2015年11月03日

比叡山展と京都非公開文化財特別公開

大津市歴史博物館の比叡山展に行ってきました。
今回はこちらの博物館の25周年記念の企画展ってことで、これまでの調査の集大成という感じで何と言っても初出陳の資料が多かったです。悉皆調査って文字を見るだけで燃える。
手が逆さになった阿弥陀像とかビックリマンみたいな大黒天とかいろいろあったけど、不動明王がほんと多様で、不動十九観に則ったよく見かける感じのものから、こんな顔見たことないって表情のものや、弁髪もないとかいろいろあって、こんな仏像があるんだなーという驚きがけっこうありました。

展示のキャプションにキャッチコピーみたいなのが付いてて、例えば恵心僧都像に「このブロマイドが宋で爆売れ!」(うろ覚え)ってなってたら思わず「へー!」ってなってキャプションを読みふけってしまいます。あと図録の写真と解説が同じページなのがすごく読みやすいです。

各地から見た比叡山写真のパネルがあったのが良かったです。
京都市内、都からはいかにも鬼門を守る山って感じで四明岳がランドマークに見えるけど、その姿だけが比叡山じゃなくて、東から都入りしようとする旅人が琵琶湖の対面に見た姿、近江国分寺で修行していた最澄が見ていた姿、大津京から北に見える姿……見る場所によって違う比叡山の姿が、山上だけでなく別所や里坊にも広がりがある、この展覧会で見られる文化財の多様性を表しているように思いました。

それから天台の祖師像が少ないっていうのが、弘法大師信仰が凄いことと比較すると、確かに伝教大師像ってあんまり見たことないかなあと思いました。天台ではあんまり祖師信仰ってないんだろうか、三井寺では智証大師像があったし、良源の元三大師信仰はあるって聞いたことあるけど。
頭巾をかぶった天台大師像はこう言っちゃなんだけどすごくキュートなので、比叡山のゆるキャラに推したい。

今回は建立大師相応和尚という名前を覚えました。円仁の弟子で、北嶺回峰行の開祖とされているそうで、じゃあ天台の山岳修行についてはこの名前を追っていったらいいのかなー。近江八幡の伊崎寺はいつか行ってみたい。
あとで図録を見て気がついたけど、大津に行ったこの日11/3がちょうど御忌日だったらしい。御縁ですね。

堪能して京都駅へ移動し、期間中だった非公開文化財特別公開を見に泉涌寺へ。
即成院拝観。

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那須与一のお墓がある関係か、本堂の前にある石の手水鉢みたいなの(線香がちょろっと立ってたけど香炉?)に扇の紋がありました。

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こちらでは10月にお練りが行われるそうで、行道面の展示があって、だいぶ新しいものだと思いますが手に取らせてもらうことができました。
内陣に入り、阿弥陀如来と二十五菩薩とご対面。宇治の平等院を創建した藤原頼通の子、橘俊綱の持仏堂ってことで、うーん、いかにも平安時代っぽい左右のバランスがいい仏像がそれぞれ楽器を持って、4列のひな壇にぎゅっと…ああじっくり1体ずつ見たいけど後ろの方がよく見えない。
壁がのっぺりと白いのが少しさみしく、気になる感じがします。平等院と比べちゃうとね…最初はどう並べられてたんだろう。
むしろ内陣よりも外陣から見た時の窓で切り取ったように見える顔が並んだ景色の方が強い印象が残りました。
あと大自在菩薩のすごいいい笑顔。
せっかくなので那須与一のお墓にもお参りしました。

続いて坂を上っていて、法螺貝の音に引かれて戒光寺に寄りました。境内で護摩供養をしてて、しばし見物。

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後から知ったけど年2回の弁財天の御開帳の日だったそうです。お参りしたらよかったー。
本堂で丈六の釈迦如来像。光背のためまるで仏龕に収まっているような感じで、凄い迫力のあるお姿でした。

次に行ったのは雲龍院。泉涌寺は七福神巡りが有名なんですが、こちらが大黒天なのでいつか行きたいと思ってました。
こちらではミドコロを書いた紙をいただけたのがよかったです。大石内蔵助の書とか色々ありましたが、霊明殿に祀られている後光厳天皇、後円融天皇の坐像が首が抜けるようになっていて、非常事態にはお顔だけでも持って逃げられるようになってるというのが…仏像でもお顔だけ当初のものであとは後補とかあるもんなー。像を守るための手段ということで、けっこう深い話かも。
鎌倉時代の走り大黒は台所におられました。すごい…悪い顔でした。御朱印と絵葉書を頂く。

