2017年08月01日

「これぞ暁斎!」 と「源信」展

最近見た特別展2つ。

京都のえき美術館で最終日の「これぞ暁斎!」展を見てきた。
幕末から明治にかけて活躍した画家で、歌川国芳に入門した後狩野派で学び、独学で四条派なんかも学んだそうで、諷刺画や滑稽なもの、百鬼夜行とか、晩年傾倒したという仏画が主に展示されていました。
戯画っぽい動物からガチな山水画から春画まで、見ていてもいろんな画風を使いこなす器用な画家だったんだなーという印象。それから、パトロンのいない絵師だなあという印象もありました。一般大衆に向けた絵が多かったという意味で。
大津絵っぽいテイストの絵が好きで、猫は特に可愛かった。
あと足長がおんぶした手長が手長猿を持ち、その猿が手長えびを持って、月に向かってみんな精一杯手を伸ばしてるやつ。
お土産を購入。

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別の日に、奈良国立博物館で始まった「源信」展。
お坊さんの名前がなかなか覚えられないんですが、恵心僧都源信像を見たら、往生要集の名前と前に大津の比叡山展で見た「このブロマイドが宋で爆売れ!」のキャッチをずるずる思い出した。
あと同時代のお坊さんということで、空也上人像とか、書写山の性空のなんかとか、あと国宝一遍上人絵伝にやっとお目にかかった。レプリカで見たことはあったけど。
京博で今年2つの遊行上人縁起絵巻を並べる企画をじっくり見たためか、この一遍聖絵の魅力が改めて理解できた気がする。
群衆1人1人の描写の細やかさ、表情まで生き生きとしていて、それから背景と人物に破綻がない全体の完成度の高さ。
即成院の群像から3体、平等院鳳凰堂の飛天が1体来られていたのを見られたのも良かった。
即成院じゃ当然後ろは見られないんで、美しい後ろ姿をばっちり見てきた。即成院の大きなパネル写真が壁にあったけどあれも物販に欲しい。
平等院鳳凰堂の雲中供養菩薩像もよかった。定朝様なのもよく理解できたし。平等院ミュージアムで見たことある気もするけど、今回みたいな感動はなかったなー。

前期は聖衆来迎寺の六道絵がずらり、辟邪絵もあって、ほんと国宝祭りという感じだった。単眼鏡を持った熱心な人がけっこういた。
あと古文書ガチ勢もけっこういた。

来迎絵も素晴らしく、見たことあるものも多かったけど、特に印象に残ったのは、岐阜の新長谷寺の阿弥陀立像とそれを納める厨子。扉の内側と内部に絵が描かれ、ご開帳のインパクトはいかほどかと思う。
なんというか、見ていて天上の美という言葉が浮かんだ。

地獄も極楽も、それを創出するには人の想像を超えねばならないということを考えていた。地獄はヒトのなし得る残酷を超える恐ろしいものでなくてはならないし、来迎は見たことのない天上の美でなくてはならない。

後期にも色々見たいものがあるので、図録を読み込んでもう1回行きます。

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金戒光明寺の山越阿弥陀にとうとうお目にかかるのだ。
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2017年07月09日

2017年上半期に行った博物館と美術館

今年はこまめにブログに行ったメモをつけておこうと思ったのに、春の特別展ラッシュから全然だった。
見たものを文章にするまでに時間がかかりすぎているのかなー。もっと簡単でいいので、時間を空けずにすぐに書くことを意識したい。

今年1月〜6月までに出かけた博物館、美術館は13でした。
今年は奈良で快慶、東京で運慶とどーんと大きな仏像展が企画されているせいか、あちこちで力の入った仏像の展覧会があってなかなか見てまわる方としても忙しいのですが、どっかで展示がリンクしているように感じる、自分の身にもついてくるように感じることがありました。

なんといっても奈良博の「快慶」。だいたいどっかに仏像を見に行って、ひとつ快慶が見られたらもうご褒美じゃないですか、それがここに並んでるのがほぼすべて快慶だと?……ってなる、なんか久しぶりに情報過多でもうおなかいっぱいだ…ってなりました。
よくある三尺の安阿弥様でも、時期によって衣服の表現がけっこう違うのが比較するとよくわかりました。

その日ハシゴしたLIXILギャラリーの「武田五一の建築標本」は、ガラスとか把手、タイル、コンクリートの内部の鉄線とか建築素材がまさに標本のようで、今となってはそれ自体が鑑賞に耐えるものになっていました。
大学の授業で使われた伝統建築の模型、中でも禅宗様のあのややこしい組み木に見入ってしまった。キャプションに、模型を観察して細部を理解し、それから本物の建築を見ることで印象を深めたって書いてて、ああそういう見方をしたらいいのかーと。
明治村に移築された芝川又右衛門邸の写真があって、こういう庭があったのか〜って。明治村は古写真とか中心に展示するとこがもうちょっとあってもいいよなと思いました。

