好みだった。
釈迦堂の内陣は釈迦如来坐像と十六善神、深沙大将、玄奘三蔵の立体曼荼羅になっていた。薄暗くてあまりよく見えなかったのが少し残念。こういう時に単眼鏡があったらいいのかなー。

第3回は住吉の東大寺。住吉東駅から歩いていきました。

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鳥居に多聞天の扁額、その奥に山門、短い階段の上に狛犬……

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犬?
こちらは住吉大社の神宮寺の毘沙門堂の法灯を継いでいるそうで、本尊は毘沙門天。
内陣の左手にある荼吉尼天と右手の准胝仏母を拝観しました。
荼吉尼天は八臂で頭上に化仏が5? 宇賀神はちゃんと確認できなかった。持物は独鈷杵1つだけ残っていた。
狐に両足を降ろしてまたがっている以外は普通の菩薩像という感じ。狐は玉眼で口の中に宝珠。
准胝仏母は観音じゃなく女神の衣。截金が残っていてゴージャス。

もらった資料に近くで公開されていると紹介されてたので、その後で宝泉寺の十三仏

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こちらはひとつの石からまるっと十三体の仏像を彫り出したものらしい。

それから北西に歩いていって、生根神社にお参りして、六道の辻にある閻魔地蔵にお参り。

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中は提灯でいっぱい。閻魔様をお地蔵さんとしてお祀りしているらしい。奥には豊川とかのお稲荷さんが3つありました。

あちこち歩いて少しは仏像を見ている気でいましたが、こんな像容があるんだなーという発見でいっぱいの体験でした。地域の文化財の調査が進むのはいいことなので、これからも継続していってほしいです。
次回は10月らしいので、また都合をつけて行きたいと思います。
posted by すずる at 09:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館・博物館

2017年08月01日

「これぞ暁斎!」 と「源信」展

最近見た特別展2つ。

京都のえき美術館で最終日の「これぞ暁斎!」展を見てきた。
幕末から明治にかけて活躍した画家で、歌川国芳に入門した後狩野派で学び、独学で四条派なんかも学んだそうで、諷刺画や滑稽なもの、百鬼夜行とか、晩年傾倒したという仏画が主に展示されていました。
戯画っぽい動物からガチな山水画から春画まで、見ていてもいろんな画風を使いこなす器用な画家だったんだなーという印象。それから、パトロンのいない絵師だなあという印象もありました。一般大衆に向けた絵が多かったという意味で。
大津絵っぽいテイストの絵が好きで、猫は特に可愛かった。
あと足長がおんぶした手長が手長猿を持ち、その猿が手長えびを持って、月に向かってみんな精一杯手を伸ばしてるやつ。
お土産を購入。

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別の日に、奈良国立博物館で始まった「源信」展。
お坊さんの名前がなかなか覚えられないんですが、恵心僧都源信像を見たら、往生要集の名前と前に大津の比叡山展で見た「このブロマイドが宋で爆売れ!」のキャッチをずるずる思い出した。
あと同時代のお坊さんということで、空也上人像とか、書写山の性空のなんかとか、あと国宝一遍上人絵伝にやっとお目にかかった。レプリカで見たことはあったけど。
京博で今年2つの遊行上人縁起絵巻を並べる企画をじっくり見たためか、この一遍聖絵の魅力が改めて理解できた気がする。
群衆1人1人の描写の細やかさ、表情まで生き生きとしていて、それから背景と人物に破綻がない全体の完成度の高さ。
即成院の群像から3体、平等院鳳凰堂の飛天が1体来られていたのを見られたのも良かった。
即成院じゃ当然後ろは見られないんで、美しい後ろ姿をばっちり見てきた。即成院の大きなパネル写真が壁にあったけどあれも物販に欲しい。
平等院鳳凰堂の雲中供養菩薩像もよかった。定朝様なのもよく理解できたし。平等院ミュージアムで見たことある気もするけど、今回みたいな感動はなかったなー。

前期は聖衆来迎寺の六道絵がずらり、辟邪絵もあって、ほんと国宝祭りという感じだった。単眼鏡を持った熱心な人がけっこういた。
あと古文書ガチ勢もけっこういた。

来迎絵も素晴らしく、見たことあるものも多かったけど、特に印象に残ったのは、岐阜の新長谷寺の阿弥陀立像とそれを納める厨子。扉の内側と内部に絵が描かれ、ご開帳のインパクトはいかほどかと思う。
なんというか、見ていて天上の美という言葉が浮かんだ。

地獄も極楽も、それを創出するには人の想像を超えねばならないということを考えていた。地獄はヒトのなし得る残酷を超える恐ろしいものでなくてはならないし、来迎は見たことのない天上の美でなくてはならない。

後期にも色々見たいものがあるので、図録を読み込んでもう1回行きます。

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金戒光明寺の山越阿弥陀にとうとうお目にかかるのだ。
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2017年07月09日

