2017年03月05日

2月に読んだ本

2月に読んだ本は5冊でした。



初川端康成。『掌の小説』を買っておいたと思ったのに見当たらなくて、そういえば文豪怪談持ってたなーと思い出してこっちを探し出した。
しみじみと胸を打たれるような文章があちこちにあって、あーなんかもっと早く出会って読んでいればよかったと思った。高校生の頃とか絶対好きだったこんなの。
少女の頃に読んでおいて、血肉にして、これが思考や文章やなんやかんやのベースになってればよかった。
好きな短編がいろいろある、「白い満月」、「不死」、「地獄」、「離合」が好きだなー。
「薔薇の幽霊」は、自分がいつか百合アンソロを編む時が来たら入れる。



紀伊国屋に行った時にアメトークの読書芸人コーナーがあって、そこに2号が置いてあったので気になったムック。まだ2号までしか出てないなら余裕で追いつけるだろうと思って1号から買ってみた。
円城塔「バベル・タワー」、イ・シンジョ「コーリング・ユー」、西崎憲「日本のランチあるいは田舎の魔女」が面白かった。短歌はあまりわかんなかった。



柴田元幸と高橋源一郎の対談で、ブコウスキーは友達がいないからスラングがないっていうくだりがとても印象に残ってて、柴田元幸訳のちくま文庫版が出たので買って読んでみた。
私立探偵ものの体裁なので、あまりにもあれな探偵にだいじょうぶかなこの人とハラハラしながら読んでしまってあとでぽかーんとしたけど、読んだ後に残るのはたしかに孤独。



最近けっこう面白い変な本を訳してる翻訳者さんがいるらしいと聞いて、気になってた方の本。
なんか文学論みたいな本なのかなーと思ったら、もっとエッセイっぽかった。案外ふわふわしている。



小説は実は1冊も読んだことないんだけど、エッセイとか翻訳は何冊か読んでます。彼が何かについて語るのを読むのが好き。
で、どこかで文章のうまい作家の話をしていて、くわしくはこの本に書いてあるっていうので買ってみた。
私は本は読むんだけど、文章がうまいということがよく分からなくて、読みやすいかどうかくらいしかないし、例えば名文家とか言われてもあんまり思い浮かばない。で、作家がうまい文章っていうのはどんな文章だろうって興味を持ったのでした。
取り上げられてる作家は吉行淳之介、小島信夫、安岡章太郎、庄野潤三、丸谷才一、長谷川四郎。この中では吉行と丸谷しか読んだことない。
彼の書き手としての読み方が出ていて、短編の構造、文章、特にそれを彫琢すること、それから系統立てた読書によって作家がどこから来て、どこへいくのか。
これだけ丁寧に短編を解体しながら、なおかつ興味をそそる、読んでみたくなる語り方ができるっていうのがすごいと思います。

結局文章がうまいということはよく分からなかった。プロの作家なら文章をうまく書くというのは当たり前のことで、むしろそうでない部分に著者は惹きつけられているみたい。
posted by すずる at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書メモ

2017年02月26日

大阪市立美術館

先週から梅田に通ってます。
通勤時間帯に梅田の地下街を歩いていると、巨大な水槽の中の魚群の1匹になった感じがする。

金曜夜は1回行ってみたかったイグカフェでお茶。
土曜日はなんばウォークの謎解きに参加した後で大阪市立美術館に行ってきました。日展やってたけどコレクション展が目当てだったのでそっちだけ。
硯箱、富本憲吉のデザイン、天神さま特集。

硯箱は京都国立博物館の蒔絵室のあの変態的なのを見ちゃったばかりなのでインパクトは強くなかったけど、波の表現とかいいなーと思いつつ、なんだか最近工芸品も見るの楽しくなってきた。

富本憲吉は、こんな染付が…さほど面白みが感じられないというか、今まで持ってた富本憲吉イメージとあまりそぐわないものが…けっこうあるんだなあと、今まで見たことなかった時代の作風ってことなのかな。
風景画はちょっと好き。
大皿の上に富本憲吉が無造作に1本線を引けば、それだけで非凡なデザインになっちゃうんじゃないかみたいなイメージがあったんですが、図案が浮かばないって紙の横に書いてたり、店のポスターとかいろいろ見られてよかった。

梅の季節に合わせてか、天神さまは京都や大阪の天満宮に伝わる天神図像や絵巻物など。綱敷天神って梅田の茶屋町に石碑があるからよく知ってるようで、綱敷天神の逸話はここで初めて知った。
探幽の十一面観音があって、両脇の蓮の花が、水面の波紋や水に溶けだしそうな花の色がよかった。

大阪市立美術館は春に仏像展をやるので楽しみ。
posted by すずる at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館・博物館

2017年02月16日

博物館講座

興味のある博物館講座が土日にあったので、先週末は博物館に行ってきた。
土曜日は京都国立博物館で「蔵王権現はなぜ数多く伝わるのか」、日曜日は和歌山県立博物館で「阿弖川荘の仏像と地域史」。入館料だけで第一線の研究者の講座が受けられるんだから、お得にも程がある。

色々と得るものが多かったけど、ブログに細かくまとめるのもなんなので印象に残ったとこだけ書くと、京都では蔵王権現が鏡に線刻で表されるのが象徴的というのが、和歌山では安楽寺多宝小塔の本尊が高野山の大塔と同じ胎蔵界の大日如来というのと、高野山麓の西端での浄土信仰イメージが印象に残った。

やっぱり講座とかギャラリートークとか聞くと、ふつうに見るのに較べて展示の理解が全く違うと実感した。
また機会があったら講座に合わせていこう。

それから講座で出てくる固有名詞がけっこう理解できて、自分の知識も少しは蓄積できてるなーというのも感じられたのがよかった。
posted by すずる at 22:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館・博物館