次に向かったのは妙法院。国宝の庫裏に入れるということで行ってみました。
隅っこの上の方に小さな大黒さんがおられた。大正時代のものだったけど、また悪い顔だった。
こちらでは護摩堂の不動明王が見られました。左足を少し上げているというのが珍しい。それから御本尊の普賢菩薩騎象像にもお参り。応挙とか山楽とか絵もあったのですが、西日が入り込む部屋で、時間的にあまり鑑賞にいい状態じゃなかったのが残念でした。もうちょっと早い時間に行ければよかったけど、1日であちこち周って欲張りすぎました。
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2015年10月10日

春翠の色気・得庵の男気、それから孤篷庵特別公開

お茶への興味はたまたま買って読んだ『眼の力』から始まっていて、今年伊部に行って焼き物を見て、作為不作為とかいろいろ考えたことからこれを再読してみたんですが、ここに出てくる方々の蒐集されたものって今は美術館で見られるんだよなーと思い当たって、京都へ行ってきました。

蹴上から南禅寺の横を通ってまずは野村美術館へ。「野村得庵」展。
『眼の力』の対談中に、「国司茄子」を藤田家と野村家が争って、野村が譲ったという話が出てきたんですが、その後野村が入手した「北野茄子」があって、そこの説明文を読むとあー悔しかったんやなー良かったなーという。
調べずに行ったら、後期展示で伝藤原佐理の筋切通切が出るらしく、それはちょっと見たかったなー。
得庵好みということでいくつかありましたけど、お師匠さんとか周囲に影響を受けて趣味が変化してった人なのかな、とか。
マンゴスチンを使った香合とか面白かった。
片桐石州の書は線が悠々として好き。
地下の館蔵品展では茶杓と竹花入が見られたのが嬉しかった。
茶杓は茶人の刀というし、数寄人は茶席で誰の茶杓か当てる遊びをしたっていうし、竹を削って作る茶杓にそんな個性が出るんだなーと、あと『眼の力』にはこれぞという美しい写真がたくさんあるんですけど、最も感銘を受けたのが、壁に掛けた竹の花入に椿をさして、打った水の飛沫が聚楽壁に染みを作ってる写真だったのです。
まあでも花をいけずただ並べて置いてある花入れはさみしいな。
遠州の茶杓はさすが遠州で、あと松永久秀の茶杓が面白かった。先が丸っこくて艶めいて。

それから少し歩いて泉屋博古館の「Baron住友春翠」展へ。
思いがけず中国の青銅器コレクションすごかった。ていうか凄すぎた。太鼓もすごいけど銅鏡もあっていいー。
ここ来るの初めてだったんですが、美術館の建物もいいですねこれ…この中庭見ながら1日過ごせる。
1日の時間配分を間違えて、もっとここで時間をとるべきでした。

特別展は住友家の須磨別邸とそこに飾られた美術品。
野口孫市の須磨別邸は模型もあったけど、もう全然日本って感じがしないっすな。戦災で焼けてしまったのが惜しい。
絵画も花器もだけど、それを展示のために置いてる花台とかちょっとした家具もすごいいい雰囲気で、芸術のパトロンで美男で本人の書や絵もすっすとした線で、全体的に品のある趣味の良さが溢れてて、こういう人が審美眼があるっていうんだろうなーとしみじみ思った。
とにかくコレクション凄かったしいい美術館だった。また何かの機会に行こう。東京行ったら、分館も見たい。

京都巡りの最後は大徳寺孤篷庵の特別公開で締め。
20人くらいのグループで説明を聞きつつ見学。
孤篷庵のことは、重森完途の庭園の本で知って、小堀遠州が晩年を過ごし、焼失したあと不昧公が再興したということで、一度見てみたかったもの。
雪が積もった時に牡丹に見えるという牡丹刈りとか、文章で読んだ時はもっと生垣みたいな感じかなーと思ってたら違ってた。やはり実際に目にすると違う。
今は(ビルなどが見えるため)木で隠されてますが、昔は借景に船岡山が見えて、枯山水の波の上の山に見立てられたというの、見てみたかったなー。
茶室忘筌から庭を見た時、上半分の障子で額縁のように画が切り取られて、そこから見える庭がこれぞという構成で美しかった。
西向きの茶室に入った日光が床板と天井に反射して、胡粉を塗った天井板の杉の木目がゆらゆらと波のように見えるっていう話が良かった。
あと亭主の席から床に向かうと壁があるんだけど窓が開いてて、そこに座ると山と月の絵が見えるというのも。
床の掛け軸が、小堀遠州が30代の時に隠居した自分の姿を描かせた絵っていうのも面白かった。
書院直入軒は、探幽の障壁画がすごくよかった。あと松花堂昭乗の猿の絵(かわいい)と扁額があった。
ほんと、庭も建物も庵主の視界に入るものすべてが計算され洗練されて、これこそ美の極致だと思った。