2017年上半期に行った博物館と美術館

今年はこまめにブログに行ったメモをつけておこうと思ったのに、春の特別展ラッシュから全然だった。
見たものを文章にするまでに時間がかかりすぎているのかなー。もっと簡単でいいので、時間を空けずにすぐに書くことを意識したい。

今年1月〜6月までに出かけた博物館、美術館は13でした。
今年は奈良で快慶、東京で運慶とどーんと大きな仏像展が企画されているせいか、あちこちで力の入った仏像の展覧会があってなかなか見てまわる方としても忙しいのですが、どっかで展示がリンクしているように感じる、自分の身にもついてくるように感じることがありました。

なんといっても奈良博の「快慶」。だいたいどっかに仏像を見に行って、ひとつ快慶が見られたらもうご褒美じゃないですか、それがここに並んでるのがほぼすべて快慶だと?……ってなる、なんか久しぶりに情報過多でもうおなかいっぱいだ…ってなりました。
よくある三尺の安阿弥様でも、時期によって衣服の表現がけっこう違うのが比較するとよくわかりました。

その日ハシゴしたLIXILギャラリーの「武田五一の建築標本」は、ガラスとか把手、タイル、コンクリートの内部の鉄線とか建築素材がまさに標本のようで、今となってはそれ自体が鑑賞に耐えるものになっていました。
大学の授業で使われた伝統建築の模型、中でも禅宗様のあのややこしい組み木に見入ってしまった。キャプションに、模型を観察して細部を理解し、それから本物の建築を見ることで印象を深めたって書いてて、ああそういう見方をしたらいいのかーと。
明治村に移築された芝川又右衛門邸の写真があって、こういう庭があったのか〜って。明治村は古写真とか中心に展示するとこがもうちょっとあってもいいよなと思いました。

京博の春の「海北友松」も良かったです。龍の絵はこれまでにも見たことあったけど、時代ごとに並べられて狩野派で学んだ後、個性が出てくる感じがよくわかりました。
悠々とした線、点々と置かれた色。線に途中から生命が吹き込まれる感じ。
ガイド借りたので、武士エピソードとか聞けたのも良かったです。

竹中大工道具館は建築儀式の企画展というのに興味を引かれて初めて行ってみました。神戸なんで、レトロなビルに2フロアくらいの資料館かなーとか勝手なイメージで行ったのですが、全然違った。考えてみればあちこちで美術館を手がけてる竹中工務店が、自社の名前を冠する建物に全力を出さないわけがなかった。アプローチからしてただものでなく、常設展示をゆったり回遊していくのも気持ちいい。
常設展示の見応えがあって大変よかったです。大工道具も見応えがあるし、特に組み木細工を触ってばらしたり組み立てることのできる模型がよかった。茶室の骨組みも見入ってしまう。
あとここのチケットがかんなの栞でかわいくて、それ以来愛用しています。

この日は神戸から姫路にはしごして、ひょうごの美ほとけを見たら、その近くの美術館でユトリロ回顧展をやってて、私は絵を見る目がないってのはもうなんども書いてますが、ずっと前にたぶん大原美術館で見たユトリロの絵が印象に残っていて、それで予定にはなかったけどこれも縁かもしれないと見てきました。
年代順でずっと見てくと、なるほどユトリロの白の時代というのは特別なんだなーと。晩年の作品はちょっと色が散漫に感じてしまいます。

最後に行ったのは京都工芸繊維大学美術工芸資料館。
2階で「村野藤吾建築設計図」、1階の2室で「住友春翠の文化遺産」見てきた。この名前がふたつ並んだら、まあ見物に行ってみようかーみたいな感じで。
設計図は近鉄関係の建築の写真と設計図で、なんかこー線とか数字とか素材とか、見て何もわからないなりにわくわくしてきた。
学生の作った模型が展示されてて、その労作に感じ入りつつよく見てきた。学生の苦労話は何度見ても楽しい。
住友春翠は泉屋博古館所蔵の近代陶芸作家の作品。新しい技法を模索してる感じと、春翠さんのコレクションだから文人趣味っぽさがやっぱあるような?
初代宮川香山がいくつかあって、赤い色と窯変の具合に惹かれた。張子の犬の香合かわいかったー。

以下は出かけた場所一覧です。

1/21 南極建築 LIXILギャラリー
1/22 京都国立博物館
2/11 京都国立博物館
2/12 和歌山県立博物館
2/25 大阪市立美術館
4/14 木×仏像 大阪市立美術館
4/27 快慶 奈良国立博物館
 武田五一の建築標本 LIXILギャラリー
5/2 海北友松 京都国立博物館
5/12 祈りのかたち 竹中大工道具館
 ひょうごの美ほとけ 兵庫県立歴史博物館
 ユトリロ回顧展 姫路市立美術館
6/9 村野藤吾建築設計図/住友春翠の文化遺産 京都工芸繊維大学美術工芸資料館
posted by すずる at 09:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館・博物館