2017年02月10日

SMOKEと神聖なる一族

今年はできるだけインプット多めにしようと、昨年よりは気持ち積極的に本や漫画を読んでいる。
映画も2本見てきた。

『SMOKE』 ウェイン・ワン監督/ポール・オースター脚本

モンキービジネスでポール・オースターを知って、最初に買って読んだのが『スモーク&ブルーインザフェイス』だった。そのときに「映画いいよ」と薦めてもらったんだけどずっと機会がなく、今回デジタルリマスター版がかかっていたので見てきた。
客がタバコ屋に入ると、主人は「いつもの」を出してお釣りを数える。最近の出来事やなんかを話しながらゆっくりと。そのやり取りで、その店にはちょっとした交流があるのが分かる。
妻をなくした小説家、家出少年、ヤク中の娘を連れ戻したい母親・・・・・・それぞれの人生にはそれぞれの重要な場面があって、おせっかいに介入するんじゃなく、隣人として立ち会う、そのおしつけがましくない距離感がいい。
言葉はなくゆっくりと煙が漂う場面に、そこにある複雑な感情を思う。
しみじみいい映画だったーと思った。ハーヴェイ・カイテル最高や。ほかにどんな映画に出てるのかなーと思ったら、『グランド・ブダペスト・ホテル』に出ていた。そういえばいたいた。


『神聖なる一族24人の娘たち』 アレクセイ・フェドルチェンコ監督
大阪でやってた時に見逃してしまったので、神戸の元町映画館まで行ってきた。
ロシア西部のヴォルガ川流域のマリ・エル共和国に住むマリ人は、ロシアに支配されていたもののロシア正教の布教が十分行われず、伝統的な自然崇拝が残っているらしい。
タイトル通り24人の娘(?)が1人ずつクローズアップされるオムニバスで、最初はおまじないとか雪の中の祭りとか撮った民俗学的なドキュメンタリなのかなーと思っていたら、そのうちしれっと人の中に精霊や死人が混ざり始めて、なんだろうこれ・・・・・・古今著聞集とかのちょっと不思議な話をそのまんま映像化したみたいな。
日本人としてはけっこう馴染みやすい世界でもあると感じた。

娘の体調不良の原因を知るためにパンや鵞鳥を捧げ物に持っていくとか、死んじゃったお父さんが村人に連れられて帰ってきて、なんか家で縦ノリで踊ってるとか、イケメンの死者を呼び出すいかがわしいパーティをしている娘たちに怒ったじじばばが箒や鋤なんかを持って駆けつけるとか、絵的に面白い場面がいろいろあって、フォークロアとちょっと不思議で面白い映画だった。ただ投げっぱなしな話もあり、あの娘やあの娘の安否が気になるとかがあるから、DVD出たら見て確認したい。
あーあとびっくりしたのは、昼食?で、オーブンで焼いた魚を手づかみで皿に盛って、パンをどーんと乗せて、あと付け合わせが生っぽいタマネギ半分だったやつ。
posted by すずる at 18:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画

2017年02月05日

1月に読んだ本

1月に読んだ本は5冊でした。

『冬の夜ひとりの旅人が』



大晦日から新年にかけて読んでいた。
イタロ・カルヴィーノの新刊冬の夜ひとりの旅人がは、結局読めなかった。いや読んだのか。
私はあなたであり、男性で、女性で、読者で、作者で、読んでたと思ったら自分が読まれていて、と思ったら書かれていた。
小説を読みかけては続きの気になるところで行く先をなくしてしまう、たぶんこういう実験的な作品が好きなんだろう、これはまさに私みたいなのが好きなやつだと思いつつも、読んでいる間は大変にもどかしい本だった。

『二人のウィリング』



シリーズ探偵役のウィリングがタバコ屋で男と出会うところから、最初の死体までの導入がめっちゃ面白い。
中盤は発端と比べると読んでてあまり起伏がないように感じたけど、真相が分かってみると世界が一変して、何げない描写だったのが、読み返したら全然違う感想になりそうと感じた。再読したときにより楽しめそう。


『舟を編む』



映画で見た『まほろ駅前〜』で気になってた三浦しをんをやっと初読み。
雲田はる子の漫画化が始まったので、それを読む前に原作を読んでおこうと思って。
で、すごく良かった。ちょうどOEDを作った人たちの話を読んだばかりというのもあるけど、辞書作りの世界にすんなり入れた。
特に西岡さん視点のところが良くて、時間もコストもかかる大きなプロジェクトとそれを達成するためにいるような人たち、辞書に名前を残す人たちを、自分とは違う、けれどと思いながら周辺から見ている人物。

『漱石入門』



今年は漱石生誕150周年なんだそう。グラフロの紀伊国屋に行ったら漱石特集のコーナーがあって、そこでふらっと買ってみた。
この著者の本を読むのは2冊目だけど、初心者向きに紹介してくれる単なる入門書じゃない。もっと読み方そのものが変わってしまうような、こんな深い読み方ができるんだって目からウロコがぽろぽろ落ちるような読書体験を与えてくれる。
なんかもうちょっと違うふさわしいタイトルがあると思うんだけど…。
「文化記号は、小説を風化させる作用と小説を生かし続ける作用の両面を持つ」
書かれた時代と背景を知ると、自分の中に作品を読む新しい視点が持てるということ。
ならば、文化記号を理解するに越したことはない、うん。
特に明治の家族制度のところが面白かった。

あと西澤保彦の『悪魔を憐れむ』読みました。タックシリーズ久しぶりすぎた。
posted by すずる at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書メモ