行ってよかったなーとしみじみ思いつつ、今宮神社にお参りしてあぶり餅を食べた。
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2015年09月23日

怪奇水族園@すますい

まだ8月の話。
須磨の水族館で妖怪がテーマの特別展をやってると聞いて行ってきました。
まずは普通に水槽鑑賞。擬態してる魚とか夜行性の魚とかテーマがあってけっこう面白い。水槽の奥の壁が手描きっぽいのもレトロな雰囲気があっていい感じ。
本館、ペンギンと楽しんで、特別展の会場へ。

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入ってみるとお化け屋敷の雰囲気でまずは河童とご対面。
その他に展示は妖怪を紹介するパネル、生物、標本などがあって、見世物っぽさと本物が入り混じっている感じ。

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人魚のミイラと

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足多すぎるタコとか。
この何でもあり感は面白い。
博物図譜ってけっこう興味があるので、生物と組み合わせて展示ができるのは水族館ならではだから面白かった。

あと、妖怪を紹介するパネルが数も多いし読み応えがあって、照明が暗かったので読みづらかったけどけっこう夢中になって読んでしまった。

展示を楽しんだ後は、道を挟んで向かいにあるスペイン料理屋でお昼。

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パエリアはかなり具だくさんで満足。

JRで帰る途中、新長田駅に寄って鉄人28号を見てきた。

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電車からも見えるんだけど、近づいてみるとほんとにいる…!って盛り上がる。

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2015年08月08日

「白鳳」と「仏教東漸」

8/2に奈良国立博物館の「白鳳」展を見てきました。
白鳳っていうと飛鳥と奈良の間というふんわりした印象。
まずは古代寺院の瓦、それから白鳳仏…仏像、金銅仏や塼仏、押出仏など。

古代の瓦っていうと、何年か前に1人で山辺の道を歩いてた時、大神神社の近くで話しかけられた瓦好きのお姉さんを思い出す。
今まで博物館で瓦を見ても、瓦だな…くらいしか思わなかったけど、瓦当文様の中でも大津のサソリ文とか、八島廃寺の蓮華文鬼瓦…蓮華の花の文様の周りに4つの人面があるものとか、初めて見た。
〜寺式の瓦とか、今までになくわかりやすくて理解が進んだかも。

仏像はほんと豪華で、あと配置か照明の具合か分からないけど素晴らしくて、博物館で仏像見るならやっぱ奈良が日本一だなとしみじみ思った。
薬師寺の東院堂の聖観世音菩薩がいらしてて、うわあすごいなと思ってたら、修理中の東塔の水煙があって、特別拝観の時に行けなかったからぐるぐる回って拝見してありがてえありがてえと思ってたら、金堂の月光菩薩が!!

これほんとびっくりしました。まさか、と思った。もちろん薬師寺の金堂で何度か拝んだことありますが、光背がないせいか全然見え方が違う。腰もだけど、背中のライン!
この月光菩薩がただ1人でおられる一室で、この特別展を理解したと思った。

あと法隆寺はなんかあの飛天とか法隆寺顔が癖になってくるなあ。
夢違観音様に間近でお参り。それから伝橘夫人念持仏の阿弥陀三尊が!三尊もだけど、光背というか後ろの屏風?と台座の蓮池と厨子と別々に展示されていて、この細工が素晴らしかった。

他にも深大寺の釈迦如来倚像とか鰐淵寺の観音菩薩立像とか…豪華だったー。
あと鶴林寺は一回行ってみないとなあ…加古川らへんは色々見たいものがある。

図録を買ってきたので読んで、もう1回見に行きたい。

それから昨日7日、陶器まつりで五条に行ったので、ついでに京都国立博物館に行ってきました。
特別展観「仏教東漸」。
請来目録とか、灌頂歴名とか、日本の仏教の始まりを目の当たりにした感じ。
親鸞の筆は初めて見たけど、一字ずつ力と勢いがある。法然上人絵伝はびっくりするくらい能筆だった。
知恩院の来迎図、早来迎。角度のついた構図、山に桜、金色の仏身。