2017年04月17日

木×仏像

天王寺の大阪市立美術館の「木×仏像」展を見てきた。
仏像の中でも木造に絞ることで、技法の変化や素材に注目して、その特徴、違いがわかりやすい仏像が選ばれているという印象。

飛鳥時代に珍しく木造の菩薩立像は、お顔はちゃんと飛鳥っぽい止利風なんだけど、頭に対してだいぶ頭身が低くて、見た感じなんだか仏像というよりむしろ埴輪っぽいなーと思ってしまった。モデルになる銅製の仏像を見て彫ったんだろうけどだいぶ個性的で面白い。

国宝試みの大仏は離れたところからでも素晴らしい存在感。
眉、まなじりが切れ長で、横顔は鼻筋が通って彫りが深い顔立ち、インド風みたいにも見える。
唐招提寺の像は頭身が高い!
四天王寺の阿弥陀三尊は脇侍の舞うような腰のひねり、あげた足がかわいい。

宝誌和尚立像は京都国立博物館に行くたびお目にかかってたけど、後ろにまわるのは初めて。こんなまん丸い穴が開いてたんだなー。
宝誌和尚立像の部屋は、他に4体の平安時代の地蔵菩薩があり、ヒノキ、センダン、ケヤキと木材の違いが見られるようになっていた。そう言われて木目を較べてみると、ヒノキは特になめらか。刃物が進化したから固いヒノキの加工ができるようになったという説明に納得。
ここでは大阪蓮華寺の地蔵菩薩、材はセンダンで、大きく波打つような木目から地蔵の顔が現れるのがすごい印象に残った。

全ての像が360度から見られるんだけど、特に横に並んだ像の側面観をそのまま比較できるのがよかった。
こうしてひとつひとつの像に注目するというよりは、並べて比較することでいろいろ発見がある展示で、内刳りの有る無しで、同じくらいの大きさの像でも、腰のあたりがどっしりしているというか重量感が違うとか、体のバランスの違いがよくわかった。

あと印象に残ったのは、寄せ木造りってほんと完成されてる技法だなーとつくづく感心したこと。春覚寺の快成の地蔵菩薩すばらしいー。
それから永仙の阿弥陀如来立像を見て、おっこの螺髪ひとつひとつにぐるぐるがあって今までとちょっと違うなと思ったら清涼寺式釈迦如来の渦みたいな螺髪を見ておおーみたいな。

2室に入ると、1室と違って広い部屋に四天王像がお出迎え。奥までずらりと仏像が並んでて壮観。
大阪にこんな立派な四天王像あるんだなと思った河合寺。府内でもまだ全然知らないお寺や仏像があるなあ。
兵庫太山寺の普賢菩薩騎象像は、象の顔がちょっと俵屋宗達とか琳派っぽい象みたいでかわいかった。
由来のある木を材にしたっていうテーマも面白かった。

行ってみて、仏像の見方が一歩深まるような展覧会だった。
そして、木の仏像は経年の変化だけでなく、焼けたり水に浸かったり修理されたり、その仏像がたどった歴史を物語ってるんだなーと改めて感じた。
いい展示でした。
posted by すずる at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館・博物館

2017年02月26日

大阪市立美術館

先週から梅田に通ってます。
通勤時間帯に梅田の地下街を歩いていると、巨大な水槽の中の魚群の1匹になった感じがする。

金曜夜は1回行ってみたかったイグカフェでお茶。
土曜日はなんばウォークの謎解きに参加した後で大阪市立美術館に行ってきました。日展やってたけどコレクション展が目当てだったのでそっちだけ。
硯箱、富本憲吉のデザイン、天神さま特集。

硯箱は京都国立博物館の蒔絵室のあの変態的なのを見ちゃったばかりなのでインパクトは強くなかったけど、波の表現とかいいなーと思いつつ、なんだか最近工芸品も見るの楽しくなってきた。

富本憲吉は、こんな染付が…さほど面白みが感じられないというか、今まで持ってた富本憲吉イメージとあまりそぐわないものが…けっこうあるんだなあと、今まで見たことなかった時代の作風ってことなのかな。
風景画はちょっと好き。
大皿の上に富本憲吉が無造作に1本線を引けば、それだけで非凡なデザインになっちゃうんじゃないかみたいなイメージがあったんですが、図案が浮かばないって紙の横に書いてたり、店のポスターとかいろいろ見られてよかった。

梅の季節に合わせてか、天神さまは京都や大阪の天満宮に伝わる天神図像や絵巻物など。綱敷天神って梅田の茶屋町に石碑があるからよく知ってるようで、綱敷天神の逸話はここで初めて知った。
探幽の十一面観音があって、両脇の蓮の花が、水面の波紋や水に溶けだしそうな花の色がよかった。

大阪市立美術館は春に仏像展をやるので楽しみ。
posted by すずる at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館・博物館