京博の春の「海北友松」も良かったです。龍の絵はこれまでにも見たことあったけど、時代ごとに並べられて狩野派で学んだ後、個性が出てくる感じがよくわかりました。
悠々とした線、点々と置かれた色。線に途中から生命が吹き込まれる感じ。
ガイド借りたので、武士エピソードとか聞けたのも良かったです。

竹中大工道具館は建築儀式の企画展というのに興味を引かれて初めて行ってみました。神戸なんで、レトロなビルに2フロアくらいの資料館かなーとか勝手なイメージで行ったのですが、全然違った。考えてみればあちこちで美術館を手がけてる竹中工務店が、自社の名前を冠する建物に全力を出さないわけがなかった。アプローチからしてただものでなく、常設展示をゆったり回遊していくのも気持ちいい。
常設展示の見応えがあって大変よかったです。大工道具も見応えがあるし、特に組み木細工を触ってばらしたり組み立てることのできる模型がよかった。茶室の骨組みも見入ってしまう。
あとここのチケットがかんなの栞でかわいくて、それ以来愛用しています。

この日は神戸から姫路にはしごして、ひょうごの美ほとけを見たら、その近くの美術館でユトリロ回顧展をやってて、私は絵を見る目がないってのはもうなんども書いてますが、ずっと前にたぶん大原美術館で見たユトリロの絵が印象に残っていて、それで予定にはなかったけどこれも縁かもしれないと見てきました。
年代順でずっと見てくと、なるほどユトリロの白の時代というのは特別なんだなーと。晩年の作品はちょっと色が散漫に感じてしまいます。

最後に行ったのは京都工芸繊維大学美術工芸資料館。
2階で「村野藤吾建築設計図」、1階の2室で「住友春翠の文化遺産」見てきた。この名前がふたつ並んだら、まあ見物に行ってみようかーみたいな感じで。
設計図は近鉄関係の建築の写真と設計図で、なんかこー線とか数字とか素材とか、見て何もわからないなりにわくわくしてきた。
学生の作った模型が展示されてて、その労作に感じ入りつつよく見てきた。学生の苦労話は何度見ても楽しい。
住友春翠は泉屋博古館所蔵の近代陶芸作家の作品。新しい技法を模索してる感じと、春翠さんのコレクションだから文人趣味っぽさがやっぱあるような?
初代宮川香山がいくつかあって、赤い色と窯変の具合に惹かれた。張子の犬の香合かわいかったー。

以下は出かけた場所一覧です。

1/21 南極建築 LIXILギャラリー
1/22 京都国立博物館
2/11 京都国立博物館
2/12 和歌山県立博物館
2/25 大阪市立美術館
4/14 木×仏像 大阪市立美術館
4/27 快慶 奈良国立博物館
 武田五一の建築標本 LIXILギャラリー
5/2 海北友松 京都国立博物館
5/12 祈りのかたち 竹中大工道具館
 ひょうごの美ほとけ 兵庫県立歴史博物館
 ユトリロ回顧展 姫路市立美術館
6/9 村野藤吾建築設計図/住友春翠の文化遺産 京都工芸繊維大学美術工芸資料館
posted by すずる at 09:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館・博物館

2017年07月08日

2017年上半期に読んだ漫画

1月〜6月に読んだ漫画は66冊くらいでした。もう少し読んでるかもしれないけどごたごたしてメモを忘れていた。

思いがけずはまった漫画は



池辺葵の『プリンセスメゾン』でした。
年末の『ダ・ヴィンチ』で紹介をちらっと読んで、女の子がマンションを買う話っていうのに興味を引かれて読んだんだけど、想像以上にじわじわときて、最近では珍しく何度も読み返してしまう漫画になりました。
出てくる登場人物はだいたい「ひとりで生きている」。自分の生き方を自問自答して、その寄る辺ない不安とか、ほんのりとした寂しさとか、だけど清々とした自由とか描かれている雰囲気がよいのです。

それでこの作者が気になってきて読んだ『雑草たちよ大志を抱け』、『繕い裁つ人』も良かった。
私がここにいる、と思った。

もうひとつ良かったのが



小林有吾『アオアシ』でした。
ユースが舞台のサッカー漫画で、毎巻すごい気になる引きで終わるのでほとんど一気読みしてしまった。
試合で主人公や仲間、敵がどう動いているのか、主人公のどこがすごくてどこに問題があるのか、状況がとてもわかり易くてサッカー素人でも問題なく夢中になれる。
1冊で主人公になんらかの困難な課題が与えられて、考えて考えた末にそれが解消する、試合のスピーディな描写と爽快感と共に。めちゃバランスがいい。
これは今までに読んできたスポーツ漫画の中でもかなり上位になる予感。

あとはだいたい、継続して読んでるのの新刊を読んだりでした。



『ヒストリエ』10巻、大人が泣いて逃げ出す気持ちの悪さ良かった…。
もう歴史ぐぐっちゃおうかという気持ちとヒストリエは知識なんもなしで読みたいという気持ちで揺れる。