平常展では宝誌和尚立像はやっぱ異様だな〜というのと、ヒッチハイカーみたいな武人俑があったのと、唐の三彩明器の中でも駱駝とか人面?鬼面?に獣身の鎮墓獣とか面白かった。
ツレを待たせてたので2階はざっとだったけど、海北友松と応挙の雲龍図、それから山楽の龍虎図良かった。

そんなこんなで今年は夏休み始まりました。
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2015年04月12日

春日大社特別公開と「平安古経展」

今年は春日大社が20年に1度の式年造替で、本殿の特別公開をしていると聞いて行ってきました。
中元万燈籠のとき、回廊の特別参拝は入ったことがありますけどあれってどこ歩いてたのかな、暗かったのもあって今回いただいてきた大宮特別参拝マップを見てもよく覚えてない。

御本殿の神様方が、式年造替で仮御殿に遷られてる間のみ、内院への参入が許されるのだそうです。
それから今回は、本殿の後ろ側にあるお社も特別参拝ってことで、リーフレットを読んだら明治維新以来初めての公開なんだそうです。それで、第一殿と第二殿の間にある磐座も公開。
こんな機会めったにないので隅々までお参りしてきました。
お遷りになってると分かってても、内院は緊張。

春日大社の御本殿の建物自体は、式年遷宮で他の神社に払い下げられたものがあちこちにあるので、何回か見たことありますが、階段のサイドのところの文様が黒地に白であまり神社とかで見たことない感じの文様で、こんなんだったっけと思ったり。
磐座は、白い漆喰で塗られていて、磐座って聞いて想像するものとはぜんぜん違っていました。
こんどどっかの博物館で春日大社の古図を見たらよく見てみよう。

微々たるもんですが、檜皮を奉納してきました。
行ってよかった。

帰りに奈良国立博物館で「平安古経展」を見てきました。
お経は1字1字はっきりくっきり、それもけっこう字うまい人が書いてるから、木簡とかと違って奈良時代のものでも全然読みやすい。
それで奈良時代の字を見て、伝小野道風の国宝金光明最勝王経を見ると、和様の書はぜんぜん違うってのが一目瞭然。うつくしい…っていうか小野道風が特別なのかね。

他の博物館でも何度か見た、経塚出土品。
弥勒菩薩はまだ来てないのにこんな人目にさらされちゃって…といつも思ってしまう。
あと平安時代にはもう教典の印刷が始まってたっていうのはけっこう意外な気がしました。でも仏教をどんどん広めるという点では必要かそうか。

それから装飾というか荘厳されたお経。
奈良時代は紫紙に金字でって、あまり見たことなかったです。すごく高貴な雰囲気がある…けど平安時代には紺紙が増えて紫紙は減ったっていうのはどうしてなのかな〜。
色のついた紙に金泥や銀泥で書く一方で、紙を装飾する工芸技術の高まりがあって、装飾した美しい紙に墨で書くというのがあって、こう並んでるのを一気に見てくと分かりやすかったです。

中尊寺のお経の文字が宝塔曼荼羅になってるの初めて見た。

こうして奈良〜平安とお経を見て学んで、今回メイン(?)の幻の久能寺経。
……キラッキラでした。宇宙かと思った。

今、仏像館は工事中なので、名品展も新館でやっていました。
仏像だけでなく、仏画や考古資料もあってよかった。
子島曼荼羅すごかった。
静岡県の三ヶ日山中から出た瓦塔、焼き物の五重塔って、地元なのに知らなかったー初めて見ました。
あと奈良博って舎利容器専門の学芸員さんおられますよね?舎利厨子がめちゃくちゃ充実してたんですけど。
般若寺のやつ(うろ覚え)がかっこよかったです。

たぶん年間パスポート持ってなかったら今回の特別展は見逃してたと思うんですが、色々見られてよかったです。

今回はJRで行ったので、三条通を歩いて、いつもは近鉄だから去年の夏以来なんですが、お店変わったな〜とか思いつつ…奈良に行くときはいつもチェーン店に入ってしまうので開拓したい。
ならまちとか行く度に迷うし。
posted by すずる at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館・博物館