読んでる雑誌では最近サンデーがちょっとおもしろくなってきた気がします。

  

このへんが好きです。
あと気になってる漫画は



雑誌で1話読んだら、JKのアニメ制作×SFみたいな感じで面白そうだったので読みたい。
posted by すずる at 22:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画

2017年07月06日

ミッション1000

ingressのミッションメダルがようやく1000個たまりました。
以下は振り返り。続きを読む
posted by すずる at 13:55| Comment(0) | TrackBack(0) | ingress/ミッション

2017年07月03日

4〜6月に読んだ本

毎年7月に入るたびに、なんもしてないのに今年も半分過ぎてしまったっていう焦燥感があって今年も例外ではない。ほんと何をしてたんだろ。

4月から6月の間に読んだ本は8冊でした。読んだ順に

『百匹の踊る猫』 浅暮三文
『たべるのがおそい vol.2』
『完本酔郷譚』 倉橋由美子
『MONKEYvol.11 ともだちがいない!』
『TOUR1989』 中島京子
『夜の夢見の川』 アンソロジー
『停電の夜に』 ジュンパ・ラヒリ
『針がとぶ』 吉田篤弘

以下は印象に残った本のことをちょっとずつ。


『たべるのがおそい vol.2』

この特集の石川美南と宮内悠介の共作というのに興味を持って買った。印象的な、イメージの喚起力が強い歌とそれにまつわる異国の物語、とても良かった。
あと森見登美彦の短編が良かった。贅沢いうようだけどこういうのを定期的に読みたい。巻頭の金原瑞人を読んだら紹介されてた短歌を読みたくなった。
ムックだと知らない作家さんも読めるからけっこういいな。


『完本酔郷譚』 倉橋由美子

美青年がお酒を飲んで異郷に遊ぶ話、屏風絵の世界に入っていくような。味読に足りる文章で1編ごとにお腹いっぱいになるので少しずつ楽しんで読んだ。
お酒と共に女性が出てきてまあ必ずそういうことになるんだけど、エロいのかな、エロくないのかな、よくわからないあんまり経験ない読み心地。
しかし慧君の取り返しのつかない毒でもひとまず味わってみる姿勢には恐れ入る。


『MONKEYvol.11 ともだちがいない!』

巻頭は谷川俊太郎。ともだちがいない、いらない、亡い、ちっちゃい子から若い子から年寄りまで、性別年齢様々。ひとつひとつはさらっと読んでしまう断片だけど、読んでて気づくと猛烈に自分のことを考え語り出したくなっている。今まで、現在、これから。そういうふうに動かされる力がある言葉。
エミリー・ミッチェルの短編2つが特によかった。SFのショートショートみたいな着想が、こまやかなディテールの描写ですんなりリアリティをもって頭に入ってくる。むちゃくちゃうまい。
ラストが登場人物にとってハッピーエンドなのかバッドエンドなのか迷ってしまうような、なんか読み手の価値観が試される。
あとウィリアム・バロウズの「ジャンキーのクリスマス」も好き。


『停電の夜に』ジュンパ・ラヒリ

短編集。毎日決まった時間、夕食時にくる計画停電。すれ違いの多くなった夫婦がろうそくを点し、ひとつずつ秘密を告白し合う表題作。どう転ぶんだろうっていう先の読めない話の筋にも引っ張られるんだけど、描写の細やかさがなんといってもすごい。起きた出来事を外側から見たら、あー倦怠期ね、はいはいって簡単にラベリングしちゃうようなもんだけど、ラベリングしちゃうことでずいぶん繊細な機微を見逃してるんだと思わされた。
作者はインド系アメリカ人ってことで、アメリカにいるインド人、インド系の二世なんかの描写も面白かった。
どれが好みかなあと思うとまあ「三度目で最後の大陸」ってことになるかもしれないけど、登場人物に同調できない、感情移入しづらい話も普通だったらあまり好きじゃないってなるけどこの作者の短編だとなんか読まされるし、どれも粒ぞろい。


『針がとぶ』 吉田篤弘

短編集。今はもういない詩人の記憶を守る姪の話から始まって、なんとなしに読んでいたら、だんだんと引っかかりを覚えてきて、短編同士がどこかで繋がってる確信を持ってからは俄然引き込まれて面白く読んだ。
解説で小川洋子さんがあそこって書いてたけど、私は断然「路地裏の猿」のあの部分だなあ、と人によってそれぞれ刺さる場所が違うのがいい。
作中に出てくるなんでもあるような品数の多い雑貨屋さんで目に留まるものが人によってそれぞれ違うように。
短編として1つ選ぶなら、画家が辺鄙な半島の村でなんでも扱ってる雑貨屋と出会う「パスパルトゥ」が好き。
posted by すずる at 20:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書メモ